第九話 仲間を見捨てた、開く扉
どのくらい走っただろうか?
俺は走り続けた。
外でもどこでもいい、とにかくアイツらから離れたかった。
馬鹿でも仲間を見捨てたクソ野郎とでも何とでも言え。
いっそこのこと、モンスターが現れて殺してくれたら……
『一体何をやってたんだい!? ……心配になったんだよ! 本当に大丈夫なのかい!?』
ふと、そんな言葉が頭の中で再生された。
誰の言葉だったか、今は思い出せないが、近しい人間だった……ということは記憶の奥底にあった。
ふいに足が止まった、俺はいったい何を考えていたのだろうか?
すると一連の自分の行動が恥ずかしくなっていった。
だが今更どの面下げて戻れというのだろう?
俺の死を悲しむ人間……誰がいただろう?
『お前鍵スキルなんだって?』
『いずれは父さんの後を継ぐんじゃなかったか? ははは!』
『その父さんもいなくなって、可哀そうな奴だなぁ』
……クソみたいな記憶を思い出してしまった。
こんな所で立ち止まっていても仕方がない、歩き始めたその時だった。
先ほどまで通路にいた筈だが、下げていた頭を上げて前を見ると、巨大な扉のようなものが現れていたのだ。
この扉は一体……? 触れると、俺の手に反応して、扉は光を放った。
恐る恐る押してみると、重々しい音を立てて、開いた。