表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その言葉はいずれ嘘になる  作者: 雨乃 耀
壊れた歯車と心を持つ人形
1/7

第1章 1話 その言葉はいずれ嘘になる

雨乃(あめの) 耀(ひかり)です。

今回、初めて投稿させていただきました。かいてみた小説もこれが初めてです。

まだまだ、文脈や文章がおかしいところがたくさんあると思います。

だからこそ、上手くかけるように頑張っていくので、読んで頂けると嬉しいです!できればアドバイスとかもして頂けるとありがたいです。もしもできたら、イラストものせてみたいと思っています!

少々、残酷な描写がでるかもしれません(あくまで予定です)。恋愛もたぶん入ります。

世界は俺にひどく理不尽な役目を押しつけた。

どんなに願っても愛してもらえなくて、世界からも嫌われて、それでも絶対に世界を救わなければならない英雄になるっていう役目だ。「英雄になりたい」っていうやつがいたら是非とも変わってほしい、そう思ってるぐらい俺はこの役目が大嫌いだった。

この世界は理不尽だ。どうして嫌われて、孤独になって、そこから何故世界を救う話になるんだ。

俺は思う。

英雄は大抵、孤独だ。どんなに理不尽でも、罵声を浴びせられても、英雄は、「英雄」でなければならない。「英雄」という肩書きだけで、たくさんのものを背負うことになる。それは、否が応でもだ。俺はそんなものにはなりたくない。

だって、俺には夢があるのだから。

俺は、

望めば愛してもらえて、

世界からも愛されて、

両親がいて、兄妹がいて、

そんな、ただの、本当にただの、「人」になりたい。

だから俺は、俺を、妹を、愛してくれなかった親も、俺を拒んだあの世界も、妹を救えなかった俺も、全てを捨ててこちら側に来たのだから——。




「ねえねえ、ユキちゃん!」

ふと、背後から騒騒しい声が聞こえてくる。俺を呼んでいるらしいが、無視した。

「あっ、無視したっ!?ユキちゃん、まってえぇ〜」

うるさい。

本当にこう一言で表せるほど単純にうるさかった。

ただ、いくら無視しても、だいたい最後には子供みたいに泣き出して更にうるさくなってしまう。

だから、仕方なく振り返る。

「おい、いつになったらその呼び方を改めてくれるんだ?」

案の定、俺を呼んでいた少女は、瞳を潤ませ、鼻をすんすんさせている。

少女の名前は結城(ゆうき) 晴礼(はれ)

俺の幼馴染で、今日は、一緒に学校に行くところだ。

俺たちは、これからある学園に入学する。その学園は少し(本当は少しどころではないが)特殊で、生徒全員が、それぞれ能力をもっている。これをマンガとかでもよくある「異能(いのう)」っていうらしい。「異能」は、人によって違う。街一つ簡単に壊せるようなものから、ちょっと普通の人間よりも知能が発達するっていうような些細な力だったりと、多種多様に存在している。

そして、そんな俺たち「異能者(いのうしゃ)」を普通の世界から違う空間に集め、隔離し、教育する場所、それがこの「学園」だ。

まあ、つまり俺たちを、3年間社会から隔離・教育をし、異能を制御するための訓練をして、なおかつ、その異能を利用して社会に貢献できる人間に育て上げるための場所ってことだ。

ただ異能とか、訓練とか、場所とかが違うだけで、それ以外は普通と何も変わらないけど。

とにかく、そんなこんなで、俺と晴礼も異能をもっていたからこの学園に入学することになった。

言い忘れていたが、学園は全部で、「南郷(なんごう)」「西郷(さいごう)」「東郷(とうごう)」「北郷(ほくごう)」の4つある。全て学園がある方角を名前にしてるあたり、かなり適当だと思った。

その4つの中の一つ、「東郷学園(とうごうがくえん)」にこれから入学するわけだ。

「ユキちゃん、見て見て!学園だよ!おっきいねぇ!」

「そんなこと、もう知ってる。資料に書いてたからな」

そう。この学園は一つの都市や街といっても過言ではないくらいの大きさだ。設備はどれも最新のものを扱っており、校舎も、寮も、何不自由なく快適に過ごせるようになっている。

そのかわり、俺たちはこの学園から外に出ることはできないのだが。

ここはある意味、異世界といっていい場所だ。

でも別に、よくある転生とか無理矢理召喚されたとかではない。ここにいる生徒全員、自分の意思でこの学園にきている。それぞれがそれぞれの願望を叶えるために——。

ふと、横からふわりと風が吹いた。少しだけそちらに首を傾ける。そこには晴礼がいた。

「ユキちゃん、きっと………楽しいこと、嬉しいことたくさんあるよ」

晴礼は笑った。憂いを帯びた笑顔だった。

だから、俺はあえて笑わなかった。

「早くしないと置いてくぞ」

「えっ、ちょっ!?まってよぉ!」

俺は、聞こえなかったフリをした。晴礼の言葉を。

晴礼の言葉は、俺にとっても晴礼にとっても、いつかどこかで必ず、嘘になる。

あの過去が消えないかぎり、俺も、晴礼も、幸せになることはない。

そして、過去は消すことも、やり直すこともできない——。

そこまで考えて俺は思考を断ち切った。

今は考えない、考えてはいけない。

そう心の中で呟きながら俺は、晴礼とともに校門をくぐった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ