第九十一話 目が覚めた、ソレは読むな!
「うーん……」
目を開けると、窓から朝日が照り付けていた。
その白い光が顔に当たり、俺は起きた。
「やぁ、おはよう、昇!」
シェダルの声がした。
顔を上げると、勉強机に座っていた。
なんでいるんだっけ……? あっ……
「ははは! 朝から顔真っ赤じゃないか!」
「う、うるせぇ……」
「私のぬくもりはどうだったか?」
「……答えるわけねぇだろ」
「恥ずかしがらなくてもいいだろう!」
恥ずかしいに決まってるだろう、こいつ、本当に俺の事子ども扱いして……
って、シェダルが今持ってるものって……
「おい! お前それどこで……」
「あぁ、すまん、お前が起きてくるまで暇でな、勝手に読んじゃまずかったか?」
「まずいに決まってるだろうが!!」
俺が一番見られたくない、叔父さんにも見られたくないものを読んでいた。
俺はシェダルから「ソレ」を取り上げようとした……が、シェダルは俺の動きを読んですぐさま避けた。
「ほほう、今の時代でもこんなものがあるとはな、今は皆スマホとやらでやるんじゃないのか?」
「いいから返せっての!」
「いいじゃないか、お前の性癖を知ろうが私には関係がない」
「俺は関係あるんだよ! 返せよ!」
「ほーらこっちだ、こっち」
「……」
この女……シェダルは微笑みながらソレを揺らして挑発している。
ここは闘牛場じゃねぇんだよ!
……いいだろう、そっちがその気ならこっちだって牛になってやる、ソレは何としてでも助けなきゃいけない。
目を赤くして突撃しようとした……その時だった。
「昇く~ん! シェダルちゃ~ん! 朝ごはん出来てるよ~! 早く降りておいで~!」
叔父さんの朝ごはんの呼びかけが聞こえた。
「……卓郎さんが呼んでいる、ここは一時休戦といこう」
「休戦も何もねぇよ!」
シェダルはソレを俺に投げつけ、返却した。
「さ、私は着替えてくるからな、大事なものはもっと分かりにくいところへ隠せ」
「……」
言い分は間違ってなかったので何も言わなかった。
次はもっと奥に隠そう……。
「ふふふ……」
……ん? シェダル部屋に出る直前、変な顔をしたような……まぁいつもの事か。
「さて、俺も着替えるか……」