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お題『防災』
1960年に防災の日が定められてからというもの。全国各地では防災訓練がございます。しかし時折、意味がないという者もあるようです。
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昔々。ある村に羊飼いの少年がいた。嘘だとわかっていては訓練の意味がないってんで。いきなり。
「オオカミだー!」と叫んだ。村人は驚いて出てきた。が、反応が鈍かった。少年は思った。これでは大事な羊が喰われちまう。
だから、数日後。再び「オオカミだー!」と叫んだ。村人はすぐやってきた。大層、少年は安堵したそうな。
しかし、また数日後。本当にオオカミが現れたとき。村人はやってこなかった——。
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いつの時代も防災訓練というものは、扱いづらいもののようでございます。




