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第八十四話 スライム人間、まさかの人間!?

 またも、空き地に転移する俺たち。


 スライム野郎は転移ホールから出るや否や、人型になって俺たちの前に立ちはだかった。


 俺は転移ホールで我慢した内容物を飲み込み、戦闘態勢に入る。

とりあえず炎で蒸発させりゃいいんだろ? ここは空き地だからいくら炎を出しても……と思ったが、こいつの性質をすっかり忘れていた。

奴は校庭の時のように、飛び跳ねた。

これじゃあ打つにも……


「どわぁ!?」


 俺の体に青色のゼラチンが重く圧し掛かる……って重た!? こいつダンジョンのスライム集団よりも重いぞ!

 やはり人が変身している分、重さも相応ってわけか……

ここはどうすればいい……そうだ!


「うおおおおおおおおお!!」

「おい! 何をやっているんだ昇!」


 俺は炎を出した、全身から。

スタントマン金剛昇の再来だ!


『全身じゃなくて杖から出すようにイメージしろ!』


 そう言われたが、今有効なのはこれだ!

 全身から出す炎に耐え切れなくなったのか、スライム野郎は徐々に小さくなっていく。

このままもっと勢いよくやるぞ! 気合入れろ! 俺!


「馬鹿か! そんなんじゃ死ぬぞ!」

『魔法スキル!』

「スキルチェンジ!」


 炎を出すのに熱中していると、シェダルが魔法スキルに変身したのか、音声が聞こえた。

まぁどうでもいいか! このまま……って


「やっぱ! 熱いわこれ! 熱い! 熱い! すっごい熱い!」


 前言撤回、やっぱりこれは無謀な行動だった。

確実にスライム野郎は弱まっているが、割に合わねぇ!


「ほら言わんこっちゃない!」


 シェダルのそんな声が聞こえると、まだ冬ではないのにも関わらず、冷たすぎる冷気が横から吹いてきた。

やばい! 冷たすぎる! 冷気スキル! って感じだ。

……自分で言ってなんだが、何言ってんだこいつ、完全に腕輪というかシェダルに乗せられてる気がする。

冷気のおかげで熱さは何とかなった、それに……


「うお!? 固まった!?」

「今だ! 炎をぶっ放せ! 至近距離でな!」

「おう!」


 俺は固まったスライム野郎から一歩離れ、杖を突きつけた、ゼロ距離で。

そして鍵を回した。


『魔法スキル必殺!』


 杖の先に炎のような力が溜まる。

こいつは行けるぜ!

 俺は鍵を再び回し、必殺技を出した。


『魔法スキル! 唱えすぎフィニッシュ!』


 音声と共に、杖から獄炎をぶっ放し、スライム野郎は蒸発した……と思っていた。

だが実際は……


「……あれ? 崩れた?」


 氷はおろか、『スライムの体自体』が崩れたのだ。

そして中からは……


「こいつは、やっぱり学校の奴だったのか!?」


 胸元の校章、これは俺の制服と同じ、県立祇園高校の物だった。

教師の可能性も考えていたが、まさか生徒がやるとは……


「まだ若い少年までこいつを使うとは……」


 シェダルは生徒の腕を掴んでそう呟いた。

確かに、なんでこんなことを?

俺はそんな疑問を抱えつつも、救急車と警察を呼んだ。

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