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お題『羽根』
珍しく仕事のない週末。
遊びに来たいと彼がいう。
仕方がないので、迎えに行ってあげた。
でも、私の運転は褒められたものではない。
ツッコまれるのは必然だった。
「運転が荒い!」
ただ、直すことは困難を極めた。
車線またぎも右折フェイントも存在する世の中では。
だから、すっとぼける。
「そお?」
「……もっと車間、開けた方がいいよ」
「え? ガンガン割り込まれるよ?」
「「………」」
気まずい沈黙の中。
羽根のエンブレムを主張した車が、無音で近づいてきた。
「かわいい女の子と高級車にしか道を譲らない街で、目的地にたどり着くには、どうすればいいのかな?」
道を譲りながら、私は質問する。
彼は即答した。
「かわいい女の子になってくれ!」




