第九十五話 しばし休憩、少し眠い
モンスターを倒しまくって、第四階層の最後のほうまで来た。
「お前の腕も上がったな! 私は嬉しいぞ!」
「あ、ありがとう……」
「この調子で腕輪を使いこなせ! お前ならできるぞ!」
シェダルは俺の肩を叩いた。
「いって!」
「あ、すまん……」
「いや、大丈夫、多分疲れてるんだと思うわ俺……」
「そうか、なら一旦隅で休もう」
「あ、あぁ……」
俺はダンジョンの壁に腰を掛けた、シェダルは敵が来ないか見張っているのか、辺りを見渡していた。
「ほら、水だ」
「あ、ありがとう……」
シェダルがコートから水を出してきた、そこ、物仕舞えるんだ……。
喉が渇いていたのか、俺はそれを一気に飲み干した。
……というかここまで、シェダルがモンスターを見つけては自分で殲滅させるので、俺はその取りこぼしを狩るくらいしかできなかった。
「お前……もうちょっと俺に戦わせろよ」
「昨日暇だったもんでその鬱憤を晴らしたくてな」
鬱憤を晴らしたくて、鬼のようにモンスターを狩るとか怖いわ。
「モンスターはこの辺にはいないようだ」
「あ、あぁ……」
あれ……? なんか眠気が……
気づいたら、目の前が真っ暗になっていた。
「ふふふ……」
◇
「ふあぁ……」
よく寝た……ってうお!?
「お前……またかよ!?」
目が覚めると、シェダルが俺に抱き着いていた。
「お前が気持ちよさそうに寝てたもんでな、ダンジョンの床って冷たいであろう? 凍えないように暖めていた」
「ならせめてそのコートを被せるなり……」
「お前は女にコートを脱げというのか? 薄情な男だな」
「……いいから、離れろよ!」
「ははは! 案の定顔が真っ赤になったな!」
「……」
お前、こうなるの分かっていただろ!
……まぁいい、ダンジョンなんかで寝てた俺が悪いわけだし、気を取り直そう。
……そうだ。
「……レベルを確認しよう、ステータスオープン!」
俺は起き上がって、ステータスを確認した。
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金剛 昇
NOBORU KONGO
国籍 日本国
スキル 鍵
レベル 58
在籍 県立祇園高等学校
所属 冒険者ギルド
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よし、レベルは上がってる、今度はシェダルに引っ張られる感じじゃなくて、俺が引っ張っていかないと……。
「というか昇、お前随分と達者になったな!」
「え?」
「ダンジョンに初めて一緒に入った時はスライムごときにビビっていたのに、今は私のおこぼれを軽々倒すくらいまで成長したな!」
「あ、あぁ……」
確かに、レベルが上がったからか腕輪を使いこなせるようになったからか、余裕……とまではいかないが、順調に倒せるようにはなってきた。
「さぁ、この調子であのモンスターも倒してみろ!」
シェダルは首を向こう側に向けてそう言った……。
ってあれは!?