第八十六話 力は不正、聞こえる罵声
学校に戻ると、まず叱られた。
ダンジョンで迷子になるのはいいが、学校内でも迷子とは何事か、みたいな感じで。
俺はシェダルと言い訳を考え、「モンスターが出たと聞いてパニック状態になった、現場を見てさらにパニックになり、外へ出た」と話した……が。
「おうおう! その話! ちょっと待った!」
うるさい声が職員室に響き渡り、異議を申しだてるかの如く乱入してきた。
入ってきたのは、剣さんと春香さんだった。
冒険者の服ではなく、スーツを着て入ってきた……さすがに学校であの格好はまずいと思ったか、一時期ゲーム脳だとか言ったのは撤回しよう。
剣さんと春香さんが仲介に入り、しばらくは教師と冒険者たちで二者面談が行われた。
そこで出した結論は、『免除する』、ただそれだけだった、意味が分からない。
そして釈放され、教室へ戻ると……
「金剛! お前大丈夫だったか!?」
「金剛くん!? 無事だったの!?」
「金剛! お前ワープしたんじゃ……」
「……金剛くん」
四人が出迎えてきた、別にそんなことしなくてもいいのに。
俺は四人の間を抜けて席に着いた。
周りの生徒は、驚愕の表情を浮かべていた。
まぁ無理もない、校庭のど真ん中で炎をぶっ放しそうになった上に、転移ホールで消えたんだから。
すると、ある男子が俺に話しかけてきた。
「おいお前! お前なんか不正したろ!」
続けて女子と他の男子が突っかかってきた。
「そうよ! あんな能力有り得ない! モンスター人間みたいに携帯に細工したんじゃないの!?」
「有り得るな! なんせ鍵スキルだもんな!」
不正、細工、鍵スキル。
こいつらの言い分はあながち間違いではない、最初の一つに至っては合っているかもしれない。
俺は腕輪という不正をして……モンスター人間を倒して……ダンジョンでもこいつを使って……
「おい! 金剛は不正なんかしてないし細工もしてない! スキルで人を決めつけるんじゃねぇよ!」
突然、誰かが叫んだ。