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44・食べ過ぎて太るのは嫌だな

 今回は、この作品ではあまり書いていない日常回です。楽な気持ちでお読み下さい。

 僕はアルス山脈中央部の魔物達を連れて、ヴァンレイン亜人国の首都アザマへと戻って来た。

 帰宅して2日間は、家族総出で魔物達の名前を考えて僕が名付けを行なっていくという行為に費やされる事となってしまった。

 だから仲間にするのは嫌だったんだよねぇ。

 唯一の救いは、マリンちゃんがノリノリで名前を考えていた事。

 因みにマリンちゃん曰く、今回の傑作はオスのお馬さんに付けたヒヒーンクンとメスのお馬さんに付けたパカパカさんだそうです。


 ベルグレシの2体の首領と大将格である2頭のスレイプニルの名前は、グィネさんが考えました。


 雄の首領の名前はヨドン。雌の首領の名前がユール。

 赤毛の牡馬の名前はスヴァディリ。白毛の牝馬の名前はグル二に決定した。


 グィネさんが考えたこの名前は、僕達家族から大好評で、今後も重要役職に就くであろう魔物の名前はグィネさんが考える事に決まった。

 僕達は今まで適当に考えてたからね。勿論マリンちゃんは本気で考えてるんだけど。


 名付けをしてもベルグレシとスレイプニルは進化しなかった。だが、種族名こそ変わらなかったが、若干体型が細くなり精悍さが増していたけどね。


 アルス山脈中央部の魔物達は、ヴァンレイン亜人国の国民となったが、アルス山脈中央部に新たに2つの街を建設して、その統治を行う事が決まった。

 街の名前には二人の首領が治めていた山の名前をそのまま付けて、アルガー街とユンゲフロウ街である。


 新たな街を建設するにあたり、オーグスが配下のオーク1部隊を連れてアドバイザーとして同行することとなった。


 そうしてアルス山脈中央部の魔物達はオーグスと共に自分達の支配地域へと帰っていったのだった。





「旦那様、スヴァディリさんとグル二さんがお見えになりました」


「へ?」


 僕がマリンちゃんと官邸洞窟(自宅)で遊んでいると、トンコちゃんがそう伝えてきた。


「アイツら自分達の山に帰ったばっかりじゃない、何かあったの?」


「いえ、挨拶だけと仰ってますけど」


 挨拶ったって、こないだ帰ったばっかりなのにと思いながら玄関へと向かった。


「どったの、あ、ごめん、どうしたの二人とも、この間帰ったばかりなのに」


 今迄マリンちゃんと遊んでたから、子供言葉が出てしまって、僕は慌てて言い直した。


「すいません我が主よ、山で良型のマウントボアが取れましたので持参した次第です」


「スヴァディリが主様のところに行くというので、私の所で採れたコカトリスの卵も食べて頂きたいと、私も同行してきました」


 マウントボアはアルス山脈の中央から北の地域にしか生息していない希少な猪だ。その肉はサシの入った上質な霜降り部位と余分な脂のない赤身部位とがあり、大変美味いらしい。

 コカトリスはアザマ山にも時折飛来するが、卵はこの辺りでは滅多に採れない。黄身の味が濃くて美味しい、僕の大好物である。


「おお、わざわざありがとうね。頂くよ」


「ランスロード様、あたいの街で5メートル級のデザートワームが取れたんで、持って来ましたよ」


 ちょうどその時に、ゾーンさんが巨大なミミズを首に巻いてやって来た。


「見た目は悪いですが、5メートルを超えたデザートワームは滅茶苦茶美味いっすよ。是非食ってみて下さい」


「おお、昔モルドに食わせて貰った事があるよ。無茶苦茶美味かった」


 確かに見た目は悪いけど、皮はプリ、中身はトロっとして濃厚な味わいだった。何百年ぶりかな?


「ランスロード様。前に話してたエメラルドフォレストサーペントが罠にかかりましたんで持って来ましたわ、食べておくんなまし」


 トラさんまで緑色の蛇を携えてやって来た。


 エメラルドフォレストサーペントは前にトラさんが絶賛していた蛇で、鶏肉と獣肉の中間くらいの癖になる味らしい。次に取れたら持って来て欲しいと僕が頼んでいたものだ。


「トラさんもありがとうね、頂くよ」


 それにしても一度にたくさんの食材を頂いてしまった。どうしようかなと思っているとトンコちゃんと目が合った。


「旦那様、折角ですからアザマの迎賓館に移動して、みなさんで頂いたらどうでしょうか? 迎賓館の厨房なら広いですから、調理はあたしが致しますよ」


「お、いいねえ、流石トンコちゃん。そうしようか」


「マリンもおりょうりのおてつだいする!」


 マリンちゃんも張り切ってる事だしね。みんなで迎賓館に移動する事になった。





「某とブーザン殿とで1羽づつ仕留めました」


「どうですランスロード様、フライングエミューの雌は希少ですよ」


「あんたらね、このデカイのを2羽も運んだのはワイやからな」


 ゴザークとブーザン、それにフアサさんが1羽5メートルはあろうかという巨大な鳥2羽の前でドヤ顔を決めている。


 フライングエミューの特に雌は肉質が柔らかくて大変美味い。でも、また食材が増えてしまった。


 僕はちらりとトンコちゃんの顔色を伺う。


「大きな獲物が多いので、外で捌いて仕舞いましょうか」


 トンコちゃんはそう言って笑顔を見せる。流石はトンコちゃん、巨大な獲物の山を前にして、全く臆するところがない。


「トンコちゃん、マリンは?」


「マリン様はあたしが切り分けた部位をボールに入れていってくださいね」


「りょうかいしました!」


 お仕事を得たマリンちゃんが張り切って敬礼する。う〜ん、可愛いさ100億点!


「他の人達はボールを迎賓館の厨房へと運び込んで下さいね」


「「「了解です」」」



 指示を出し終えたトンコちゃんが愛用の2本の包丁を取り出した。そう、トンコちゃんは二刀流なのだ。


ズバッ、シャシャ、スパーーーッ


「「「おお〜!」」」


パチパチパチパチパチパチパチパチ


 トンコちゃんの見事な包丁捌きに歓声と拍手の嵐が巻き起こる。しかし、トンコちゃんは休む間もなく作業に没頭する。


ズバッ、シャシャ、スパーーーッ


 凄まじい速度で捌かれ、あっという間に様々な部位へと切り分けられていく大量の獲物達。


 トンコちゃんって魔法も凄いけど、剣士に転向した方が良いんじゃないかな。


「ふう、捌き終わりました。それでは厨房に移って調理に取り掛かりますね」


 その間僅か10分。驚異的なスピードで食材を捌いたトンコちゃんが、調理場へと移動し、その後をマリンちゃんが着いて行った。

 う〜ん、トンコちゃんって何者!


 僕も迎賓館の中に移動しようとすると、その迎賓館から沢山の使用人が外へと出てきた。

 その手には机や椅子、更には食器等を持って外へと運び出している。


 そんな使用人達に指示を出している、2つの影があった。僕の奥さんとお嫁さんであるヴィアさんとグィネさんだ。

 二人共、外で宴会を開く気満々のようだ。その指示に余念がない。


 あっという間に宴会会場へと変わっていく迎賓館前の広場。その宴会会場へと運び出されていく、数々の料理達。って早すぎるでしょ。

 トンコちゃんはどんな速度で料理作ってんだよ!


 なんと30分後には宴会が始まり、その宴会は翌日の朝まで続けられました。

 宴会は嫌でも面倒でもないけど、やり過ぎじゃないの?




 うぷっ、もう食えない、お腹パンパンだ!


 これ以上食べたら、食べ過ぎで太っちゃうよ。


 誕生日投稿スペシャル3時台、この作品では本日2回目の投稿です。

 24回も投稿出来るかはわかりませんが、頑張って書き続けますよ。







 【作者からのお願いです】


 読者様からの反応を何よりの励みとしています。

 ポイント評価、ブクマ登録、感想、レビュー、誤字報告を頂けますと、創作意欲のより一層の向上に繋がります。

 お手数だとは思いますが、何卒宜しくお願いします。




 連載中の[不幸続きで転生5回目・・・]です。

 この小説とリンクする作品となります。

 ↓

 https://ncode.syosetu.com/n7763fx/



 互いに独立した自己完結する作品に仕上げる予定です。

 こちらもよろしくお願いします。

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