2・武器とか物騒で嫌だな
「パパたち、おさけなんてのんでわるいんだ〜。またママにおこられちゃうよ」
マリンちゃん、パパの心配してくれるんだね。何て良い子なんだ。
天使ちゃん通り越して、もう女神様だね。いや、女神も霞んじゃうな。
「マリン様、お菓子食べますか? おつまみのついでに作りますけど」
「ほんと? やった〜。トンコちゃんありがとう」
喜んでる姿が、また、可愛いなあ。笑顔が輝いているよ。眩しい! ヤバイ、眩し過ぎてパパが灰になってしまうじゃないか。
ヴァンパイアハンターだな、マリンちゃんは。
「それで君はいつまでこの洞窟に居候するつもりだい、クロス君」
「堅いこと言うなよランスロード、俺とお前の仲じゃないか」
「どんな仲だよ。君は只の居候だよ」
そういえばクロスがこの洞窟に来たのっていつだっけか? 30年くらい前だったかな?」
彼の名前はクロス。種族も何も不明。
見た目は人間だけど、絶対に違うよな。30年前から全然見た目が変わらないし。
彼はふらっとこの洞窟に現れて「頼むから匿ってくれ」と言ってきて、そのまま居着いてしまった。
今では僕の家とは別の家を洞窟の中に建てて住んでいる。
まあ別にいいっちゃいいんだけど、謎だらけでよくわかんないヤツなんだよなぁ。
うちの天使に何かしたら殺すけどね。
「あんたら、昼間っから大の大人が酒呑んでないでよ。今日はお客さんが来るんだから」
「あっ、奥さん。お邪魔してます」
「これ、つまらない物ですけど」
外面はいいな〜、この人。
「トンコもおつまみなんて出さなくていいのよ、この人達に」
嫁さん片付け始めちゃったよ。ああ、トンコちゃんの美味しいおつまみが。
「お客さんって誰が来るの?」
「ドワーフのゴリさんよ。そろそろあんたとあたしの武器のメンテナンスが必要だからね」
「あいつらが復活しそうなの?」
「もう、一人は復活してるわよ」
「マジで! 誰?」
「メテスの奴よ、まあ東の大陸みたいだから遠いけどね」
マジかよ〜。嫌だな〜。
「西の大陸でも復活の兆しがあるわよ」
「嘘! 近いじゃん!」
それはヤバイ。絶対に面倒くさい事になる。
「ああ、それもう復活してますよ。ルシフルさんでしょ」
「「えっ」」
何でクロスがそんなことわかんの?
「相変わらず謎ね、あなたも」
「まあでもそういう訳だから、あんたもちゃんと鍛え直しなさいよ」
嫌だな〜、面倒くさい。
「それにしてもヴィアさんの元上司達は随分とのんびりしてるじゃない」
「僕としては助かるけど」
「あんたが昔、倒した順番なんでしょ」
「ちゃんと鍛えとかないと、今度は負けちゃうよ」
「絡んで来るかな?」
「そりゃあ来るでしょうよ、あんたが倒したんだから」
「でもさあ、僕ももう人間じゃないんだし、スルーって事も」
「ないわね。覚悟しときなさい」
ほっといて欲しいんだけどな。もう300年も昔の事なんだから。
あんまりしつこいと嫌われちゃうよ。
そんな話をしているうちに、ドワーフのゴリさんがやってきた。
僕たちの住んでる洞窟の北、山脈を越えたところにドワーフの王国がある。
鍛冶屋が多く、武器輸出が根幹を支えている国で、僕は昔にちょっとこの国を助けた事がある。
ドワーフさんは大変義理堅い種族で、大分昔の話なんだけど、未だに僕に感謝してくれている。まあ、ドワーフさん達も長生きだからね。
ゴリさんは国王の武器も作っている程、腕の良い鍛冶屋さんなんだけど、僕達が頼むと、わざわざ山脈を越えて来てくれる。本当にありがたい人です。
「おお、これが魔爪ウバリーンと聖拳アローダンですか」
「伝説の武器を手にできるとは光栄ですな。大切にお預かりしますよ」
「別にゆっくりで構わないですよ。あんまり使いたくないし」
「そんな訳にいかないでしょうが、すみませんけど急いでお願いしますね」
「わかりました。でも2週間はかかると思います。物が物ですから」
そう言ってゴリさんは、大切そうに武器専用のゴツイ鞄にそれをしまった。
「作業はいつもの小屋でいいですか? 客間にお布団を用意してますんで、泊まるのはそちらでお願いしますね」
「何から何まですいません、奥さん」
僕達としばらくの間世間話をしていたが、作業を始める間際になって思い出したようにゴリさんが言った。
「そういえば、来る途中にオーグスさんのところに寄ったのですが、麓の森に嫌な空気が漂ってるって言ってましたよ」
「え、嫌な空気って何? ヴィアさん、何かわかる?」
「何で私に聞くのよ、なんとなく予想はつくけど聞きたいの?」
えっ、何ですかその表情は?
うわ〜、もしかしてまた。
こないだジャバウォックが出たばっかりなのに、何でだよ。
「聞きたくないです。すいません」
また面倒くさい事になるのかな〜。
嫌だな〜。
本日の投稿は終了です。
明日からも毎日投稿する予定です。
これからもよろしくお願いします。
連載中の[不幸続きで転生5回目・・・]です。
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互いに独立した自己完結する作品ですが、こちらもよろしくお願いします。
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