第九十四話 談義所シェダル! キラキラしすぎる!
「お前、今まで一緒に戦ってきただろう!」
「そうだけど……ってそれとこれとは関係ないだろ!」
「仕方ないな、ステータスオープン!」
シェダルの持っていた携帯に画面が表示された。
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談義所 星大流
SCHEDAR DANGIJO
国籍 日本国
スキル 鍵
レベル 510
所属 冒険者ギルド
有限会社 金剛鍵屋
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レベル510!? ……あの話は本当だったのか。
そして確かに国籍は日本になっていた……が。
「『談義所』って苗字は珍し過ぎるだろ……全国に何世帯いるかいないかだぞ? もっと簡単なのにしたほうが良かったんじゃない?」
「『金剛』だと彼女設定が通じなくなるし、普通過ぎる名前が嫌だったんだ、というか金剛も大概珍しいだろ」
「まぁそうだが……というかなんだこの当て字?」
「漢字の名前がカッコいいと思ったからだ!」
「それでもこの名前はキラキラしすぎだろ……」
「カタカナでも良かったがそれじゃあ面白くないだろ?」
「面白くないって……というか何勝手に鍵屋の社員みたいな感じになってるんだ?」
「無職だと恥ずかしいからだ、無職なんてワードはダサすぎるからな、専業冒険者であるのもダサいと思ったから鍵屋の社員にした、卓郎さんも了承してくれたよ」
「いつ了承したの?」
「昨日お前と風呂に入る前だ、事情を説明したら理解してくれた」
「……」
叔父さん! なんで理解しちゃうの!
……甥が得体のしれない外国人の女を連れてきて、挙句家に住まわせるくらい器がデカい時点で察するべきか?
「役職は何だよ?」
「店番だ、いざという時には卓郎さんの代わりもできる、伊達に鍵スキルやってないからな」
「……」
店番ってそれ無職と変わらなくね? まぁでもシェダルなら何でもできそうだが……腕輪もあるし。
「まぁ、雑談はこのくらいにして、ダンジョンへ行くぞ」
「あ、あぁ……」
俺たちは鍵を取り出して変身した。
『『スキル解放! 凄すぎる! 鍵スキル!』』
音声が鳴り響き、金銀の鍵スキルの戦士が登場した。
「さ、行くか! 冒険者になったから第三階層以降に行き放題だ!」
「おい許可は?」
「ほら」
シェダルは携帯の画面を見せてきた。
確かにこれは、許可証だ。
「剣さんに連絡したら『お前らなら大丈夫だろうから、いつでも入っていいぜ!』って言ってくれたぞ」
「お、おう……」
「そうだ、連絡先を交換しよう、迷子になった時に便利だ」
俺とシェダルは連絡先を交換した……これで彼女設定に箔が付いただろう、多分。
でも腕輪使えば迷子になっても簡単に見つからないか? ……まぁいいや、持っていて損はないし。
「よし! 行こう!」
「おう!」
俺とシェダルはダンジョンへと走り始めた。