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技術を食らう者  作者: リッタイマン
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出来事は突然に

1年前の今日、日本海を含め世界各地の海に謎の飛行物体が落下した。

 衝突による飛沫と衝撃は大陸を揺らすほど強くそれにともないメディアや人々を湧かせた。

 その数日後地球に住む生命体は大きな進化を遂げる。

 政府により回収された物体の中から立体正方形の小さなブロックが無数に発見され数ヵ月にわたる研究の末そのブロックの仕組み、扱う術を獲得した。

 今の日本の道路、建物、自動車、精密機械などは全てこのブロックを元に作られている。

「「ここから本題! 進化の裏で政府はある重要なことを隠していた!!」」


「くだらない…」

 オカルト雑誌を荒く閉じ黄ばんだ座敷に背中を合わせた。

 夏休みに入ってからいや、そのもっと前から俺はこの日常に世界に期待をしていた。

 何か起こらないか、そう考えている時あの出来事は起こったけど現実はそんなに変わらなくて結局時間だけが過ぎて………。


「真夏、仕事だ」

「は――い」

 慌ただしく私服に着替え机に置いてあるパソコンをバックの中に押し込んだ。

 仕事と言っても父の経営する「何でも屋」の出張役で夏休みの予定はほぼこれと言っても過言ではない。


「じゃあ、行ってくる」

「気付けろよ」

 父の声を背中で受け止め自転車に股がった

「(今年の夏は暑いな)」

 その証拠に自転車のサドルはジーパン越しでさえ火傷するほどの火力だった。


「あら、もう来てくれたの?」

「こちら速さが売りなので……」

 綺麗な奥さんからお茶を一杯頂いたあとすぐ修理に取りかかる


「にして大きな家だですね」

 高い天井に1000人入っても大丈夫なリビング、そして綺麗な奥さん、一流と感じる条件は満たしている。

「あら、そうかしら?」

 奥さんは嬉しいそうに優しく微笑んだ


「すいません、もう一杯貰えますか?」

「もちろんよ」

 依頼主が台所に行ったのを確認してバックからパソコンを取り出し恒例の作業を始めた

 依頼人のパソコンにある個人情報を抜き取る作業、残念なことにこちらが本業だったりする。

 慣れた手つきでパソコンの修理は数分で終わった。


「もう終わったの? ありがとう」

 奥さんは封筒の中身を確認して俺に丁寧に渡した。

こういう客が一番心苦しいんだよな…。

「では、ありがとうございました」


 そう足早に扉を開けた時だった。

「君、坂本真夏くんだよね?」

 黒いスーツを着たガタイのいい男が数人、俺を取り囲むように待ち伏せしていた。

「はい……多分」

「ちょっと来てくれる」 

 

 車に押し込まれ数分が経つ。

「どこに行くんですか」

「そんなの内緒に決まってるだろ」

「えぇー…」

 横はデカイ男に塞がれてるし前には人を殺すことも容易い容姿をした男が飴を舐めているし逃げるという選択肢は消滅。

「夏休みは収容所で過ごすことになりそうだ……。」

 ここで上の人と思われる人物から無線が入った。

「はい、こちら宮島ーーー」

 表情がだんだん暗くなっていくのが分かる。


 無線が切れたその時、車は何かと接触し宙に浮いた。

そして数回の横転を繰り返し息を絶った。


「ねぇ、大丈夫?」

その声に誘導され目を開けると、あの男たちの姿はなくそこには彼らとは真反対の可愛いと綺麗を両立させた無垢な瞳の女の子がいた。

「まぁ、大丈夫かな」

 照れと出血を隠しながらその美貌に釘ずけになる。

「君は大事な()()なんだから死なれたら困る」

「鍵……」

 鍵ってあの鍵……考えても謎は深まる一方。


 気配を感じ横を見ると大きな黒くて長い触手が回転しながら迫ってきていた。

「(気持ち悪い…)」

「気持ちが悪い…」

 彼女はそう言うと刀の持ち手だけをポケットから取り出し地面に刺した

「ま、マジか…」

 自分の脳と目を疑う。

持ち手を地面から離すに連れ前まではなかった刃の部分が姿を現した。


「あの気持ち悪いのもこの刀も一年前の出来事による副産物って言えば通じる?」

やっぱりオカルト雑誌は本当だったのか少しの喜びを感じる。

あれは宇宙人がいた証拠なんだ。


「君は……大丈夫ね」

 そう言うと彼女の靴から何かの信号が出され猛スピードで副産物の方へ行ってしまった。

 


時々聞こえる爆発音に耳を震わせ物陰に隠れること数時間、彼女はまた姿を現した。

「え……っと大丈夫?」

「もう……ダメ…」

情報量が多すぎて頭はパンクし恐怖で心も体も限界を迎えていた。

「後は頼んだ……」

「ちょっ……」

彼女が肩を揺さぶっている光景を最後に意識は深い海の底へ沈んでいった。

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