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第八十八話 君の悩み、反応が図星

「大丈夫だった!? ごめんね、すぐ迎えに来る予定だったんだけど、仕事で結構遠くまで行っちゃってね、依頼主の人が『今日はもういいよ、お代は今から払うから行って!』って言ってくれたから良かったけど……」

「いいよ、叔父さん、ごめんね心配掛けちゃって」


 シェダルは事情を知っているのだが、何も言わず、笑顔で俺の手を掴んで、そのまま帰路に着いた。

 家に着くと、叔父さんは夕食にチンジャオロースを作ってくれた。

きっと俺が事件に巻き込まれて精神的に参ってるんじゃないかと思って作ってくれたんだろう、正直嬉しかった。

 そして、例によって「アレ」にビビるシェダルと風呂に入って、布団で寝ようという時だった。

学校の出来事が、頭の中で常に再生していて、なかなか寝付けないのだ。

小松たちに褒められたことと、小松が俺の味方をしてくれたこと。


 褒められて嬉しいが、根本的には違う気がする、そして凄いと褒めた上に俺の味方までする。

あいつは教室内で人気者だ、なぜ俺なんかの味方をするんだ? 俺の味方をすることで、不利な状況になると分かっているはずなのに。

 俺がダンジョンで行方不明になった時もそうだ、小松と羽田と三沢と岩国は、俺の代わりに頭を下げた、何故奴らはそんなことをした?

 全てが分からなかった、どこから納得すればいいのか分からなかった。

もうなにをどうすれば……

すると、部屋のドアから、コンコンとノックする音が聞こえた


「昇? 入っていいか?」


 シェダルだった。


「あ、あぁ……」


 俺は気のない返事をした。

 扉を開けて現れたシェダルは、白いフリフリを付けたパジャマを身に着けていた、可愛いと思ってしまった。


「悪いがベッドに座らせてもらうぞ」

「お、おう……」


 シェダルは横になっている俺の腹の前に腰かけた。

そして座って開口一番、こう言った。


「なぁ昇、お前なんか悩みとかないか?」

「な、悩み!?」


 どうやら150のご長寿にとって、人の感情を見るのは容易いことのようだった。


「その声、図星だなぁ? お前はほんと反応が分かりやすいな!」

「う、うるせぇ……」

「悩みなら聞いてやるぞ……よっと」

「お、おい!」


シェダルは突然、掛け布団を上げ、布団の中に入ってきた。

こ、これはまさか……


「ほら」

「ほら、じゃねぇよ」


 シェダルは両手を広げ、いつもの抱き癖が発動した。

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