3・仲裁とか面倒で嫌だな
前話の聖拳の名前をカイザールからアローダンに変更しました。作者の設定の見間違いでした。すいません。
☆
オーグスの言ってる不吉な事ってなんだろうな。
気のせいだといいなあ。
僕と嫁さんと愛娘、それにオークメイドのトンコちゃん、つまりは一家総出で麓の村までやってきた。
森の異変の真偽を確かめる為にね。
クロスは「目立ちたくない」と言って来なかった。
いいな〜、僕も引き篭もりたい。
「それでどうなのオーグス、何か掴めたの?」
「はい、ヴィア様。森よりも更に南のエフード王国の国境付近の砂漠地帯で何かの予兆があるみたいです」
「何かって何よ?」
「そこまでは掴めていませんが、魔素溜まりが出来ているようです」
「魔素溜まりか、というと何かが生まれる、若しくは復活する予兆かな。・・・まあ、予想通りって事ね」
「復活って事だとやっぱりあいつらの中の誰かなの?ヴィアさん」
「西の大陸に近いところだから、ルシフルの関係者じゃないかな。まだ復活を遂げてない、あたしの元上司の方達にしたらルシフル復活の地に近すぎるわ」
「方達?、いつもはあいつらって言ってるのに、ヴィアさんもやっぱ元上司は怖いの?」
「尊敬してんのよ、あのお二方は他の二人とは違うのよ。どっちにしてもあんたの仕事が増えるって事なんだから、しゃんとしなさいよ」
「だよね〜。嫌だな〜」
「ママこわい? こわいのやだよ、ママ」
「マリンは心配しなくて大丈夫だよ。パパがやっつけちゃうから」
「マリンはトンコと遊んでなさい」
「うん。トンコちゃん行こ!」
「はい。マリン様」
僕の天使ちゃんがトンコちゃんを連れてオークの子供達の輪の中に入っていく。
他の子供達と比べても、ぶっちぎりで一番可愛いなあ、うちの天使ちゃんは。
「それでですね、その影響で森に争いが起こってます。その中でも数が多くて力の弱い種族がランスロード様の庇護を求めてきてます」
え〜、面倒くさいな〜。
僕は途端に顔を顰める。顔に出ちゃうんだよね、僕。
「助けてやりなさいよ、あんた。どうせ暇してるんだから」
「でもさあ、数多いんでしょ。名付けとか面倒くさいし」
「庇護を求めてるのって、誰?」
「コボルト、ゴブリン、リザードマン達です。森中から集まってきているので、大量にいますね」
「リザードマンってそんなに弱かったっけ?」
「特別に弱いというわけではないですが、森で大きな争いを起こしてるのが、ギガースとオーガなんで」
ギガースとオーガか、あいつらは森では上位種族だもんな。リザードマンでも太刀打ち出来ないか。
「んでさあ、数ってどんだけいるの?」
「今迄に集まってきているのが、ゴブリン8000体、コボルト1万2000体、リザードマン3000体ですが、まだ増えそうですね」
「嫌だ。断わる」
「そう言わないでくださいよ。それとこの村以外の同族達も、この機会に正式にランスロード様の庇護下に入りたいと言ってきていて」
「同族ってオークでしょ?」
「ですよ」
「何体?」
「5000体です」
「帰ってもらいなさい!」
「頼みますよ〜」
「絶対に、い・や・だ〜」
「あんたが今迄サボってたのが悪いんでしょ。やってやんなさいよ!」
「名付けはあたしも手伝ってあげるから」
「大体さあ、元凶になっちゃってるギガースとオーガはどうすんのさ?」
「それもランスロード様に仲裁していただけると助かるんですが」
「面倒事ばっかりじゃんか〜」
「オーグスがやんなよ。勝てるでしょ」
「勝てますけど、奴らを納得させられるかは自信ないですよ、一応ワシもオークなんで、奴らよりは下位種族ですから」
「オークキングでしょうが」
「見た目は変わらないんですよ」
「あんたがやりなさい!」
「だけどさあ、ヴィアさん」
「やりなさい!」
僕の嫁さんは厳しいなあ・・・
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連載中の[不幸続きで転生5回目・・・]です。
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互いに独立した自己完結する作品に仕上げる予定です。
こちらもよろしくお願いします。