守護精霊
「守護精霊じゃないか、凄いな、もうお目に掛かれないかと思っていたのだがな」
リュウジ達が白蓮達を紹介すると、ガゼックから予想だにしなかった言葉が帰ってきた。
寄生精霊と言う名で悪評しか知らないリュウジ達は、間抜けた顔でガゼックを見ていた。
「「守護精霊???」」」
「知らんのか、彼女達がそうだぞ」
ガゼックはテーブルの上に佇む白蓮と里を見て、懐かしい物を見たと言う様に目尻を下げるとそう言った。
「で、彼女達とは誰か誓約したのか?」
ガゼックの問いにリュウジがオズオズと手を上げる。
「一人だけか?」
「はい、其のことについて少し相談が有って来たのですが、先刻の守護精霊って初めて聞くのですが、詳しく聞かせて貰えないでしょうか」
「何だ、リュウジ誓約しとってそんな事も知らんのか」
「はい、ですからそこを詳しく」
全員の視線がガゼックに集まる。
「お前らこの子達を何と呼んどるのだ?」
「寄生精霊です」
又リュウジがおずおずと言うと、ガゼックの声が少し大きくなる。
「なんだと!儂も聞いた事はあるが、其れは別の種の事だろ、この子達は守護精霊だぞ」
「では其れについては俺から話しましょう」
リュウジが白蓮の記憶を話始まる。
其れはガゼックには、思いもよらない話だった。
確かに同じ種族だが、ガゼックの知る守護精霊達とはまるで異なる道を辿っていた。
彼女達の辿ったその道は、悲劇としか言いようのない道だった。
だが彼女達の種族は今でも魔境の深部に生き残り、今も種の存続を掛けて足掻いている。
「うーむ、そう言う訳か、それで守護精霊の相手探しを街を上げて手伝いたいと、其れで、儂にハニガルディに話せと言う事か」
「はい、そう言う事なのですが、師匠、何故彼女達を守護精霊と呼ぶのかについての話も」
ガッゼクは少し懐かしそうに、其れでいて何故か苦しそうに話始まる。
「そうだな、儂の知る守護精霊たちはボナンザと言う国の王城に種族ごと暮らしていた。
三重に守られた巨大な城壁の一番内側にある王城の周りに、守護精霊の為の森が創られておってな、そこで保護されながら暮らしていた。
誓約の時はお互いの合意の場合のみ成立し、結婚式の様に司祭立会いの元、王城に設けられた誓約の間で行われていたんじゃ。
貴族だろうと、平民だろうと関係なく、互いの合意が最優先で誓約はなされていた。
其れほどに彼らは保護されていてな、王城の森で繁栄し栄華を誇っていた。
わしも何度か行ったが、彼らの為に王宮の職人の作った小さな家が木に沢山付いていてな、儂が行くとそこから飛び出して出迎えてくれたものだ。
リュウジも知っての通り、誓約すれば彼らを体内に住まわせる代わりに、多くの力が約束される。
その力のおかげで彼らは保護されとったわけじゃがな。
此の誓約を行えるのはドラゴンの種族と精霊の種族の一部のみじゃ、ドラゴンの誓約によって得られる力は大きいが、誓約した者の内三割は誓約の負荷に耐えられず死に至る。
じゃが、守護精霊の誓約には殆ど負荷は無い、誓約によって命を落とすリスクも無い。
得られる力こそドラゴンには及ばないが、強力な力で有る事に変わりは無い。
故に当時ボナンザ王国は多くの精霊騎士に守られ最強の王国とも言われておった。
結局攻め落とされて滅んでしまったがな。
その時守護精霊もボナンザ王国と共に滅びたと思っていたんじゃが。
まさか別の地方に別の集落がまだあったとは思わんかった」
「其方の方に生き残りは居ないのですか」
「敵の目的が、守護精霊の獲得、もしくは殲滅だったようじゃからな、御蔭で民の被害は殆ど無かったんじゃが」
「守護精霊か、師匠其れは良いですね、街長に話すにしても寄生精霊より話が通りやすそうだし、で、師匠当時その国に居たのですね」
「つ、そうだが、リュウジ細かい事は聞くな、しつこいと協力せんぞ」
「聞きません、聞きません、で、協力はしてくれるんですね」
「応、当時のボナンザ王国と似たようなやり方で行けそうじゃな、幸い精霊たちの住めそうな森ももうすぐ出来そうじゃしな、ハハハハハ、楽しくなりそうじゃな、守護精霊とも久しぶりに遇えたしな、宜しく頼むぞ」
ガゼックはそう言うと、懐かしそうに笑いながら、テーブルの上の白蓮達に大きな手を差し出して握手を求めた。
二人は小さな手でガゼックの人差し指を掴むと、その指を上下に振っていた。
◇◆◇◆◇
ハニガルディは円卓の上に乗った赤い瞳と白い躰を持った守護精霊紹介され、最初こそ目を丸くしていたが、今はご機嫌だった。
隣に置かれたティーカップで入浴出来そうなサイズの彼女達の姿は愛くるしくも、気高くもあった。
リュウジ達に持ちかけられた話に、ほんの少しの不安が胸に残りはするが、このところのリュウジ達の持ち込んだ話にハズレハは無かった。
最初に持ち込まれたフリーズドライなる保存食に、其れを利用し木の葉で包んだ携帯食にしても、リュウジの国に有ったものだと言うが今まで誰も発想すらできなかった物だ。
イメージが難しく、今の処作れる者も量も少ないが、イルベリーを中心に、既にミュラの特産物になりつつある。
今の処、この魔法を使えるのはイルベリーの他は、ギルと、ハニガルディの次男のカイナムの三人だけだ。
この魔法はハニガルディによりミュラの秘匿とされた為、伝授する相手は慎重に選ばなければならなくなった。
とりあえずハニガルディ一の一族に使える者が現れればと試してみたのだが、修得できたのは非常に優秀な魔法の使い手と言われている次男のカイナムのみだったのだ。
次に持って来た話は、何と薬草、青景大葉シダの生産の話だ。
此れは今まで多くの人が挑戦したが誰も成功しなかった所業だった。
偶然の発見だとは言っていたが、彼らが指定した植物を一緒に植えると木陰シダが青景大葉シダになるのだと言う。
まだ畑こそ開墾中だが、多分これも彼らに見せられた実験の成果を見る限り実現するだろう。
その彼らが持って来た今回の話は、今は苦るディー目の前の円卓でくつろいでいるミルク色の精霊の種族の救済と保護だった。
話を聞いてみれば、其のミルク色の美しい小さな精霊は守護精霊と言い、ハニガルディの信頼厚いドラゴナイト・ガゼックも彼らの種族とは当時懇意にしていたとの事だった。
今回も彼らと一緒にガゼックが訪れ、守護精霊とは何たるかをハニガルディに大声で笑いながら当時の昔話と共に熱弁したのだ。
その内容たるや、ハニガルディの予想を遥かに超えた内容だった。
その話で説明された誓約のリスクの無さと、精霊の数を考えれば、ドラゴナイトより遥かに高い確率で精霊騎士が誕生する。
何と言っても守護精霊は、ドラゴンと違って自ら誓約の相手を探しているのだから。
ドラゴンの様に此方から無理矢理押しかけて戦ったり、卵を盗み出したり、と言ったリスクも無いのだ。
直接的な戦闘力こそ上位のドラゴナイトには劣っても、約束される恩恵は十分に大きい。
その守護精霊を救済と保護と言う形では有るが、種族ごとミュラに迎え入れる事が出来るのだ。
ドラゴナイト一騎で国盗りが出来ると言う話なのだから、精霊騎士がミュラで生まれ続ける事を考えれば自ずと明るい未来が見えて来るのだった。
彼らの救済と保護に関する説明は、当時実際に行われていた事実による物の為、実に理に適っており明確だった。
その説明でハニガルディが驚いたのは、守護精霊の誓約がドラゴン族と同じ血の誓約だと言う事と、その姿と目的を考えれば納得ではあるが、その制約の儀式がドラゴナイトの力を誇示するような誓約とはまるで違い、お見合いや、結婚式に近いものだと言う事だった。
「どうだ、街長いい話だろ。
街長も薄々気が付いてはいるだろうが、今までは襲うだけの価値の無い街だったから良かったが、此れからはそうも行かないだろう。
薬草の栽培に成功したとあっては、街ごと乗っ取ろう等と言う輩も出て来るかも知れん。
そんな時には心強い味方だろ、守護精霊の騎士は、精霊騎士の中ではほぼ最強だぞ」
「ガゼック殿、そうは言われましても其の給金や仕組みはどういたします」
「だからそれは先刻言った通り、今後当時のボナンザ王国を手本に整えて行けば良かろう、給金についても、今直ぐと言う訳でも無いのだから、薬草畑が出来れば目処が立つだろ。
儂も一緒に手伝うからやろうではないか街長、どちらにしても、今は此の小さな嬢ちゃんのお相手探しからだ、良い男見つけてやらんとなハハハ」
「別に男じゃなくても」
里が小さく呟く。
「其れと、街長、参考までに誓約するとこんな感じになりますので見て置いてください、白蓮、中に入って」
「はい、主様」
リュウジがボタンをはずし、胸をさらすと、鳩尾のあたりに出血はしていないが、縦に一筋にぱっくりと空いた傷口が有る。
白蓮は円卓の上を真っ直ぐその傷口に向かうと、まず手を突っ込み頭を入れると、少し足をパタパタさせてリュウジの体内へと入って行ってしまった。
ハニガルディは其れを口をあんぐり開けて見ていたが。
「痛くないのかね」
素朴な疑問だったが、リュウジの表情を見ていると、余り痛そうには見えない。
と言うか少しも痛そうでは無かった、故に口に出た台詞だった。
「はい、少も、一寸くすぐったいと言った処ですかね」
するとその傷口から白蓮が顔だけ出して話し出す。
「大丈夫よ、ちゃんと痛くないようにしているし、直ぐに塞ぐ事も出来ますから」
そう言うと白蓮は顔を引っ込め、リュウジの体内に引っ込んでしまう。
ハニガルディがその傷口を凝視していると、ゆっくりとその傷口が塞がって行く。
五分とたたない内に傷口は塞がり、ハニガルディは溜息を漏らす。
「ふー、凄いですね、しかし少しグロいですね」
「その辺を街長にフォローして頂きたいわけです」
「やりましょう、昔ボナンザ王国で上手く行って居たのだから、大丈夫でしょう、まあどちらにしても、まずはこの里さんからですね」
そう言うとハニガルディは里に目を向ける。
「街長、ウォンサです少し宜しいでしょうか」
ドアがノックされると、少し困ったような男の声が響いてくる
「入ってくれ、どうした」
街長の許可を得て男が入って来る。
長身で全身ビロードの様な黒い毛におおわれ、長い尻尾、頭の上には少し丸みを帯びた猫耳、黄色い切れ長の獣の目は闇に浮いている様だった。
ウォンサと言った彼は獣人ハーフだった。
リュウジも話したことは無いが街で何度か見掛けていた。
リュウジの感覚で言うなら、クロヒョウハーフと言った処だろう。
彼は黒いビロードの様な尻尾を従えながら街長に近づくと、少し困り顔で話し出す。
此れであと一歩離れていたら、眼以外真っ黒な彼の表情を判別するのは難しかったろう。
「街長、あ、ガゼック殿にリュウジ殿もおられましたか、丁度良かった。
下の門に従者を二人連れた女が現れまして、どう見ても騎士崩れかハンターにしか見えんのですが、商会ギルドのカードを出すのですよ。
商人だと言うわりには何も荷物持ってないし、怪しいので目的を聴いたらリュウジ殿の名前を出して、知り合いだから通せって言うんですけれど心当たり有りますか。
なんでもリュウジ殿と何か約束したとか言てましたが、リゼルダとか言う見事な赤毛の女です。」
「・・・・師匠」
「・・・出迎えて説教でもくれてやるか」
二人の様子を見てハニガルディは少し溜息をつく。
「どうやら知り合いの様ですな」
「申し訳ない、多分家の馬鹿弟子じゃ」
「では出迎えてあげて下さい、話はまた後日に致しましょう」
◇◆◇◆◇
下の門について城壁の上から見下ろすと、眼下に門番と何か言い合っている赤い皮鎧のリゼルダと、そのすぐ後ろに控えるサラドラグラの皮鎧を着た銀髪おかっぱと、ダークブルーの髪の従者が見える。
「リゼルダ、久しいの!ハイドは元気な様じゃな、儂からパクった剣と五百万ラグルはどうした!」
上からいきなり降って来た聞き覚えの有る声に、リゼルダの顔が急激に引きつる。
「師匠、人聞きの悪い、少し借りただけじゃないですか、事後承諾で」
城壁の上のガゼックを見上げると、即座に異議申し立てはしたが、良心が咎めるのか、リゼルダの声は後半は小さくて聞き取れない。
「事後承諾ですか」
リゼルダの小さな声を聞き取ったクルトが隣で呟く。
「承諾取るの大変そうですね、まだ承諾取ってないんでしょ」
カヤナが少し呆れたようにリゼルダに視線を送る。
「お前ら・・」
リゼルダがカヤナをにらむと再び上から声が降って来る
「従者を二人も連れているとはだいぶ出世したな!どの位腕が上がったのか確かめてやるから、入って来い」
「いや、師匠其れは一寸・・・・」
リゼルダは一瞬過ぎし日の修行の記憶が蘇り、思わず後ずさる。
稽古で動けなくなると治癒ポーションを飲まされ、又剣を持たされる、其れがひたすらエンドレスに続く地獄のループだ。
「ポーションの事ら心配するな、リュウジが、良く効くポーション用意してくれているからの」
「師匠、其のポーションは此間森で亡くしてしまいましたが」
隣からリュウジが小声でガゼックに耳打する。
「大丈夫だ、あいつの怪我など実際は唾でもつけとけば治るは」
ガゼックからにべも無い返答が帰って来る。
リゼルダの眼が、ガゼックの隣に居るリュウジを睨め付けると、いきなりリュウジを罵りはじめる
「この裏切り者―!!」
「おい、そっちこそ人聞きの悪いこと言うな、ちゃんと師匠には伝えといてやると、言っただろう、少しは感謝しろよ!」
「裏切り者―!!裏切り者―!!」
「師匠・・・」
リゼルダの駄々っ子のような切れっぷりに、リュウジは呆れてしてしまう。
「全然変わらんな、あれも少しは成長しているかと思ったのだが」
「裏切り者、土産だ」
リゼルダは門を入るなりリュウジにそう言うと、白花のプランテラーの入った籠を押し付ける。
「探してたんだ、よくこんなに居たな、」
「ああ、グランドバザールだからな、まあ偶々纏まっていたとは言っていたがな」
「そうか、有難う」
「其れで、儂には何もないのか」
「いえ、勿論あります、クルト!あれだ、あれ」
「あれ?」
「あれだ、とっておきだ」
「あ、はいとっておきですね」
クルトは荷物をごそごそと掻き分けると、酒瓶を二本取り出し、ガゼックに渡す。
そもそもガゼックには会わずに、さっさとリュウジを連れて緑子を探しに出発してしまう心算だったのだから、ガゼックの土産等用意しているはずもない、自分用に数本持って来た、キアナのとっておきの最後の二本だった。
「あ!」
「なんだ?」
「いえなんでも」
クルト、一本で良かったのに・・・・そんな心の声はクルトに届くはずも無い。
「よし、なら今晩は此奴で一杯だな、ハハハ」
ガゼックは酒瓶を抱えてハイドに跨るとさっさと歩を進める。
◇◆◇◆◇
「良い酒じゃ無いかリゼルダ、一体どこの土産だ」
ガゼックはいつもの丸テーブルの定位置に座り、義足の左足を脇に投げ出すと、早速キアナのとっておきを煽り、其の絶妙の味を称えた。
「ああ、家の地酒だが、其れよりも此のでかいプランテラーはリュウジの連れて来た奴か」
雌のプランテラーが一メートル以上になり、カップをセッティングし酒を注いで回っている姿は、初めて見る者には信じがたい光景だった。
雌のプランテーションは八十センチ以上にならないと言われているのだが、此の白花のプランテラーは優に百二十センチ以上は有りそうだった。
さらにプランテラーが人の手伝いをするなど聞いた事も無かった。
基本食糧の一種類としか思ってないのが普通である、其のプランテラーが躾され、あまつさえメイドのごとく働くなど、本当に信じられない光景なのだからリゼルダ達一行が眼を剝くのも当然だろう。
「ああ、雪だ、最近は此処で良く師匠の世話を焼いている、下手なメイドより気が利くぞ」
事も無げに言うリュウジのセリフに一行はめまいを覚える。
「プランテラーに何かしたのか?」
全員の疑問をリゼルダが言葉にする
「何となく聞き面が悪いな、教えただけだよ」
「いや、だからどうやって、と言うかそんなに頭良かったのか此奴ら」
「リゼルダ、其れよりも家の地酒って何処のだ?此れは是非次回も頼みたい」
ガゼックはもう此処では普通になってしまったプランテラーの事よりも、また違った味わいで木漏れ日亭の黒曜酒をも凌駕しようかと言う、此のとっておきだと言う酒の方が気になる。
此のガゼックの問いの答えは、クルトから返ってきた。
「ガゼック様其の酒に関しましては、家の母が作っている物で材料に入手困難な物が幾つかありますので、作れない年もございますゆえ、また機会が有ればお持ちいたします」
「そうなのか、貴重な酒を済まなかったな」
「師匠の師匠であるガゼック様に呑んでいただけるのなら」
「そうだな、替りに良い物を御馳走しよう、だが此れはまだ誰にも秘密じゃぞハハハ、リュウジ構わんだろ」
ガゼックはそう言うと、雪に合図を送る
雪は人数分の器と、熱湯の入った薬缶を持って来た。
器の中にはイルベリーがフリーズドライを掛けた食品が入っている。
雪が一緒に持って来たお湯を注げばインスタント食品の出来上がりと言う訳だ。
リゼルダは、蓋を取ると、雪にお湯を注いでもらう。
カヤナも同じようにお湯を注いでもらうと、器のの中を覗き込む。
すると、其の両手でもった器の中では、信じられないような出来事が起こっていた。
器の中のカサカサした粉っぽい乾物の様な麺と野菜が見る見る内に出来立てのスープ麺になって行くのだ、カヤナは見た事も無いスープ麺だったが、何とも言えない食欲をそそる匂いと、今入れたばかりの様にしか見えない緑の映える野菜が白い麺の上に広がり、カヤナの持つ器の中でスープ麺が出来あがる。
「何、此れは、何をしたの?」
リゼルダは早速啜ってみる。
「旨い、師匠此れは」
「どうだ、珍しかろうハハハ、長旅の時などは最高だぞ、」
「本当です、此れは今後旅の必需品となるでしょう、一体この商品は何処で扱っているのでしょう、教えて頂く訳にはいかないでしょうか」
カヤナが真顔で食いついてくる。
「リュウジ、済まん、不味かったかな?」
ガッゼックが、後ろ頭を掻きながらリュウジに振って来る。
「師匠、そのくらいの事ケチらずに教えろ」
「そうだな、お前のその根性がもう少しましになったら教えてやろう」
「姉様、直ぐに根性入れ替えて下さい」
カヤナが間伐入れずに真顔でつっこんでくる。
「な、な、・・カヤナ」
リゼルダがわなわなと震えながら言葉に詰まっているとリュウジが割って入る。
「いやーまいったな、貴方何者?」
この価値を即座に理解し、出所を確認しようとする辺りは、商会ギルドのカードは伊達じゃ無かったらしい。
「姉様、どうしましょう」
「お、お前・・・・」




