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27・勇者と大魔王

「ガハハハ、やっと面白そうな奴が来たじゃねぇか! 遅せぇんだよ」


「ふん、アイザーの子孫か。まあ、あのクソ勇者よりはマシな様だな、覚醒するのも時間の問題のようだ」


「ああん、クソ勇者ってのは俺様の始祖のアイザー様の事か? テメエは昔、そのアイザー様に潰されたんだろうがクソ悪魔野郎」


「何だ、貴様は何も知らんのだな。私が300年前に負けたのは【勇者】アイザーのパーティーメンバーだった【英雄】ランスロードにだよ」


「はあ? ランスロードってのはアイザー様のパーティーメンバーで唯一死んじまった三下だろうが」


「なるほどな、自分の子孫達にも真実を伝えぬのか、あのクソ勇者らしいな。アイザーは確かに勇者の資格を持つ者ではあったが、その闘級は勇者の中でも目覚めたてで最低の勇者種であったよ。アイザー如きにやられる大魔王などおらん」


「何? どういう事だよ?」


「知らんのなら教えてやるが、強さを表すものに闘級というものがある。勇者には勇者種、勇者、覚醒勇者と段階があり更にはその上にも超越した者、超人という闘級が人間には存在するのだ。まあ普通は超人というものには勇者を経てたどり着くものなのだが、私を含めた大魔王が敗れたランスロードは勇者を経ずして超人となった化け物なのだよ」


「ちょっと待て、我が始祖アイザー様は弱かったとでも言うのか?」


「その通りだ。貴様にわかりやすく言えば、たった今、正門を破って出てきた者がいるだろう。アレは貴様の仲間だな」


 ディブロは、たった今正門を内から破ったドルツランドの勇将、ペドラン大将軍を指差して言った。


「私の見たところ、あの者は勇者の素質を有していないが、その強さは覚醒勇者に匹敵する。この時代にもあのような化け物がいた事に些か驚いているよ」


「ペドランか! 確かに奴は勇者ではないが、90歳を越えた今でも俺様より強いかもしれん者だ。ランスロードってのは、あの化け物よりも強いのか?」


「今の奴の事は知らんがな、300年前の奴はあの者よりも遥かに強かったよ。確かめたければ自分で確かめるといい。奴もこの戦場に到着したようだからな」


「そうか、始祖アイザーってのは弱かったのか、今の俺様やペドランよりも、面白れえな」


 ラオルースが笑みを浮かべる。その俺様な性格で勘違いされがちだが、強さに対しては誠実で純粋な男だ。そして話でしか聞いていない自らの始祖アイザーの事を神聖視もしていなかった。

 自分が現時点でペドランより弱いことも自覚している。しかし、最終的には自分が最強の座に座ることを疑ってはいない。

 ラオルースにとって、更なる強者の出現は単純に喜ばしい限りであるのだ。



「ところでよぉ悪魔野郎、魔王にも闘級ってのがあるのかい?」


「ああ、魔王にも魔王種、魔王、覚醒魔王、大魔王と四つの闘級が存在する」


「その上は?」


「ない。その上は神の領域だ」


「神の領域か! いいじゃねぇか神の領域! 俺様はその領域まで上がる事にするぜ!」


「人の身でそこまでいけた者の話は私も聞いた事はないが、可能性としては無い事はないだろう」


「ガハハハ、先ずはテメエを潰して覚醒勇者とやらになるとするぜ」


「ふん、やってみると良い。今の貴様に私が倒せるとは思わんがな」



「やかましい、行くぜ、ウオオオアアァァー!」


ズガアアアァァン


 四大魔王の一人と覚醒間近の勇者との闘いが始まった。

 最初の二人のぶつかり合いの余波を受けて左の出城は壊滅した。二人はその戦場を広い平原に移す。


「焔を纏えカイザール!」


 ラオルースの言葉に聖剣カイザールが深赤の焔を発火し出す。

 その聖剣を真横に構えたラオルースが一直線にディブロに近づき、聖剣を横一文字に薙ぎ払う。


ブフオォンッ


 ラオルースはその一撃で悪魔を捉えた筈であった。

 しかし、悪魔の姿はそこにはなく、あったのは赤金に光る悪魔の目の残像だけであった。


フシュウンッ


「ほう、今のを避けるか。どうやら口だけではないようだな」


「ぬかせ、俺様を舐めるなよ!」


 ラオルースの額から一筋の血が流れる。


 ラオルースの聖剣を瞬間移動で交わしたディブロは、ラオルースの背後に現れ、伸ばした爪でラオルースの頭を切り裂いた。

 が、ラオルースも寸前で身体を捩り回避、ディブロの爪はラオルースの額を僅かに傷つけただけであった。


「では、私も少し本気になろうか。悪魔らしい闘り方でな」


「ハッ!」


ババッ、ピシッ


「クソがっ!」


 ディブロの殺気を感じ取ったラオルースは突然後ろに飛んだ。ラオルースのいた場所が凍りついている。


「チッ!」


ババッ、ピシ


「ハッ!」


ババッ、ピシッ


「このやろう!」


ババッ、ピシ


 ラオルースが全力で左右へ、後ろへと飛び回る。その度にラオルースのいた地点は凍りついていた。

 無詠唱で発せられた氷魔法[アイスロック]によるものだ。悪魔は魔法のスペシャリストである。


「クソがっ!」


ババッ、ピシ、ドシュン


「ぐあっ!」


 ラオルースが[アイスロック]を躱して飛んだ先に、待ち構えるように現れた黒い棘、無詠唱の闇魔法[ブラックニードル]に左肩を貫かれた。


「っのやろ!」


フシュウゥン


「ぬあぁぁっ!」


「なるほど、勘は良いようだな」


 ラオルースの胸の鎧に3本の傷跡がついている。

[ブラックニードル]に貫かれた直後のラオルースの背後に瞬間移動で現れたディブロの爪による攻撃でついた傷跡である。ラオルースはこの攻撃も勘だけで避け致命傷を避けたのだ。


「クソったれがぁ!」


ブフアァオォン!


 ラオルースが距離のある所から、聖剣カイザールを振るう。カイザールからは焔の一撃が宙を舞って放たれるが、ディブロは瞬間移動でなんなく回避する。


「でやあああ!」


ダダッ


「ほお!」


 ディブロの瞬間移動の出現先を勘で捉えたラオルースが飛び込む。


ブオォンッ


 しかしそのラオルースの一撃もディブロは連続の瞬間移動でなんなく回避する。


「なるほど、覚醒は間近であるな。大したものだ」


「ぬかせ! 絶対に捉えてやる!」


 愚直に突撃を繰り返すラオルースの攻撃をなんなく回避するディブロ。

 対してラオルースは、ディブロの反撃により少しづつ削られていく。


 強い! ラオルースは四大魔王の強さをその肌で感じ取っていた。



 勇者VS大魔王。聖剣VS魔法の闘いは続いていますが、次回は主人公がメインの話に戻ります。







 【作者からのお願いです】


 読者様からの反応を何よりの励みとしています。

 ポイント評価、ブクマ登録、感想、レビュー、誤字報告を頂けますと、創作意欲のより一層の向上に繋がります。

 お手数だとは思いますが、何卒宜しくお願いします。




 連載中の[不幸続きで転生5回目・・・]です。

 この小説とリンクする作品となります。

 ↓

 https://ncode.syosetu.com/n7763fx/



 互いに独立した自己完結する作品に仕上げる予定です。

 こちらもよろしくお願いします。

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