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46・息子に舌打ちされるって本当に嫌だな

「パパおはよう、きょうお兄ちゃんとあえるんだよね、マリンわくわくしちゃうな」


「そうだね、お兄ちゃんにたくさん遊んでもらえるといいね」


「うん、マリン、お兄ちゃんにあそんでもらうんだ!」


 う〜ん、今日も元気で明るく良い子で可愛いマリンちゃんです。


「マリン、今日はみんな大事なお話しをしに行くのだから、シヴァルに遊んでもらうのは後にしなさいね。言う事訊いて良い子にしないと連れて行かないわよ」


「はい、ママ。マリンよい子にします」


「うん、良い子でね」


 早速奥さんに釘を刺されたけど、めげないマリンちゃんも最高に可愛いです。



「おはよう。今日はお願いしますね、ランスロード、ヴィア」


「あたし達は援護射撃みたいなものでしょう。実際に話して馬鹿獅子から有利な条件を引き出すのはあんたでしょ、性悪女。あんたこそしっかりやんなさいよ」


 エレンスィリアの朝の挨拶を、しっかりと毒舌で返す僕の奥さん。今日も絶好調みたいだな。


「ええ、任せておきなさい」


 ん、何だろ、エレンスィリアに何か違和感みたいなものを感じる。

 奥さんの毒舌をサラッと流してるところはいつも通りなんだけどけどな。

 何だろ、エレンスィリアも大事な話し合いを前に緊張してるのかな?



 朝食を終え、全員が集合して今日の目的地であるエーレスト山の麓を目指して歩き出した。

 エルファリアまで旅してきたヴァンレイン亜人国のメンバーにエレンスィリアを加え、更に150人ものエルフの護衛団を加えた大所帯だ。


 エーレスト山は僕達の住んでいる山脈とは違い、ポツンと一つだけで高い山が聳え立っているらしい。

 その山の麓にある平原の一つ、ルクッラ平原が今日の目的地だ。



「大丈夫マリンちゃん、疲れてない?」


「だいじょうぶ、マリンまだあるけるよ」


 小さな足を交互に動かして健気に歩くマリンちゃん。可愛い過ぎます。


「あ、あれかなパパ、あそこまでいくのかな?」


 マリンちゃんが小さなお手手から、ぴょこっと可愛らしい指を突き出して前方を指差すマリン。


「そうみたいだね、良く見つけたねマリンちゃん」


 マリンちゃんの指の先にあったのは、広大の平原にポツンと立った白い大きな天幕。その周りは天幕と同じ白色の横幕を張った柵で覆われていた。

 その柵の向こう側には沢山の獣人の姿が見えている。どうやらライオル達の方はもう到着しているようだ。


 僕としてはライオル達に会いに行くよりも、此処で天幕の方を指差しているマリンちゃんの可愛いお手手をずっと眺めていたいんだけどね。


 そうもいかないので、僕も足を進めて天幕を囲む柵に近づく。


 僕らが柵に近づくと、エルフの護衛団から二人のエルフが出てきて、クルクルと横幕を巻き上げてくれた。

 左右に開いて横幕を巻き上げた二人のエルフはそのまま横幕を押さえて待機している。

 その二人のエルフの間を通って、エレンスィリア、奥さんの順に柵の中に入った。僕も奥さんの後から柵の中に入る。


 大きな天幕をグルリと取り囲んでいるだけあって、柵の中は意外と広い。

 天幕の下には椅子が2列に並べて用意してあった。

 こちら側の椅子に向かって、エレンスィリアとヴィアさんが歩いていく。

 あちら側の椅子の前後にはサバルナ獣人国側の人達が並んで立っていた。


 あちら側に並んだ真ん中の椅子の前にライオルが立っていた。


 おお、相変わらずデケェなぁアイツ、厳つい顔も変わんね〜な〜。


 そのライオルの右隣、こっちから見ると左に立っている人間の子供。アイツ本当に人間か!

 闘気と魔力の量がハンパねぇ、コイツはヤバイって。メテスとタイマン張ったってガチじゃんか! 目を合わせないようにしとこう。

 コイツと闘り合うのは絶対に嫌だ。マジ帰りたい。


 ん、人間の子供のアホみたいな闘気で気付かなかったけど、ライオルの逆隣にいるのってシヴァルじゃんか! うわ〜、久しぶりだなぁ。

 お、アイツこっちを、お父さんの事を見てるじゃんか!


「よおっ!」


「チッ」


 え、嘘、何、舌打ち? 今、小さく聞こえたのは舌打ちなの?


 なんだよ、アイツまだ俺の事怒ってんの?


 アイツが家出してから大分経ってるじゃんか、アイツももう大人でしょ。

 舌打ちはないよな〜舌打ちは。

 お父さん悲しいなぁ、落ち込んじゃうなぁ。


 やっぱり僕の癒しはマリンちゃんだけだな。

 あ、マリンちゃんが入ってきた。


「あ〜、お兄ちゃんだ! お兄ちゃんだ!」


「ま、マリンちゃん! マリンちゃんがどうして此処に?」


 シヴァル奴が驚いてやがる、でもまあ普通驚くわな。


 あ、マリンちゃんがシヴァルの方に駆け出した。今はまだシヴァルのとこに行っちゃダメだよマリンちゃん、ママと約束したでしょ。


 良し、トンコちゃんがマリンちゃんを捕まえた。流石トンコちゃん、ナイスブロック!


「どういう事だよお袋! なんでマリンちゃんをこんな所に連れて来た!」


「五月蝿いわね、マリンがあんたに会いたいって着いてきたのよ、少し落ち着きなさい」


 ヴィアさんも流石だな、激昂してるシヴァルの言葉を冷静に受け流してる。

 そういえば家出する前にもシヴァルはよく怒ってたけど、ヴィアさんには軽くあしらわれてたな。

 あの頃は良かったなぁ、僕も気楽だったし、自由に引きこもれたしなぁ。


「会いたいって、マリンちゃんが怪我でもしたらどうすんだよ!」


 あの頃からシヴァルは妹想いの良いお兄ちゃんだったんだよな。心配するのも当然か!

 よしよし、お父さんが息子の為に助け船を出してやるかな。


「まあまあシヴァル、久しぶりに会ったんだから」


「親父は黙ってろ!」


 食い気味に息子に怒られた! 僕は一応君のお父さんだよ!


「黙ってろって、そんな怒鳴んなよ」


 折角僕が息子の為に一肌脱ごうと思ったのにな。落ち込むなぁ。


「シヴァル、今は控えてくれるか? この場は俺様にとって大事な場なんだ」


「あ、ああ、すまねえ、つい、な」


 ははは、ライオルに怒られてやんの、お父さんを蔑ろにするからだ。ざまあみろシヴァル。


「お兄ちゃん、あのね」


「後になさいマリン、今は駄目です。言う事を訊くっていう約束でしょ」


「はい、ママ」


 ヴィアさんに窘められてマリンちゃんがシュンとしてしまって。ヤベエ、シュンとしたマリンちゃんが可愛い過ぎだ。可愛い速報でマグニチュード100だな。



 なんだかんだあったけど、僕たちエルファリア側も全員が席についた。

 椅子に座ったのは端から、ブーザン、僕、エレンスィリア、ヴィアさん、クロス、そして向こう端に座ったトンコちゃんの膝の上には、我らがマリンが座っている。

 そしてその列の後ろに、ゾーンさん、トラさん、ヨドン、スヴァディリ、ユールさん、グル二さんが控えている。


 それにしてもさ、この席には座りたくなかったなぁ。奥さんが此処に座れって目で合図したから仕方なく座ったけど、正面に座ってるのがあの人間の子供なんだよな。

 なんて名前だっけか? え〜と、あ、ナスカくんだったな。


 改めて見てもやっぱりナスカくんはヤバイな。闘気や魔力だけじゃない。

 多分ナスカくんの一番凄いところは潜在能力だと思う。


 僕の国の仲間たちは増えて、今では10万体を超える魔物達が集まっている。

 もし仮に僕が通常のナスカくんと闘った場合でも全仲間達の力の2割弱くらい《借力》で借りる事になるだろう。もしナスカくんが潜在能力を引き出す事が出来るのなら、どのくらい借りる事になるかわからない。

 まあ、闘うことにはならないと思うけど、前もって全仲間達に無制限に力を借りる許可を得ておいて良かったかもしれないな。


 それにもう一人、シヴァルの隣に座っている小さな女の子。アレもヤバイ。

 一見人間に見えるけど、絶対に人間じゃないな。ニーズヘイルと似た気配だから竜族と関係がある娘かもしれない。


 それにしてもナスカくんって魔獣メインの国を建国したんだよな、たしか。

 その割にはナスカくんは人間だし、隣の女の子も人間だよなぁ。この娘も人間離れしてそうだけど。

 その隣の女の子も一見すると人間なんだよなぁ。ただ、この娘は色々と気配が混じってるからよくわかんないけど。

 でも、この娘も強いのは間違いないなぁ。


 後ろに控えている奴らは確かに魔獣ばっかりなんだよな。どいつもこいつも種族限界ぶっちぎってそうだけど。


 何かよくわからん団体なんだな、ナスカくんのところって、ナスカくんの後ろの狸くんとアライグマちゃんの意味もわかんねぇしな。



 まあ、僕がそんな事を考えている間に、ライオルが立ち上がって話し始めた。出来れば全員の紹介をして欲しかったとこだけど、早く本題に入ればその分早く終わるから、まあいいか。


「早速だが、ニーズヘイル様を迎える為の話し合いを始めたいと思」



バヅン!



 痛っ! ヤバ! 頭の中に針を刺されて、そこから何かを入れられるような感覚。波動か!


 周りのみんなが頭を押さえている。ヤバイ、波動を打ち込まれたのであれば精神系の攻撃の可能性が高い!



「貴様! よくもラスリルを! 許さんぞ!」


「え、ちょっとルル、どうしたんだ!」


 クソ、レジスト出来なかった者達に影響が出始めた。ナスカくんはレジスト出来たみたいだな。


「あんたら! マリン様に何しはるかあ!」


 トラさんもやられたか、精神系の攻撃!

 何だ? 操作? 魅力? 幻覚? どれだ畜生!


「ちょ、トラさん、ちょっと待って!」


 駄目だ、止まらん!


「ガアアァァァ!」


「ぬりゃああぁ!」


 トラさんとナスカくんの後ろにいた狼くんが始めちまった。


「奥様に手を出すな〜!」


「リリ姉さんをよくも〜!」


 ゾーンさんもか、そこら中に殺意が充満してやがる。クソが! 何人やられた? いや、何人レジスト出来たんだ!


 クッソ〜、どう対処する。どうやって止めればいいんんだ!


 遂に[転生5回目・・・]とのリンクが始まりました。

 2作品同時系列での創作作業は初めてで不安もありますが、これがやりたくて2作品の同時連載をしてたので、頑張ります。




 誕生日投稿スペシャル

 本日通算17回目

 この作品では本日4回目の投稿になります。

 後何回投稿出来るかな?







 【作者からのお願いです】


 読者様からの反応を何よりの励みとしています。

 ポイント評価、ブクマ登録、感想、レビュー、誤字報告を頂けますと、創作意欲のより一層の向上に繋がります。

 お手数だとは思いますが、何卒宜しくお願いします。




 連載中の[不幸続きで転生5回目・・・]です。

 この小説とリンクする作品となります。

 ↓

 https://ncode.syosetu.com/n7763fx/



 互いに独立した自己完結する作品に仕上げる予定です。

 こちらもよろしくお願いします。

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