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お題『成人』
ニョキニョキと伸びる竹林の中。
整備された小径のT字路は、まさに子どもと大人の不安定な境界線上であった。
古びた木の看板が地面に突き刺さっている。
『成人ノ近道ハコチラ→』
誰が設置したのか。明確なことは知られていない。
人々の間では悪魔だとも天使だとも囁かれていた。
が、実際のところは神様であった。
真の成人への道のりは険しい。
だから、神様は「自分の意思で進む道を決めた」という事実を人の子に与えようとしたのである。
コーヒーが飲めなければ大人になれない他。
取るに足りない噂は数多くあった。
しかし、どうやって大人になれば良いのか。
何を失うのと引き換えに、大人になるのか。
先を歩み続けなければ、見えないようである。