報道における印象操作の手口とその向こう
遥か以前から、テレビ番組や新聞の内容が間違っていたって事件は何度も起こっていましたが、それでも基本にはテレビというのは真実を伝えるものだと一般的に認識されていたのではないでしょうか?
その認識が変わり始めたのはインターネットが普及してからで、テレビや新聞以外からも手軽に情報を得られるようになる事で、その伝えられる情報に対して疑問の声が上がるようになり、今では「テレビや新聞は信頼しない」と言う人まで現れるようになりました。
最近(2021年4月現在)で話題になったのは、森喜朗オリンピック組織委会長の女性蔑視発言でしょうか?
どんな文脈で出た発言なのか伝えず、女性蔑視発言の部分だけを切り取って報道したという批判が起こりました。発言全体を考慮に入れると、半ば冗談のような発言であったと分かり、確かに悪い印象は随分と和らぎます(ただ、それでもマシになる程度で、やっぱり批判されてしまう発言だとは思いますが)。
その影響なのか、当事者の発言を流した後で、その発言がどんな文脈で出たものであったのかを説明するテレビ番組が出て来たようです。
こういった傾向は好ましいとは思いますが、その一方でまだまだ印象操作を狙っているとしか思えない記事や報道も多いです。そしてその手法も様々です。
このエッセイでは、そういった手法に対して数例ではありますが解説を行って、更にそういった印象操作が行われる背景についても少しばかり語っていきたいと思っています。
ただし、予め断っておきますが、僕は印象操作の専門家でも何でもありません。ただ、印象操作の手法について解説している本(『数字のウソを見破る 中原英臣、佐川峻 PHP新書』)と、統計の嘘に関する本(『信じてはいけない「統計的に正しいこと」 市毛嘉彦 幻冬舎ルネッサンス』)を読み、後は政治経済の知識を仕入れる過程で、様々な報道の印象操作の事例について知った事で、ある程度は見抜く目を養えたという程度の男です。
なので、その程度の解説だという認識でどうか読んでください。
■都合の良い情報のみを伝える
先の「切り取り報道」にも通じているのですが、自分達の主張にとって都合の良い情報のみを報道してそれ以外については報道しないという手法が存在します。
例えば、自民党政権に対して、批判的な報道する事で知られたある新聞社は、選挙期間中に「昨年度年金積立金5兆円の損失」という記事を一面トップに持って来ました。
(参考文献:『ニュースで伝えられない日本の真相 辛坊治郎 KADOKAWA 33ページ』)
しかも、このような記事を一面に持って来る一方で、年金資金の運用が上手くいき、プラスになった場合はそれを小さくしか掲載しないという事をやっています。
つまり、都合良く自民党政権にダメージを与えられる情報のみを強調して報道しているのですね。
一応、少しは庇っておくと、自民党も選挙の後に年金資金の運用状況の発表に行うという、この新聞社と似たような事をやってはいます。
■表現の歪曲による印象操作
先の新聞社は、いわゆる「左翼系」ですが、当然ながら、「右翼系」でも印象操作は行われています。
時折、そのような卑怯な印象操作は、対立する思想団体でしか行われていないと思い込んでいるような人達もいるみたいですが(知っていて知らない振りをしているだけかも)、そんな事はありません。
例えば、
「太陽光発電で、原子力発電所一基分の電力を得る為には、山手線内側の面積と同等の広さが必要」
などといった主張がかつては右翼系の人達によって頻繁にされていました。
これを読むと、まるで太陽光発電の発電能力が低いと思ってしまいますが、実は“山手線内側の面積”って、そんなに広くはないんです。約65平方キロメートルほどしかありません。因みに東京の面積は、約2188平方キロメートルです。
(参考文献:『見せかけの正義の正体 辛坊治郎 朝日新聞出版(24ページ辺り)』)
つまり、本当は狭い面積を、“山手線内側の面積”と言い換える事で、広いと思わせ、太陽光発電の能力は低いと誤解をさせようとしているのですね。
これは随分と旧い話なので、今の太陽光発電の発電能力はこれ以上でしょう。
■そもそも正確な調査結果ではない
先の事例は、嘘ではなく一応は事実ではあります(だからこそ性質が悪いとも言えるのですが)。
ですが、そもそも報道内容が不正確というケースも存在します。
2020年の7月に、小売店のビニール袋の有料化が法律で義務付けられましたが、これによって「万引きが増えた」という報道が一部の報道機関によってなされました。
ビニール袋ではなく、マイバックを持つのが一般的になった事で、万引きがし易くなり、その所為で万引きが増えたというのですね。
「何を馬鹿な事を言っているんだ?」
と、僕はこれを一読してそう思いました。
別にそれまでだってマイバックは禁止されていた訳ではないのです。自由に持ち込んで良かった。なのに、ビニール袋を有料化しただけでそんなに万引きが増えるとは思えなかったのですね。
因果関係を証明するのって、実はとても難しくて、仮に万引きが増えていたのだとしても、それがビニール袋有料化の所為であるとは限りません。
他にいくらだって原因は考えられます。
例えば、コロナ禍の影響で生活が苦しくなって、万引きをせざるを得ない状況にまで追い込まれている人達が増えている、とか。
(突然、日本人の倫理観が劣化したのでなければ、こちらの解釈の方がしっくりきます)
一体、どうやってビニール袋有料化の所為だと断定したのでしょう?
どうにも怪しいと思ったので、検索をかけて調べてみました。すると、正確な統計を取った訳ではなく、スーパーなどの経営者が印象で判断しているだけだと分かりました。
これでは信用できません。
アンケートをしたようなのですが、アンケートって実はやり方によっては回答を誘導したり都合良く解釈したりできるのですよ。
つまり、因果関係が不明な上に、そもそも“増えているかどうかも分からない”って事です。
そこで僕は警視庁が公開している資料をダウンロードしてみました。すると、なんと増えるどころか減っているのですよ。
万引きの認知件数は2019年度は「93812件」なのに対し、2020年度は「87280件」で、検挙件数は2019年度は「65814件」で、2020年度は「62609件」です。
もしかしたら、新型コロナウィルス(以降、コロナ19と表記)禍の影響で、客数が少なかった所為かもしれないとも思ったので、今度はスーパーマーケットの売上高の統計を調べてみたのですが(サイト:統計・データでみるスーパーマーケット)、ビニール袋が有料化された2020年7月から2021年1月の間、むしろ売上高は上がっていました。
つまり、「ビニール袋有料化の所為で万引きが増えた」は、信頼できない情報である可能性が大きいです。
と言うか、ですね。
そもそも、どうして警視庁がデータを集めているのに、それを用いないで、アンケート調査の結果なんてのを根拠にしているのでしょう? いえ、アンケート調査の結果を使っても良いのですが、せめて警視庁のデータも併記するべきだと思います。
――何かしら恣意的なものを感じます。
警視庁のデータを用いると、万引きが増えたと主張できないので、ビニール袋有料化を批判する為に、そのようなアンケートを行った…… と考えるのは流石に邪推に過ぎるかもしれませんが、少なくとも正確な報道という訳ではなさそうです。
■“倍数”の表現は怪しい
また、ビニール袋有料化の話題です。
とあるニュース記事で、「ある製造元のポリ袋の売上が前年比の2倍から3倍になった……」といった記述がありました。
このニュースが印象操作を狙ったものなのかどうかは分かりませんが、倍数での表現は“少ない数値を大きく見せるトリック”の一つです。
分かり易く今まで1部しか売れていなかった雑誌が3部売れたとしましょう。これ、わずか2部しか増えていませんが、倍数で表現すると3倍になります。たくさん増えたかのような印象を受けるでしょう?
これと同じで、ポリ袋の売上が低かったなら、3倍になったとしても、実は大して増えていない可能性もあるんです。
具体的な数値が出て来ていないので、断定はできませんが、少なくともこの報道が印象操作している可能性があるのは事実です。
■論点のすげ替え
またまた、ビニール袋有料化の話題です。
すいません。
そもそもこれを書く切っ掛けが、ビニール袋有料化関連の報道で、「やっぱり酷いなマスコミの印象操作」と改めて思ったからなものですから、どうしても多くなってしまうんですよ。
その中でもこれは酷いやつです。
ある報道番組で、「海洋生物への悪影響を懸念して、世界中でプラスチックゴミの削減運動が活発化している」と、ビニール袋など自然分解されないゴミの削減を訴えるかのような報道がされていました。
ところが、いざビニール袋が有料化してみると、そんな話題は出さないで、「ビニール袋を減らしても、CO2削減効果は薄い」とか別の話題を出しているのです。
一応断っておきますが、同じ番組ですよ?
「いやいや、あんたら、以前は“海洋生物へ悪影響”を問題にしていたじゃないの」
って、僕はそれを見ながら思わずツッコミを入れちゃいましたよ。
確かにCO削減効果は薄いでしょうが、海に流出して、海洋生物が誤って食べてしまう割合なら、ビニール袋はかなり高そうですよね。
なら、意味はあるのじゃないでしょうか?
因みに、仮にそれで100頭中1頭でも犠牲になる海洋生物を減らせたなら、それだけで絶滅から救える可能性は増します。生物って等比級数的に増えますからね、わずかな頭数でも充分に価値があるんです。
■印象操作の目的
その他にも色々とおかしな報道はあります。印象操作とは少し違いますが、例えばこんなのも。
また、ビニール袋有料化の話題ですが。
便宜上、僕も“有料化”って表現してはいますが、実はそもそも最初っからビニール袋は有料なんです。
先の“論点のすげ替え”もですが、これは「ビニール袋とスプーンの有料化」ってエッセイだかなんだか分からないもので既に取り上げています。商品原価にビニール袋は含まれているので、実はビニール袋の代金を僕らは今までも払っているのですよ。
正常に市場原理が働けば、価格はビニール袋分安くなるはずです。
「ビニール袋とスプーンの有料化」では、文体の都合で(どんな都合だ?)、説明を省いちゃったのですが、コンビニなどでは、メーカー側が商品の価格を決めている場合が多いので価格が下がるのに長く時間がかかるでしょうが、小売店が直接商品の価格を決めている弁当屋などは、直ぐに対応して価格を下げた所もありました。
価格が下がらない間は、当然ながら、そのお店の経営がそれだけ楽になります。コンビニとか厳しいらしいですからね。それくらい助けてあげても良いじゃないですか。コンビニは既に地域社会の重要インフラの一つとなっていると言われてもいるのだし。
あ、因みに「ビニール袋分、価格を下げているお店もありました」なんて、ある報道番組ではまるで悪い事のようにそれを伝えていました。
「有料化しても無意味じゃん」って言いたかったのだと思うのですが、意味はあるんです。だって、必要のないビニール袋で使われていた無駄な資源が、それで節約できるようになるのですから。
ま、などなどと、様々な印象操作の方法があり、報道機関や動画などで実際に活用されているのですが、一体、どうしてそんな事をやっているのでしょうか?
それらには、もちろん目的があるのです。
巧みに印象操作してある場合は見抜き難かったり、情報が隠されてある所為で真偽が不明だったりする報道なんかも多いですが、取り敢えず、「こーいう目的があるから、印象操作しようとしているのじゃないか?」なんて目で見ておくと、あっさりと信じ込むような事にはならないので、僕なんかはそれを心がけていたりします。
先の“ビニール袋の有料化報道の印象操作”なら、「自民党政権にダメージを与えたいのだな」とか、「産業を保護しようとしているのだな」とか、なんとなく予想できます。
誰でも思い付くでしょうが、ビニール袋を有料化したらビニール袋の製造業は売り上げが減ってしまいます。だから、製造業者を助ける為に、そういった改革に反対するってのが日本社会の典型的なパターンなんです。
因みに、必要な改革であっても実行しようとしないで、ズルズルと引き延ばして、ジリ貧状態になって、経済が衰退しているってのが、ここ数十年の日本経済の傾向です。
太陽光発電って、かつて日本は技術力で世界のトップクラスだったのですよ。ところが、恐らくは原子力発電や、火力発電といった既得権益を守り難いが為に、ネガティブ・キャンペーンをやり始めて、発展を抑えこんじゃったんです(“恐らくは”ですよ?)。
今、太陽光発電は世界的に急速にシェアが伸びていますから、もし伸ばし続けていたなら、国際的な競争力を失いつつある日本を支える新たな産業の一つにすらなる可能性があったのに…… つまりは、日本は既得権益保護を優先して自滅したのです(もっとも、太陽光発電については息を吹き返す兆しもありますがね)。
この“ビニール袋問題”だって、ピンチと捉えるのじゃなくて、むしろチャンスと捉えるべきものだと僕は思うのですよ。
軽く、ブレインストーミング的に、アイデアを出してみましょうか。
(飽くまで“ブレインストーミング的”ですよ。切り抜いて印象操作に使わないように)
“生物分解可能なプラスチック”は、既に製造可能です。ですが、それにはコストがかかります。つまり、生産するには安価な労働力が必要なんですね。
ところがですね。日本は“お金を払っているのに、働いていない”という労働力を数十年以上も膨大に抱えているのですよ。
もしかしたら、これだけで既に分かった人もいるかもしれませんが、それは“生活保護受給者”です。
僕は現在の日本の生活保護制度は欠陥のある制度だと考えています。社会にセーフティーネットは必要ですが、生活保護制度は色々と改革しなくちゃいけません。
これは、その改革案の一つでもあるのですが、無条件にお金を支払うのじゃなくて、「就業付き生活保護」にするのですね。要するに、今まで通り、国は生活保護費を支払いますが、その代わりに労働を義務付けるのです(もちろん、病気で働けないとか、仕方ない場合は除きますが)。
因みに、これが実現すると、実質的にMMTで提唱されている“就業保証プログラム”と同じになります(原理的には、僕が提唱している通貨循環モデルの応用方法とも同じ)。
その就業付き生活保護受給者を“生物分解可能なプラスチック”の製造に当てるべきだと僕は考えます。
偏見を持っている人は、「生活保護受給者が真面目に働くはずがない」なんて思ってしまう人もいるかもしれませんが、真っ当に働きたがっている人も多いのです。
例えば、生活保護家庭の子供が教育不足から貧困状態に追い込まれ、生活保護が連鎖してしまうなんて問題があります。その中には生活保護から抜け出したいと願っている人も多いのです。もし、生活保護家庭の子供が、就業付き生活保護制度によって働くチャンスを与えられ、そこで技能を身に付けられたなら、生活保護から抜け出せる可能性も大きくなるとは思いませんか?
「生活保護で暮らしていました」なんて人を企業は雇いたいとは思わないでしょうが、「就業付き生活保護で働いていました。技能も身に付けています」となれば話がかなり違ってきます。
この就業付き生活保護によって、低コストで労働力を得られるようになれば、企業はコストが問題になっている製品の生産が可能になります。どれだけ価格を抑えられるかは分かりませんが、“生物分解可能なプラスチック”なら、もしかしたら、国外にだって売れるかもしれません。
「プラスチック問題の解決」は、世界の潮流の一つなので、「買いたい」という国が現れる可能性は充分にあるからですね。
国が企業を強力にバックアップしているので、「公平な競争を害する」なんて批判を国際的に受けるかもしれませんが、「プラスチック問題の解決」って大義名分があれば、充分に反論は可能です。
(因みに、この就業付き生活保護は、他にも応用が可能です。例えば、廃棄物リサイクルとか)
もし、これに成功したなら、大きな日本の利益になります。日本の国際的な地位も上がるでしょう。
世界的な“時代の流れ”に反発して、資源を無駄遣いしている産業を保護するよりも、ずっと建設的で、未来に繋がる発想だとは思いませんか?
こういうチャレンジ精神の欠如が、日本社会がどんどん衰退している元凶だと僕は考えています。
折角なので、典型例をもう一つ述べておきましょうか。
日本の放送業界は、現在、インターネットに圧されて衰退していると言われていますよね?
ところが、これ、もうずっと前から「そうなるぞ」と、言われていた事だったのですよ。
実は放送業界も法律で保護された“既得権益団体”の一つなのですが、そのうちその強みがインターネットの普及でなくなってしまうと予想されていたからです。
それで自民党安倍政権の時代に、政府は「守りじゃなくて、むしろインターネットを活用する“攻め”の姿勢で行った方が良い」と放送業界を促そうとしたのですね。
具体的には、ソフトとハードの分離を促して、インターネット上で番組を提供し易くしようとしたのですが。
これは、“番組制作”と“放送”を分けるって事です。これが昔から出来ていたのがアニメですね。アニメ制作会社と放送局って別でしょう?
だから、同じアニメが複数の放送局で流れていたりするし、インターネットでも放映されているし、もっと言っちゃえば海外の配信サイトなんかでも流されているのです。
……そう言えば、日本の様々な産業が衰えていく中で、アニメ産業はまだまだ世界でその存在感を示していますね。このお陰かどうかまでは分かりませんが。
ところがですね。折角、法律まで変えたのに、放送業界はこれに応じようとはせず、既得権益にしがみついたのです。テレビの仕様に注文を付けて、なんとかインターネットに視聴者を奪われるのを防ごうとしたり。
断っておきますが、もっと早くに動いていれば、インターネットでの放送は、テレビ局が圧倒的に有利だと言われていたのですよ?
だって、無名の素人が作っている個人的な動画や配信なんかよりも、たくさんの有名人が出演しているプロが作った動画や配信の方が絶対に注目が集まるでしょう?
ところが、テレビ局はそれをやらなかったんです。“既得権益”にしがみついた。いつまでも“既得権益”に守ってもらおうとしてしまったのですね。
早い話が、チャレンジ精神がまるでなかったんです。
もし仮に、チャレンジしていたら、きっと色々な事ができていたと思うのですよね。また、軽くブレインストーミング的にアイデアを出してみます。
料理番組を観ていて、「この料理食べてみてー」とか思ったことはありませんか? もちろん、番組で紹介されていた店に行ってみるとか、後で注文するとかはできますが、それだとちょっと手間ですし、そもそも番組オリジナルの料理だった場合は食べる事ができません。
テレビ放送では、そこまでが限界です。
これって、とても惜しいですよね。もし同時に販売できるようにすれば、絶対に「買って食べたい」って人が大勢いますよ。つまり、ビジネスチャンスを逃しているのです。
が、例えば、インターネット放送の場合は、番組がチェーン店なんかと契約してURLを載せておき、「タレントが考えた当番組のオリジナルメニューを、ここに注文すれば食べる事ができます」とやって、電子マネーでその料理を注文して配送するシステムにしておけば、実際に視聴者はその料理を食べる事ができるようになるんです。
(ついでに主張しておきますが、電子マネーってインターネットで使えるからこそ価値があるんですよ。こんな風な消費を促せるから。もっと手軽に気軽に安全に高齢者でも使える電子マネーのシステムを考えるべきだと僕は思います)
この方が、普通の料理番組よりも遥かに魅力的だし、店にとっても利益になります。
今、世間ではコロナ19対策で、飲食店の経営難が問題になっていますよね?
「営業自粛を求めたら、店の経営が成り立たなくなる」
と。
仮に、です。これをそれこそ国を巻き込んで大々的にやったなら、この問題が大幅に改善できるとは思いませんか?
例えば、スマップを集めて(解散していようが別の事務所になろうが、集めちまえば良いんですよ、集めちまえば)、料理を作ってもらって、その料理を注文すれば食べられるようにしておけば、絶対にかなりの数の人が注文するでしょう。
配達には、ウーバーイーツだけじゃなく、やっぱりコロナ19の所為で経営がピンチになっていると言われているタクシーやバス会社の運転手を使って、更に使う食材はコロナ19の所為で余っている農作物にすれば、各方面が随分と助かります(もちろん、感染予防は徹底して)。
感染リスクが上がるGOTOイートや、莫大な金額が必要な協力金支給よりも、遥かに良い案だとは思いませんか?
「コロナ19を、協力して楽しく封じ込めていこう!」
って、呼びかければ、世間を味方にできますから、成功の可能性はかなり上がると思うんです。もし成功したら、自民党政権の支持率も爆上がりですよ、きっと。
ビビッてないで、やれー! こんちくしょーめっ!
てなもんですよ。
と、ちょっと興奮しちゃいましたが、話を戻すと、チャレンジ精神さえあれば、こんな感じでいくらでもビジネスの可能性は広がっているんです。
印象操作報道で、既得権益を守っている場合じゃないです。
もし、放送業界がインターネット進出に成功していたら、ニコニコ動画などの日本の動画配信サービス会社も、もっと人気が出ていたかもしれません。そうしたら、資金力も上がって動画の画質が向上するでしょう。メジャーとは言いませんが、世界でもう少しくらいは注目を集めていたかもしれませんよ。世界には日本独自のコンテンツを好む人達も多いみたいですからね。
ちょっと話が逸れましたが、印象操作の目的で一番分かり易いのは、既得権益の保護に代表される“利益の確保”じゃないのかと思います。
実際、ビニール袋有料化のニュースを観ながら、僕の知り合いは「製造業者が損するから、日本じゃビニール袋有料化が嫌われているんだよ」みたいな発言をしていました。きっと、多くの人が分かっているのでしょう。つまり、バレバレです。
ただ、印象操作の目的は、こんな風に分かり易いものばかりではありません。意外に厄介なのが「ユーザーの需要に応えるため」というものかもしれません。
単純に“売上が欲しい”、または“視聴数を増やしたい”って目的で、ユーザーが望むものを提供しようとした結果、印象操作をしてしまう場合があるらしいのです。特に新聞って近年売上が下がっていますからね。どうしてもそうなってしまう……
これは、ビジネスとは違う、政治的な問題での“印象操作”を判断する際のノイズになってしまうと思うのです。
先のビニール袋有料化の件で、環境大臣の小泉進次郎議員が一部の動画や記事などでバッシングを受けています。
普段は報道機関の印象操作を批判している動画が、印象操作を疑いもせずに、その記事を引用してバッシングに用いていたり。
……何と言うか、分かり易いですよね。
問題はその“目的”です。
小泉進次郎議員は、他の政治家にとってライバルですから、他の政治家を支持している人達が潰そうとしてバッシングしているのだというのが最も妥当な判断でしょう。
が、本当に全てがそうなのかどうかは分かりません。どうしても、僕はなんだか不気味な不安を抱いてしまうんです。
何故なら、小泉進次郎議員の父親は、親米派で有名な小泉純一郎元首相で、今、アメリカと中国は戦争状態にあるからです。
いえ、もちろん、“戦争”と言っても、軍事兵器を使って、直接攻撃し合っている訳じゃありませんよ? 何と言うか、陣取り合戦と言うか、色の塗り合いと言うか、簡単に言ってしまえば、アメリカと中国は、情報サービスのシェアの奪い合をしているのです。ただし、“戦争状態”という表現は、単なる比喩以上のものでもあります。情報サービスのシェアは、軍事的な問題でもあるからです。
現在、情報サービスは、既に社会を成り立たせる上での重要インフラになっています。ウィンドウズや、オフィス365がなければ、日本社会は回らないでしょう。そして、それらは外国の企業が提供しています。つまり日本社会は、外国の企業…… 特にアメリカに社会の重要インフラを握られてしまっているという事です。
もちろん、アメリカは法治国家ですし、今までの実績を観ても、それを利用して相手の国を脅迫するような真似はしないという信頼はあります。ただ、日本がアメリカに対して本気で戦争を仕掛けようとしたなら、その重要インフラを停止したり機能に制限をかけたりといった制裁措置に踏み切るのはほぼ確実ではないかと思われます。
要するに、社会の重要インフラをアメリカに握られている限り、日本はアメリカには逆らえないのですね。例え憲法を変えて自衛隊を軍隊として認めさせても、例え核武装をしても、アメリカの優位は変わりません。
この現実を、日本のトップ層がどれだけ理解しているかは分かりません。がしかし、中国は間違いなく理解しています。
中国は昔から、アメリカとは違った独自の情報サービスを国内に展開していましたが、近年になって、政府機関に“ウィンドウズ禁止令”を出し、遂にOSまでも中国独自のものに切り替えようしています(成功するかどうかは分かりませんが)。今のところ、対象は政府機関のみですが、将来的には絶対に更にシェアを広げるつもりでいるはずです。当然ながら、国外にだって広げたいと思っているでしょう。
これはもちろん、情報サービスのシェア戦略の一つに過ぎません。5G、動画サービス、ネットゲームと、様々な分野で中国はシェアの拡大に向けて動いています。そして、アメリカも明確に対決姿勢を見せています。
アメリカは、中国の5Gの拡大を阻止する為に、国際的に禁止しようとしていますし、動画サービスも禁止にしようとしています。
日本はそのアメリカと中国の“情報サービスのシェアの奪い合い”の重要な拠点の一つです。今のところ、アメリカが圧倒的に優位ですが、一部でも中国に重要な情報サービスのシェアを握られてしまったなら、けっこーまずい事態になってしまうでしょう。
アメリカなら、ある程度は信頼できます(と言うか、信頼しないともうどうにもならない状態になっているのですが)。トランプ大統領は何をやるか分からない人でしたが、選挙に敗れてしまったので、少なくともしばらくの間は平気そうです。が、もし中国に情報サービスのシェアを握られてしまったなら、何をやるか分かりません。
因みに、日本はほぼ“塗られる側”で、自国の情報サービスがシェアを獲得できる分野はほとんどないと思った方が良いです。だからこそ、アメリカにがんばってもらわなくちゃいけないんですがね。
ところが、日本の政治家って実は中国と繋がっている人も多いのですよ。カジノ絡みで中国企業から日本の政治家がお金を受け取っていたIR汚職事件がありましたが、まだまだその他にも中国と繋がりのある政治家はいると言われています。親中派の代表と言われるのは二階幹事長ですが、彼の派閥は近年勢力を増していて、アメリカが始動した中国製アプリ禁止に日本も賛同するべきだという動きに反対しているという話もあります。
しかも、まだまだ不安になるような話はあるんです。
日本のカプコンというゲーム会社のストリートファイターVというゲームが、アメリカ企業ですが、中国資本が注入されている企業の「フォートナイト」というゲームとコラボしていたり、「原神」という中国製ゲームにほぼスパイウェアと言っても良いような、アンチチートプログラムが入っていたのに、日本の大手報道機関ではほとんど報道されいなったり。
因みに、その「原神」というゲームのスパイウェアと言っても良いようなプログラムは、ゲームが停止中でも稼働しているし、なんとゲームをアンインストールしても消えないというちょっとトンデモない仕様になっていました(今は、アップデートされてその問題は解消されているらしいですが)。
中国企業は、もし国から命令されたら、自社で扱っている情報を提供しなくてはいけないって法律で決まっているので、これ、けっこー怖い話です。
大手報道機関は、せめて「原神はパソコン版では遊ばない方がいい」と注意喚起を促すくらいはした方が良いと思うのですが……
そして、そんな中で、アメリカと繋がりがあるだろう小泉純一郎元首相の息子である小泉進次郎議員がバッシングを受けているんです。
「――これ、大丈夫なの?」
と、思わず心配になってしまうのは、自然な心理でしょう。
(因みに、僕は日本が原子力発電を推進すると、中国優位になってしまうと考えているのですが、どうも二階幹事長は原発に賛成しているようで、小泉元首相は明確に原発に反対しています)
ただし、小泉進次郎議員バッシングをしている動画や記事などの全てが、中国に味方していると考えるのは現実的じゃないでしょう。前述した通り、自分達が支持する政治家のライバルだから潰そうとしているのかもしれないし、単に視聴者数を増やそうとしているだけかもしれないし。
こういった動画を作っている人が、今のアメリカVS中国という図式をどれだけ理解しているのかも分かりませんし、それが日本にとってどれだけ重要かも分かっていないのかもしれませんし。
ただ、もう一つだけ僕には気になる点があるんです。
日本で、時折、トランプ大統領の味方をしている人達を見かけます。その人達のバックにいるのが、アメリカにいるトランプ支持者達ならばそこまで心配しなくても良いかもしれないのですが、実は中国はトランプ大統領を望んでいるとも言われているのですよ。
理由はトランプ大統領が、「日本や韓国にいる米軍を撤退させるような発言をしているし、日米関係を悪化させるような言動も多いから」です。
もし本当にアジアから米軍が撤退したら、軍事上で中国はかなり優位になりますし、日米関係を悪化させてしまったなら、日本の情報サービスのシェアをアメリカから奪い取る事だってもしかしたらできるようになるかもしれません。
まぁ、ただ、トランプ大統領は日本の核武装を促すかのような発言をしていますから、核武装を夢見る一派がトランプ大統領を応援しているって可能性もありますし、他の可能性だってあるかもしれないのですが。
多くの人が指摘していますが、日本の報道の多くは“真実を伝える”なんて理想からはかけ離れています。それどころか、どのようにすれば自分達の都合通りに印象操作できるかしか考えていないようにすら思える。
どうすれば、そういった報道に騙されないか、また逆に、その報道の内容から発信者の思惑を予想するか。それらを見極められるようにならなければいけない時代に既に入っていると思います。
このエッセイが、少しでもあなたのそれに役立ってくれれば幸いです。
作中で書きませんでしたが、ファンを騙って、問題発言等を行い、ネガティブキャンペーンを行うというような事をやっている人達もいるみたいです。
例えば、あるアイドルグループが嫌いな人が、自分はそのアイドルのファンだと偽って、問題発言をする、みたいな……