18・勝手に話しが進むって嫌だな
【お詫び】
リアルの仕事が忙しく、今回からしばらくの間、一日置きの投稿となります。なるべく早く毎日投稿に戻したいのですが、しばらくの間はご勘弁下さい。
嫁と娘の交渉の内容が、ランスロードとガラハ=ランス=ウェン公爵に明かされます。
さて、二人の反応は?
今、僕達はエフード王国のアレサンドから帰る途中です。
亜空間移動で先にマリンちゃんを帰そうとしたら「マリンあるけるよ、みんなとあるきたい!」と可愛い事を言い出した。
左手を僕が、右手を嫁さんがしっかりと握って、親子3人仲良く歩いてたんだけど、結局疲れちゃったマリンちゃんは今、僕の背中にいます。
愛娘をおぶっている僕に、嫁さんは硬砂城での交渉の事を話し始めた。
いや、駄目でしょそれ、シャレにならないです。建国って絶対に面倒くさいよね、それ。
元々青白い顔の青さが、どんどん増していく僕の事などお構いなしに、嫁さんは話しを続けていく。
駄目だってそれ、なに、側室って、いや聞いてないよ〜、ヤダヤダ、何を考えてんのよ僕の嫁さんは。
「え、パパとママ、おわかれしちゃうの? マリンやだよ〜」
「違う違う、パパとママはお別れなんか絶対にしないよ」
「だってママ、マリンにあたらしいお母さんがくるって」
「新しいお母さんはママの代わりに来るんじゃないの、マリンのお母さんが増えるのよ、マリンのママが二人になるのよ」
「マ、マリンのママが二人になるの?」
「そうよ」
「・・・・・・」
考え込むマリンちゃん、考えている姿もやっぱり可愛い、背中に居るからよく見えないけど絶対可愛い。
「マリンは新しいお母さんとも仲良く出来るかな?」
「で、できるよ、マリン、あたらしいママともなかよくできる! マリンとあそんでくれるかな?」
「マリンちゃんが良い子にしてたら、遊んでくれると思うなあ。新しいママと遊ぶの楽しみだね、マリン」
「ママもいっしょ?」
「勿論ママも一緒に遊んであげるわよ」
「たのしみ! マリン、あたらしいママとあそぶ!」
「パパ、あたらしいママはいつ、くるのかな〜」
いや、駄目でしょ、何をノセられてんのかな〜、マリンちゃん。
あ〜、でもそんなマリンちゃんも可愛い。
「僕は嫌だよ。何、国王になれとか、側室もらえとか、それ絶対に駄目だから」
絶対に面倒な事になるよ、それ。
「あんたはのんびりと過ごしたいんでしょ?」
「そうだけど」
「だったらこうするしかないのよ」
「何でそうなんのさ!」
「今回のアポリドンの事もそうだけど、復活したアイツとは絶対に絡む事になるのよ。だからあんたも力を持っとく必要があるの」
「あんたに力があれば、アイツらも簡単には手が出せないでしょ」
「でも建国とか、側室とかって、それだって面倒くさいのは一緒じゃないか」
「あんたはここでちょっとだけ頑張るしかないのよ。もし、今、このまま何もしないでダラっとしてたら、アイツら毎日のように戦いに来て、あんたは連戦、連戦よ。それでもいいの?」
「それは嫌だけど」
「それに力が無ければ、あんたの大事な友達もやられちゃうかもしれないわよ。オーグスやブーザン、トンコだって危ないかもしれないわ。新しく村に来た子達だってそうでしょ。あんた、あの子達を守護するって約束したんでしょ?」
「それはまあ、したけどさあ」
「だったらやるしかないのよ。まあ今だけだから頑張りなさい。考えるのはあたしがしてあげるから、あんたはあたしに言われた通りにしてりゃぁいいのよ。最後は絶対にのんびりさせてあげるから」
「なんかヴィアさんにノセられてる気がするんだけど」
「気のせいよ、気のせい」
絶対に嫁さんにノセられてるよね、僕。
☆
「お前は何を考えているのだ。ランスロード様に建国を促すのは良いが、輿入れなんて国王が納得するわけがないだろう」
あ〜もう、うちの娘って滅茶苦茶する娘だとは思ってたけど、これほどとはなぁ。
私は公爵として、娘に交渉の内容を問いただしていたのだが、そのぶっ飛んだ内容に目眩を覚えていた。
やっぱりヤバイな私の娘、完全に鬼子だよ、この娘。
「大丈夫ですお父様、ドレード王はわたくしが説得しますわ」
完全に自国の国王のことを舐めきってるなぁ、我が娘。
「しかし輿入れといっても一体誰を側室に出すつもりだ。ドレード王に娘は二人しかおらんのだぞ」
「それは勿論、考えてありますわ」
「しかし第2王女のルコスは通例で、我が家の嫡男でお前の弟のウェインの妻になる事が決まっている。まさか、第1王女のアルナか?」
「いえ、アルナはこんなところで使いませんわ。彼女にはまだ王家にいてもらわないと」
使いませんわってお前、王族の姫に対して・・・
そういえばアルナって、グィネを尊敬していて、グィネもアルナを手駒のように使ってるって聞いた事があるけど・・・そんな、まさかね。
「では、一体誰を側室に出すというのだ。国王の娘は二人しかおらんのだぞ」
「わたくしが参りますわ」
「へっ?」
「だから、わたくしがランスロード様のところに輿入れすると言っているのです」
「だから、何を言ってるんだ。お前は王族じゃないだろうが! 側室の条件として国王の娘を出すと言い出したのもお前だろうが!」
「わたくしがドレード王の養女となる事を、王に認めさせます。我がウェン公爵家は王族と並び立つと称されているエフード王国の名門。なにも問題はない筈ですが」
「いやいや、何言っちゃってんの? お前はエフード国の王太子ガヘスの許婚だろうが!」
「わたくしはあのような小物に興味はないと、前々から言っていた筈ですわ」
いや、次期国王に向かって小物って、お前。
「ガヘスごときには、妹のギネでも充てがっておいてください。あの娘ならガヘスも上手く操縦出来ますわ」
自分の妹を充てがうって、しかもそれで王太子を操縦って・・・この娘、全員を自分の手駒にする気なの?
私の娘だけど、お父さん怖くなってきちったよ、本当。
「わたくしは今から王都に向かいますわ。お父様はランスロード様の建国に合わせた同盟発表の準備をドワーフ王国と進めてください」
「それと、わたくしの輿入れもその時に同時に発表致しますので、そのおつもりでお願いしますわ」
うわ〜、この娘、勝手にどんどん話しを進めちゃう気だよ。
お父さんの公爵としての立場とか、ドレード王の立場とか考える気は無いの? ねえ。
この先、エフード王国とウェン公爵家ってどうなっちゃうのかな。本当に大丈夫かな。
グィネを主役に書く予定だった話の内容は、王太子の許婚のグィネが周りの人達を手玉に取って、自分に都合が良いように操縦していく話しでした。
ランスロードとの結婚話は、その物語のクライマックスとなる予定でした。
まあ、今となっては書く気はないですけどね。
☆
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連載中の[不幸続きで転生5回目・・・]です。
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互いに独立した自己完結する作品に仕上げる予定です。
こちらもよろしくお願いします。




