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五月雨に打たれて
立ち込める暗雲。灰色の空。それは逃れることができない運命の前触れ。雲を払う方法は、たった1つだから。
図らずも、雨落ちにいたことが悪かった。あんなところにいなければ良かったのに。私は不運な被害者だった。
水の滴る髪。震える唇。小さな体はひたすら冷雨に打たれた。叫びたくなるほどの痛みを堪えて、熱い頬を濡らしたのは雨?
陰鬱な長雨はあれからずっと降り続けている。それが頭痛の種。人に揉まれて、流されて、ついには行き場を失った。
曇りガラスに指を這わせて、十字架で愛を結ぶ。窓が曇っているせいで、今は顔が見えない。早く晴れればいいのに。そう思った。