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お題「目の下のくまが気になって、どんどん厚化粧になる」

「今日は化粧ノリが悪いね」

 前回のデートで彼にダメ出しをされた傷が、まだ癒えていない。


 そもそも化粧ノリに気づくとは、どういう了見なのか。

 余計なことに気づかれるくらいなら、全てのことに気づかれない方が良い。

 ちょっと顔面の調子が悪い日なんて、いくらでもあるのだから。


 ドレッサーの三面鏡のなかにいる自分を見つめながら、今日も私はため息をつく。


 目の下のくまが気になって、どんどん厚化粧になってしまうのでデートをキャンセルしたく存じます。

 どうでしょう。


 せめて、言いたいことが言える関係だったら良いのに。


 あるがままの自分を晒すことが難しい。

 必死に表面を取り繕いながら考えてしまう。


 この恋は長く続きそうにないな、と。

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