19・【破滅の堕天使】ルシフルと【黒怒竜】ニーズヘイル
[転生5回目・・・]もお読みいただいている方にとってはネタバレも含まれる内容になっていますが、それほど影響はないと思います。ご了承くださいませ。
創造神ウラース。
この世界の全てを創造した神の名である。
しかし、その全てに飽いていた創造神は、自らの身を隠す事を決意した。
その為に、自らが生物を生み出していた全ての惑星に、自らの分身である神々を派遣することに決めた。
地球という惑星には四柱の大神を派遣した。ゼース、ポドセイン、バルデス、デアミタルの四柱である。
その四柱のまとめ役にはゼースを指名したのである。
大神ゼースは、この星に新たに天界と冥界を創造し、自らを天界と地上界の地上部の管理者とした。
そして冥界をバルデスに、地上界の海部をポドセインに任せたのである。
デアミタルには秩序の神として、その全ての管理が適切に行われているかを監督する役目を与えたのだ。
天使とは神の私兵である。
大神ゼースは天界に他にも様々な神々を生み出し、その私兵として天使族を創造した。
そうして天界の秩序を固めた後に、地上界の統率種となるべき存在として、人間という神に似せた種族を創造することとした。
しかし地上界には、大神ゼースの前任者である竜族がいた。その竜族の頂点に君臨していたのが、古竜エウデモルである。
古竜エウデモル。
大神ゼースと同じく、創造神ウラースにより生み出され、この星を今迄管理してきた柱である。
古竜エウデモルもまたこの星を管理する為に、33柱の竜族を生み出していたのだ。
大神ゼースは人間という種を生み出す前に、前任者である古竜エウデモルの元に、二柱の天使族を伴って挨拶に行った。
この時にゼースが連れて行ったのが最強の天使族と謳われた二柱の天使。第1天使長のルシフルと第2天使長のミヒエルだった。
大神ゼースと古竜エウデモルは幾度も話し合いを重ねて、お互いに監視し牽制し合う形の盟約を結んだ。
竜族は地上のあらゆる物事に干渉しない。かわりに天界も竜族に干渉してはならない。
天界は地上界に管理の為の最低限の干渉はするが、深く関わってはならない。天界が地上界に過度な干渉をした場合には、竜族はその行為を非難し、天界に対しても自由に行動を起こせるという盟約を。
一見対等な盟約ではあるが、厳密には竜族が一歩引いているともいえるこの盟約がスムーズに結ばれた理由として、古竜エウデモルが後任の大神ゼースと争う気がなかったのが大きな理由だった。
だが、この盟約を不満に思う竜族がいた。それが【極氷竜】ドーマルマンと【豪雷竜】ジュガイルの二柱である。
やがてこの二柱の竜達はそれぞれ10柱づつ竜族を連れて、古竜エウデモルの元を去ってしまった。
古竜エウデモルも、大神ゼースに対しては自らの不始末を詫びたが、去っていく竜達を強く引き留める事もしなかったのである。
古竜エウデモルの元に残った【灼炎竜】ズライサラーマの率いる10柱の竜族と合わせて、竜族は三つの勢力に分かれてしまったのである。
大神ゼースは、新たな勢力となったドーマルマンとジュガイルに対して、それぞれ監視を付ける事に決めた。その監視役としてルシフルとミヒエルを遣わそうとした。
大神ゼースの意に反した竜達の行動に、強い感心を持ってきたルシフルは素直に命を受けたが、天界を離れたくないミヒエルは、最強と謳われている天使が二柱とも天界を空ける事に疑問があるとして、大神ゼースに対して再考を促した。
大神ゼースもミヒエルの言を聞き入れ、第5天使長のラフィールを派遣することに決めた。
こうして天界は、ドーマルマンにルシフルを、ジュガイルにはラフィールを、それぞれに監視役として派遣したのである。
ドーマルマンとジュガイルは、古竜エウデモルの元は去ったが、天界に対して戦いを挑む様な事はなかった。結ばれた盟約に対しての反感はあったが、直ぐに天界と事を構えることの愚かさも知っていたのだ。
古竜エウデモルの束縛から解き放たれたジュガイルは、まるで自由を謳歌するかの様に世界中の空を飛び回り、定住地を持たなかったが、ドーマルマンは北の氷の大陸に引き篭もり、天界の動向を伺いながらも中立の立場をとった。
そのドーマルマンの行動に不満を持った竜が、彼の率いていた竜族の中にいた。【黒怒竜】ニーズヘイルである。
ニーズヘイルはドーマルマンの元も離れて、たったの一柱で大神ゼースに対して公然と戦いを挑んだのだ。
大神ゼースは古竜エウデモルに対して、ニーズヘイルを討伐するように要請した。
古竜エウデモル以外の竜族には寿命はあるが、命を失っても記憶を有したまま転生を繰り返すのが竜族である。
古竜エウデモルはニーズヘイルを、その転生の輪から除外し、普通に生きて死ぬ存在に落としたが討伐は断り、また、神族が直接手を下す事も盟約に反するとして、大神ゼースに厳命した。
神の力を使えば全ての竜族が敵になってしまう。このような愚を犯せない大神ゼースは、天使ルシフルにニーズヘイルの討伐を命じた。
ルシフルとニーズヘイル。この二人の力はほぼ互角であった。
闘う事、実に100回。しかしこの二人の闘いに決着はつかなかった。
闘いながら言葉を交わし続けたこの二人は、いつしかお互いの事を理解し合える間柄となっていた。
大神ゼースは、いつまでも決着のつかない闘いを続けルシフルに対して、不満と疑念を抱き始める。第1天使長ルシフルは本気で闘ってはいないのではないかと。
大神ゼースは、その疑念に確信を持つ事は出来なかったが、真偽を確かめる事もせずにに禁じ手に出てしまう。
ルシフルとニーズヘイルの101回目の闘いの最中に、ミヒエルを援軍に向かわせた。
闘いの場に到着したミヒエルの攻撃に合わせて、大神ゼース自らが雷を放ってルシフルもニーズヘイル諸共消し去ろうとしたのだ。
だが、その大神ゼースの計略は失敗に終わる。
【黒怒竜】ニーズヘイルは息絶えたかに見えたが、海中深くに身を隠し500年の時を回復に努めた。
その500年の間、ニーズヘイルを天界から隠し通したのは、天界に住む神の一人。海神ポドセインである。
そして大神ゼースより、天界に住むことをゆるされなかった冥界神バルデスの加護を受け、ニーズヘイルは四大魔王の一人として復活を成した。
第1天使長だったルシフルは、確かに大神ゼースの雷によって滅せられたが、その直前に冥界神バルデスの加護を受け、300年後に冥界で復活した。
後にして思えば、ルシフルが大神ゼースの意に背いた竜達に強い感心を抱いたのは、ルシフル自身が大神ゼースの傲慢な態度に反感を抱いていたからであった。
天使ルシフルは、この後に迷う事なく堕天して200年の時を冥界で過ごし、力を蓄えた。この間に第1天使隊の部下達で、ルシフルを深く尊敬していた天使達は、ルシフルの生存にいち早く気づき、続々と堕天して冥界へとやってきた。
そして、ニーズヘイルと時を同じくして、ルシフルも四大魔王の一人として地上界への復活を成す。
【破滅の堕天使】ルシフルと【黒怒竜】ニーズヘイル。
彼らは大神ゼースを憎み、大神ゼースが地上界の統率種とすべく、神に似せて創造した存在である、人間という種族も敵として認識している。
今回はルシフルの過去がメインの話なのですが、ルシフルはニーズヘイルとの絡みが多いので、ニーズヘイルの過去話も一緒に紹介する事になりました。
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