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第八十九話 めんどくさい! それでいい!

 シェダルは突然、掛け布団を上げ、布団の中に入ってきた。

 こ、これはまさか……


「ほら」

「ほら、じゃねぇよ」


 シェダルは両手を広げ、いつもの抱き癖が発動した。

 嬉しいが、なんでこいつはこうも異性に対して恥じらいとか持たないんだろう。

 以前こいつは「お前は息子みたいなもんだ」とかなんとか言っていたが、俺はどうしても1人の異性としてみてしまうので、緊張してしまうし若干罪悪感がある、嬉しいんだがな。


「いいから、遠慮すんな、悩んでるんだろう?」

「あ、あぁ……」

「おや? やけに素直だな?」

「うるせぇ」

「ははは! 顔真っ赤じゃないか!」

「……」


 からかうシェダルに向かって俺は体を近づけた。

 シェダルは俺の頭をしっかりと掴み……心臓の鼓動が聞こえるところへ持ってきた。

 風呂は一緒に入っていて、使っているシャンプーも一緒の筈なのに、シェダルはいい匂いがした。


「お、おい……」


 普通に抱き着くかと思っていたので、驚いてしまった。


「この間、この体制をやったら嬉しそうにしてたろう?」

「嬉しそうになんかしてねぇよ!」

「ほう? そうかな?」

「……」


 はい、嬉しかったです! なんて言ったらまたからかわれる、俺は黙ってシェダルに抱き着かれた。


「それで? 悩みは何だ? 言ってみろ」

「……笑うなよ?」

「笑わないさ」

「……」


 俺は悩んでいることを話した。

 凄いと褒められること、それはシェダルの腕輪の力であること、褒められることが嫌なわけではなく寧ろ嬉しいこと、それと同時に謎の優越感や傲慢さが出ること、そしてどういうわけか小松たちが俺の味方をすること。


 全てを話した、それに対するシェダルの反応はというと。


「はっはっは! くだらないな!」

「笑うなって言っただろ!」


 案の定笑った。


「全く……まぁ俺も馬鹿だよな、腕輪を受け取った時は『これで馬鹿にした奴らを見返す』だとかなんとか言ってたのに、いざ見返そうと行動を起こして褒められるとこれだ、全くめんどくさい奴だよな、俺って」

「ほんとだな、お前はめんどくさい」

「おい! そこはフォローしろよ!」

「だが、それでいいじゃないか」

「はぁ?」


 シェダルの言っている意味が分からない。

 めんどくさいのがいいってどういうことだ?

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