20・ルシフルのとこに行くのは嫌だな
「あ〜あ、行きたくないなぁ、なんで僕にお休みくれないのかなあ」
「いつまでブーたれてんだよ。俺様を西の大陸まで送るって言ったのは貴様だろうが、ランスロード」
「そりゃあ言ったけどもさあ、折角家に戻ったんだからもう少しは休んでても良くない?」
「お前だってまだダメージ抜けてないんだろ? アポリドン」
「ダメージは抜けてねぇが、俺様は早くルシフル様のとこに行きてぇからな、文句はねえぜ」
ダメージ抜けてないのに元気だな〜、こいつ。
「あんたら、いつまでもワイの上でブツクサ言ってんやないで〜、ホンマに」
「フアサさんって雌でしょ、自分の事をワイって言うの変じゃない?」
「おう、雌でワイはおかしいな。それに俺ぁブツクサ言ってねえぜ」
「男がいちいち小さい事を気にしなや、ワイは好きに喋っとんのやさかい、ほっといてんか、落とすでホンマ」
まあ、いいけどさ、もう少し休みたかったなあ。
僕達は今、西の大陸に向かい空を飛んでいる。
西の大陸、アフゥーリャ大陸に復活した大魔王ルシフルに会うためだ。
どうも最近、みんなの人使いが荒い気がする。
エフードからアザマ山に帰ってすぐに嫁さんが「建国の準備するから、あんたはルシフルのとこに行って来なさい」だって。
まあね、嫁さんの人使いが荒いのはいつもの事ですが、それを横で聞いてたオーグスが「移動に都合のよい魔物をスカウトしておきましたよ」だって。
何、余計なことしてくれてんだよ、オーグス!
それで幻獣バサンを紹介されたんだけど、あいつ、バサンなんて超レアな希少種をどこで見つけてきたんだよ。
それでまあ、その幻獣バサンにフアサって名付けをしたんだけどね、直接にマリンちゃんから「パパがんばってね、マリンも良い子にしてまってるから」って得意の良い子発言が飛び出しちゃって・・・
僕はマリンちゃんの良い子発言には弱いんだよ。
マリンちゃんに悪気は無いし、あのキラキラした目で言われちゃうと、つい「うん、頑張るよ」って言っちゃうんだよね。
僕がマリンちゃんに返事をした時に、トンコちゃんが、良し、って顔してたんだよなぁ。
多分、嫁さんの入れ知恵なんだけど、トンコちゃんが嫁さんの部下みたいになっちゃってる気がする。
まあもう出発しちゃってるからね、しょうがないんだけど。
それにしても幻獣バサンって鳥化するとデカイんだな。
紹介された時は獣人化してて、身長は170センチくらいの綺麗なお姉さんだったのに、鳥化したら8メートルくらいになって驚いたよ。
マリンちゃんも「とりさんすご〜い、おおき〜、パパをよろしくね、とりさん」って言ってた。
ダメだ、思い出しただけで全身に鳥肌が立ってきた。
早く帰ってマリンちゃんに会わないと、禁断症状が出てしまう!
「あんたら、西の大陸が見えてきたけど、この後はどっちに進んだらええの?」
「う〜ん、気配からするともう少し南西だね、フアサさん」
「おう、後2時間も飛べば着きそうだな」
「あいよ、南西やな」
あ〜、もうじき着いちゃうかぁ、嫌だな〜、帰りたい。
☆
なんだこりゃ〜、ルシフルの奴何考えてんの〜
「ランスロード、テメエ何しに来やがったんだ?」
僕は目を丸くして目の前のモノを眺めている。
「おい、こら、シカトしてんじゃねぇよこの〜」
その目の前の建造物は、圧倒的な存在感を放っていた。
それとルシフルが何か叫んでる。
「お〜い、聞いてんのかこら、お前、俺に会いに来たんだろうが、無視すんなや、お〜い」
「ルシフルってさ〜、復活したのいつ?」
「はあ〜、やっと喋ったと思えばそれかよ。まあいい、1カ月ちょい前だけど、何だよ」
「あ、そうか、そ〜だよな、どっかの城を奪ったんだ。だよね〜、ルシフルってば手が早いんだから、も〜」
「あ〜、城かぁ、俺が作ったんだよ、どうよ、イカスべ」
「はあ〜、作った〜、こんなでかい城を1カ月で建てたのかよ、マジで〜?」
ルシフルって昔から見栄っ張りだったよな、そういえば、いやいや、それにしてもデカ過ぎだろ、この城。
「どうよ、気合い入ってるべや、城は必要だからよぉ、やっぱビシッと決まってんの建てねえとよ」
「いや、でもその格好はないよ。それも作ったの?」
ルシフルは刺繍が入りまくった丈の長い上着に太いズボンを履いている。上着の背中には刺繍文字で[天上天下唯我独尊]と書かれているし、ギンギンに立たせた銀髪も何かヤバイ。
「はあ〜、何だテメエ、ムチャクチャシブイだろ〜が、いきなり来て調子こいてんじゃねぇぞらこら〜」
それからしばらくは、僕とルシフルとで口論となった。
口論中にアポリドンを送ってきた事や、ぶっ飛ばしたワケとか、エフード国に手を出さないようにとか、どうにか来訪の趣旨は伝えられた。口論しながらだけど。
そういえば300年前もルシフルとはよく口論になった、ていうよりもルシフルって口論好きだよなぁ、そんなところも何か前時代的なんだよな〜。
「まあ、アポリドンのやつを送ってくれた事には、一応、礼は言っとくわ、ありがとうよ」
「お久しぶりです、ルシフル様、ご復活おめでとうございます」
「テメエ、何負けてんだ、こら、気合い入ってんのか、テメエはよ〜」
「すんません、兄貴、次は負けねぇっす」
そのノリいい加減にやめてくれないかなぁ。
「それで、大体話はわかったけどよ。だからって俺達が人間に手〜出さねえって事には、ならねえべや。大体テメエ自体が今もマトモに戦えんのかって話よ」
「戦えないって事はないよ。まあ、戦いたくはないけど」
「一応、アポリドンと闘って大分勘も取り戻したしさ」
「それが信用出来ないって言ってるべや、アポリドン如きに、さっき言ってた《借力》っての使ってやっと勝ったんだろうが」
「昔のテメエなら、《奪力》使わなくても、アポリドン如きなら楽勝だったべ」
「そんな如き如き言わんでくださいよ、兄貴」
「テメエは黙ってろって言ってんべや、こら〜」
「す、すんません、兄貴」
だから、そのノリ止めろって。
「ランスロードよぉ、テメエちょっと俺と闘るべや」
「えっ!」
あれ、何か急におかしな空気になってない?
嫌だなぁ、ヤバイべや。
四大魔王勢初登場のルシフル編スタートです。
喧嘩上等な奴なんで、結局闘る事になりそうですね。
☆
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連載中の[不幸続きで転生5回目・・・]です。
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互いに独立した自己完結する作品に仕上げる予定です。
こちらもよろしくお願いします。




