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お題『文化祭』
ひんやりとした秋の風が吹く。日の当たらない教室で、クリーム色のカーテンが膨らむ。過ぎゆく季節に未練はない。
手間をかけて作ったものも、すぐに壊さなくてはならない日が来ると。あらかじめ知っていた。その感覚は、「人が必ず死ぬ」という前提条件に少しだけ似ている。
テーマ『飛翔』に合わせて、空色の蝶をモチーフにした看板。細やかなアイメイクをするように。こだわって描いてきた自分の絵を、あらためて見つめる。
完成した時から変わっているところはない。でも。不思議なことに絵への執着心は、私の中から自然に消えていた。
ゆっくりと木の枠に貼られた紙を破く。なつかしい水性ペンキの匂いがした。めくられるのは、青春の1ページ。




