主な登場人物
ニーナ
美しくたおやかな容姿に反して、人づきあいが苦手で、晩熟な令嬢。ソプラノ歌手として名を馳せてもなお、幼少期から所有していたぬいぐるみたちだけが友だちで、孤独の影に怯えている。エドバルドの秘密を唯一知っている人物。
エドバルド
船上楽師として乗船した遠洋軍役船にて夭折した音楽家。幼少より天賦の才をもちあわせたが、病的なまでに神経質な男性。不器用で臆病な人生のさなか、運命のいたずらで、ニーナと邂逅する。
マティス
絶滅宣言の以前に、最後に確認された人魚。人魚の伝承が残る〈珊瑚礁の町〉でも、その研究所があるが、現状、実物を観察したことがある人はいない。
マッコーネル
〈はずれの港町〉の老船長。みずから伝説の航海士を名乗る、意味不明な言動の多い奇特な人物。
ハーマンシュタイン
盗賊〈鹿の角団〉の幹部。沙漠の国の侵略を機に、〈伝説の宝石〉の収集を開始した首魁。その目的や心情もふくめて、謎多き人物。
ザウター
〈鹿の角団〉の頭目で、ハーマンシュタインの右腕として大剣をあやつる剣士。盗賊然とした漁夫の利を狙う隠密行動を画策するが、奔放なティファナにいつも悩まされている。第六感がすぐれており、危機回避の能力が高い。
ティファナ
〈鹿の角団〉の頭目で、ザウターのパートナーを務める召喚士。自由な精神のもちぬしであり、不可解な状況下も全力で楽しむことができる奔放な性格だが、じつはそれを看破しているふしもある。〈銀の鎖〉で猛獣や魔獣を手なずけ、〈魔女の角笛〉で幻獣や幻虫を召喚することができ、そのすべてに名まえをつけている。召喚魔法の温床となる代償で、眠りについてしまうことがある。
ジェラルド
火の国の王子。紛争地域である祖国救済のため仲間(従者たち)をつれて外遊している。臨機応変に対応したり、貴族らしく周辺人物の特性を活かす能力が高い。自身も弁舌巧みに俳優のような大仰さを演じることもできる。
レナード
ジェラルドの従者で、気取り屋な近衛兵。モレロとともに与太話に興じることが多い。
ベリシア
ジェラルドの従者で、切りそろえられた前髪をさわるくせのある近衛兵。
モレロ
ジェラルドの従者で、奇妙な髪型をした変わり者。ふしぎな能力をもつ、稀少な、まじない師。
ウェルニック
ジェラルドの従者で、巨漢の修道士。折り目正しい聖人だが、酒に酔うとどこでも大の字で寝てしまう。
マイニエリ
〈魔導院〉の長で、齢100歳とも150歳ともいわれる謎多き人物。歴代国王の補佐も務める著名な魔法使いだが、みずからを一介の牧師と名乗っている風変わりなところもある。韜晦癖があり鷹揚なそぶりをするが、老練さにもとづいた精緻な判断をつねにしている。
アルフォンス
吟唱詩人。多くの詩作や吟唱で有名だが、正体の知られていない中性的な麗人。実年齢も公表されていないため、まことしやかに「歳をとらない」という過当な噂さえある。竪琴に似た古楽器の伴奏で、幻惑的な世界をつくりだす。
パティ
〈魔導院〉所属の魔法使いの少女。精神感応の能力をもち、生きものの記憶や意図を読みとることができるが、相手に起因した能力なので、自発的に魔法を駆使することがなかなかできない。臆病で繊細だが、そのぶん周囲に愛されている。期待されて「内海における船舶失踪および沈没事件」の調査隊に抜擢される。
モカ
マイニエリより、パティにもたらされた謎の小ザル。全身は基本うすい茶色の毛でおおわれているが顔周辺だけは白毛で、胴の長さは20センチほどだが手脚をのばすとその倍はあり、しっぽがなく、まるい鼻とキラキラした瞳が印象的。自由闊達だが、わりと的確にパティの手助けをする。
バレンツエラ
枢機院の騎士。「内海における船舶失踪および沈没事件」の調査隊隊長。
温和な好人物で、状況に心情を左右されない肝の太さが売り。
ダグラス
枢機院の騎士。「内海における船舶失踪および沈没事件」の調査隊隊員。
逆立てた髪型と、かるい性格が売り。
ステファン
枢機院の騎士。「内海における船舶失踪および沈没事件」の調査隊隊員。
クリーム色の美しい長髪と、面倒見のよさが売り。
アルバート
沙漠の国の王子。コンプレックスが多く、半笑いの仮面をつけており、ふがいなさをルイに疎まれてもいるが、老人や道連れに好かれ、独自の社交性や視点解釈でアクロバティックな活躍をみせることがある。外遊中のため惨禍をまぬがれ、〈伝説の宝石〉をめぐる旅にでることになった。
ディレンツァ
沙漠の国の宮廷魔法使いで、若くして宰相をつとめた賢才。端整な顔立ちだが、感情をあらわにせず、表情もとぼしい。しかし、才知にまさり冷静沈着で、いざとなると折衝も得手。自然を利用する魔法をあやつるオールラウンダー。
ルイ
〈舞踏団ルルベル〉の踊り娘。愛嬌ある小動物のような見た目に反して感情の起伏もはげしく、ときに毒舌で、先走りがちな性格。献身的な側面もあるが、いつでも出たとこ勝負。沙漠の国に招聘され、惨禍にまかれたとき、アルバートたちと合流したことで、旅路を共にすることになった。




