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お題『父』

 ソフトクリームを食べている子を見かけて、私も欲しくなった。目の前のTシャツの裾を引っ張って、指を差す。


「しょうがない子ねぇ」と母は笑いながら、買ってくれた。甘くて、美味しい。ご機嫌である。でも、父が無言で右手を出してきた。


「嫌!」と私は叫んだ。優しい母は「ちょっとくらいあげれば良いじゃない」と言う。

 

 本当に嫌だけれど、私がケチで悪い子みたいである。だから、「ひと口! ひと口だけね!」と念を押して、しぶしぶソフトクリームを渡した。


 父の大きな口によって、半分以上のソフトクリームの渦巻きが消失する。涙目である。

 

「また、買ってあげるからね」と母は、私の頭を撫でた。「父は嫌い、母が良い」が私の中で加速する。

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