ギルと魔導書
そんな折にも、家に帰れば、本の編纂は毎日行われていた。
ギルが非常に楽しみにしていて、毎日テーブルに羊皮紙とペンを並べてリュウジの帰りを待っているのだ。
そうは言うものの、編纂はリュウジにとっても非常に楽しく、充実した作業だった。
ギルが質問し、リュウジが答え、イルベリーが書き留め、リックを媒介し、図解を入れる。
そんな、ギルの好奇心から始まった本の編纂だが、今は中々に充実した内容になっていた。
とはいえ此方には無い概念が多く、もしかすると誰も信じない眉唾物の本、と言う事で終わってしまうかもしれない様な内容でもある。
空気が圧縮できるとか、水圧とか、電気に、ガスなど、この文化水準だと有りえない話が多すぎるのだ。
まあ、彼らに余りこの本の内容を広めるつもりは無いのだが。
元々がギルの思い付きなので、ギルさえ気に入れば基本それでオーケーだろうとリュウジは思っている。
そして、そんな中、第一巻きが出来上がる。
題名も科学と言う言葉すら無い世界で『科学の書』となり、もう一冊の科学を応用した魔法のアイデア編は、分かりやすく『融合の書』となった、現在楽しみながら、第二巻きを編纂中である。
途中、実験して成功した内容を記録した、融合魔法も幾つかある。
電子レンジに、フリーズドライ、だ。
電子レンジは、まず分子の説明をし、水の分子を揺らせ言うアブアウトな説明で、意外にも成功してしまった。
実験用に用意した肉があっという間にレンチン状態、此れにはイルベリーもびっくり、何故だか解らないが出来てしまった状態だ。
此の世界では誰も知らない、しかし存在していた分子、そしてそれを振動させる魔法、此れがこの世界初の融合魔法だった。
これがイルベリーだから出来たのか、誰でもすぐに出来るのか、疑問の残る処だが、あえて検証する気は四人とも更々無かったが、四人の中で成功したのはイルベリーだけだった。
もし此れがある程度誰にでも使えるのなら、此れはこの世界に拳銃を持ち込んだのと同義以上だろう。
今まで攻撃魔法の使えない一般人が、いきなり攻撃魔法を使えるようになってしまうのだ。
普通は相手を焼くほどの炎も、相手を凍らせる程の氷も出せない一般人が、この魔法ならできてしまうのだ、分子を振動させるだけ、原理さえ学べば出来てしまうのだ。
原理さえ学べばだが、人が殺せる。
フリーズドライはイメージが難しかったのか、少してこずったが、水分をの理解が出来れば、それでも何とか成功した。
一気に凍らせて水分の排除、此れでこれからは、おいしい保存食が作れると言うものだ。
只の干物とはわけが違う、野菜で試してみたのだが、試食は大絶賛だった、この日から、ザルク家の保存用の食糧は、大半がフリーズドライとなった。
しかし、此れも人に使えば、人が殺せる魔法だ、二つとも取扱注意だ。
リュウジの心配をよそに、科学の書と融合の書は、ギルの愛読書となり、常肌身離さず持ち歩くようになっていた。
二冊の魔導書の入った、大きなカバンと、白いプランテラーはギルのトレードマークとなっていた。
本を片手に一人で熱心に、魔法の練習をしている姿は、見ているとファンタジーの挿絵の様な風景だった。
庭の切り株に座り、肩にプランテラーを乗せて、膝の上の魔導書に視線を落としながら、もう一方の手に金色の魔素をまとわせ、魔法の練習をしているのだ。
金色の魔素は、複雑な変化を見せていたが、リュウジにはどのような魔法を使おうとしているのか、全く解らなかった。
手に纏わり付いてみたり、丸く成ってみたり、細長く成ってみたり、それが何かに変わる事はなかった。
ある日リュウジが聞いてみると、科学の書の圧縮空気の章と、融合の書のその応用の章を見せられ、兎に角魔法で空気を圧縮したいらしかった。
リュウジは、ギルの魔素の流れを見て助言を始めた。
「単に抑えるのでは無く、雑巾を絞る様なイメージでやってみたらどうだ」
ギルは早速実行したらしく、魔素が光りながら細長くなり、確かに雑巾を絞る様にらせん状に動いているが、上下が塞ぎ切れず、空気が逃げてしまっている様だった。
それを見ていたリュウジは、さらに助言を重ねた。
リュウジに魔素が見える事を知っているギルはその助言を素直に聞き入れ、実行していった。
「今度は、両手でボールをねじる様な感じで」
「はい」
今度は、魔素が両半球逆回転の掛った球状になり少しずつ縮んでいったが、余り圧縮された感じは無い。
「ギルそれその辺にぶつけてみろ」
「はい」
ギルは素直にその辺の地面にそれをぶつけたが、ポンと、そよ風が吹いただけだった。
魔法で空気を圧縮する事が可能なのは解ったが、此れでは意味が無い。
リュウジは少し考え込んだ、空気を圧縮すると言っても、機械で圧縮するわけでは無い、魔法で圧縮するのだ、それも中空に。
イメージだ、どんなふうに圧縮していくかのイメージを作り上げなければ実現しない。
逆にそれさえ出来れば、魔法は思った通りに動いてくれるはずだ。
「ギル、今度は、ねじるのは忘れて、少し大きめに作って回転させながら、空気を練り込むように中に送り込んでくれ」
「はい」
ギルが、人の頭位の魔素球を作るとリュウジが又助言する
「もっと大きく」
リュウジは両手を広げて一抱えもある大きさを示す。
するとギルがその通りの大きな魔素球を作り上げる。
「それをまず回転させる」
リュウジが言うと、大きな魔素球が渦を巻くように勢い良く回転し始める。
「よし、次は空気を取り入れながら小さくしていってくれ」
魔素球はどんどん小さくなって行き、そして魔素の厚さは小さくなる程厚くなり、空気を取り込んでいた。
最終的に魔素球はピンポン玉程の大きさまで、縮小された、中の空気は、何処まで圧縮されている事か。
「ギル、それ、あそこの何もない当たりの地面にぶつけてみてくれ」
ギルは、それを言われて通り、少し離れた地面にぶつけた。
地面がバシュンと言う轟音と共にはじけ飛ぶ
そこは人の頭くらいの大きさに地面がえぐれていた。
ギルは余りの威力に呆然と立ち尽くしていた。
リュウジもこの威力は予想外だった。
「す、凄い・・・」
ギルが何とか言葉を絞り出す。
初めて使ったまともな魔法が此れなのだ、その辺の魔道師より遥かに威力の有る一撃だ、とても自分が使った魔法とは思えず、言葉が出ない。
「此れは、本当に凄いな、絶対に人には向けるなよ、死んじまう」
ギルは黙ってうなずく。
忘れない様にその後二三回、作る練習だけさせてみたが、ギルは確実に物にしていた、もう忘れる事は無いだろう。
その日から、ギルは、成功した魔法を、そのイメージ方法等、詳細に書き留めてやはり本にまとめる事にした。
そしてこれが三大魔道書の最後の一つ『融合魔法の書』の始まりだった。
勿論イルベリーが成功させた、電子レンジにフリーズドライもしっかりと書き留められていた。
それからもギルは暇さえあれば、この本を片手に魔法の練習を繰り返していた。
時々リュウジの助言も受けながら、幾つかの融合魔法を成功させていた。
◇◆◇◆◇
その日は、ザルクまでリュウジの早朝稽古につき合わされて、ガゼックの小屋の陰、石壁に囲まれた中庭とでも言うような所で、汗を流していた時だった。
ギルも木陰に持ち込んだ丸テーブルで、水を片手に魔法の練習をしていた。
コップの水で水球を作り、そこから水鉄砲の様に細い水を出して、近くの薪を狙っていた。
リュウジは何をしようとしているのか、直ぐに理解した。
金色の魔素は空気を圧縮した時と同じように勢いよく回っているのだから。
しかしザルクとガッゼクは単に水を動かす練習をしている様にしか見ていなかった。
年齢からすれば、水をそれだけ自由に動かしているだけでも、十分驚異的だ。
此れも魔素を見る事が出来るリュウジの助言に由るところが大きいのだが、ザルクは知らない。リュウジのその秘密を知っているのは、その時其処に居た、ガゼックと、ギルだけだ。
見ているとギルの魔素は回転を速めたり、魔素量を増やしたりいろいろと試している様だった。
一度大きな魔素球が出来たかと思うと、それをどんどん縮めて行き、最終的に水球の周りに薄くて密度の濃い魔素を貼りつかせることによって、水球に圧力をかけた様だ。
さらに水量を絞り糸の様な細さにし、回転させながら放出する。
その糸の様な水は、音も無く薪を両断いていた。
偶然にもその瞬間を目撃してしまったガゼックは目を剝いた。
「ギル!一体今何をした」
ギルはガゼックの方に本を挙げながら答えた。
「この本の、リュウジのアイディアを実行する実験をしていただけ」
そう、融合の書には、水に圧力を掛けて細い突出口から出した結果は書いてあるが、魔法でそれを実行する方法までは書いていないのだ。
当然、魔法の無い世界に住んでいたリュウジにその方法は解らない、逆にこの世界の人間には科学や物理の概念が無かったりするので、理解した人間が手探りで、実験して行くしかないのだ。
只、成功した時の結果は絶大だった。
ガゼックは、薪を拾い上げると、真剣に切断面を見詰める。
ザルクももう片方を拾いあげ、切断面を触っている。
ガゼックは、薪をリュウジに渡すとギルの隣に座り、今実験したページを聞くと、おもむろに融合の書を読み始めた。
少しすると、ガゼックは読み終えたらしくゆっくりと本を閉じ、ギルに聞く。
「此れをどうやって実験したのじゃ」
ギルはガゼックに『融合魔法の書』を開きながら実演付きで、圧縮球の作り方から細かく説明していった。
聴き終わると、ガゼックは聴いた通りに実行して、近くの石ころを狙ってみた。
石ころは、見事に両断され、両側に転がる。
此れには全員唖然とした、誰も水で石が切れるとは思っていなかった、当のガゼックですらまさかの結果だった。
「此の本は、お前達が作ったのか」
「はい」
ギルが答える。
「此れは物凄いい本だぞ、今まで魔法につての本など殆ど書かれていない、皆魔法を秘匿とするからな、それどころか此れは殆どが新しい魔法だ、信じられんよ、異世界人と言うのは皆このような知識を持っているのか」
リュウジはどう説明した物か思い付かなかった、全てが同じ知識を持っている訳ではないが、此処とは比ぶべくもない教育は受けているのだ。
「そうですね、人に由りますが、皆高度な教育は受けているので、真面目に勉強している奴なら大体は。 俺は親父が科学者だったので、普通よりは科学分野は得意かな」
ガゼックはリュウジの答えを聞くと、ゆっくりと息を吐きながら、視線を自分の手の中の本に落とすと話し始めた。
「そうか、どちらにしても、この本の価値は測り知れない、そして危なすぎて世には出せない、この本を手にした者の力は大きくなりすぎる、良い者が手にすれば良いが、そうで無ければ、とんでもない化け物生まれてしまう。今の処、この本の存在は誰にも知られない方が良かろう。
とは言え、この街ではあまり心配は無いだろうが、魔法の実験は人目に付かない処でな、ギル」
ギルは差し出された本を受け取ると、頷いて此処なら良いのかと言うように、ガゼックに真剣な表情を送る。
それを見たガゼックが、根負けしたようにうなずく。
ギルが再び本を開き始まると、ザルクがそれを奪い取り、今のページを開いて頷くと、異議申し立ての表情を向けて来るギルを無視して、口角を吊上げ言い放つ。
「これなら、俺にも出来るかも知れん」
この台詞に疑いの眼差しを向けるガゼックが、視線をザルクに向けながらリュウジの耳元で囁く。
「あれはどうなんだ、何とか成るのか」
リュウジが即答で返す。
「何ともなりません。此間の空気の圧縮も散々でした」
ガゼックはやっぱりと言う様に、額に手を当てながら、視線をそらす。
「よし!ギルどうやるんだ、パパに教えてくれ」
ギルの表情は曇り切り、明らかに此方に助けを求めているが、ガゼックは視線を逸らしたままだ、仕方なくリュウジが声をかける。
「ザルク、今日はほら、俺の相手してくれる筈でだろ」
「すまん少し待ってくれ、直ぐに終わらす、今度のは水鉄砲みたいな感じだから、きっと出来る」
自信ありげに言うと、ザルクは中空に水球を作った。
それは見事に出来ている様に見えたが、リュウジの眼からはとても水球に成っているのが信じられない光景だった。
ザルクの青い魔素は、嵐の海の様に不定形に水球に纏わり付いているだけにしか見えず、とてもあれで水を球状に保てるとは思えないのだが、水は何とか中空で球状に成っている。
「凄い」
リュウジが呟くとガゼックが小声で返してくる。
「どこが凄いんじゃ、奴はあれしか出来んぞ」
「いや、逆の意味で、あの魔素の使い方で水球が出来るのが凄いと言うか」
「一体どんな魔素の使い方しとるんじゃ」
「そうですね、簡単に言うと魔素が丸くないんです、溢して広がった水みたいに不定形にグニャグニャ動いている、なのに水は球状に成っている」
「普通はどうなんじゃ」
「師匠とギルしか見た事ありませんが、綺麗に球状に成ってますね」
呆れ顔に成っている二人をよそに、ザルクの成功を確信したような嬉しそうな声が聞こえて来る。
「よし解った、やってみるぞ」
掛け声と共に、ザルクの青い魔素はアメーバがのたうつ様にざわざわと波打つと球体の脇から、閉め忘れの蛇口の様に、ちょぼちょぼと水を滴らせた。
数秒の沈黙の後、爆笑が訪れた、ガゼックは豪快に腹を抱えて天を仰いで、リュウジは掌でテーブルを叩きながら、ギルはザルクの前で、口元をおさえて涙を流しながら、堪え切れずに吹き出してしまっている。
水球はボトリと落ちて、地面に広がりアメーバの様な後を作っていた。
笑いながら、ガゼックが何とか話始まる。
「リュ、リュウジ、ハハ、もういい仕方ない、何とかしてやってくれ、ハハハハ」
「し、師匠クク、やっては見ますが、ククク何ともクククク」
「おまえら~」
何時の間にかガゼックの後ろで、ザルクが小刻みに震えながら木剣を振り被っている。
ガゼックは、掌をザルクに向けて笑いを堪えながら静止する。
「ま、待て、ザルク、魔法の秘密を知っている最高の導師を紹介しよう」
この言葉に反応しザルクの木剣はゆっくりと下ろされた。
「本当ですね、今度こそ魔法が使える様に成るんですね?」
「待て、そいつは請け負えん、お前の努力次第じゃ」
昔から散々練習してきた魔法だ、物にこそ成らなかったが、努力を惜しんだつもりは無かった。
この水球も実は何年も掛ってやっと成功させた代物だった。
それ以上は全く上達の気配が見られず、ガゼックには匙を投げられてしまい、諦めてはいたが、魔法を習得したいその欲求は、ザルクの中で未だに燻っているのだ。
「それで十分です、紹介してください」
「解った、今すぐに紹介してやる」
「え・・・」
ザルクが訝しむと、ガゼックはリュウジに向かって声をかける。
「リュウジ、そう言う訳だ、根気よく頼む」
「はい師匠、魔素は出ているんですから、どうにかしてみます」
ザルクは話が見えなくなってしまった。
リュウジは異世界から来た人間で、魔法を使った処等見た事がなかった、そのリュウジが何故、魔法の秘密を知っている導師なのか、理解の外だった。
「どう言う事だ、魔法の秘密って、からかっているのか?」
「からかってはいない、どう言う事と言うか」
言いよどむリュウジのセリフを、ガゼックが奪い取る。
「そう、リュウジは魔法の秘密を知っている、なにせ、魔素が見えるのだからの、これ以上は有るまい」
「意味が解らないぞ、魔素が見えるとはどういうことだ」
尤もな話だった、それは酸素が見える、とか、窒素が見える、と言っている様な物なのだ、いきなりそんな事を言われても、誰がはいそうですかと言って信じるか、と言う話だ。
「言葉の通り、魔素が見えるんだ」
「信じられん」
誰しも考え付くことは似たような物なのだろう、ガゼックがニヤニヤしながら見守る中、ザルクもほぼガッゼクの時と同じような事を試していた。
ザルクが魔法を発動しようと手に魔素を集めると、リュウジがそれを指摘する。
「左手で魔法を使おうとしてるだろ」
そして、ザルクも、ガゼックと似たような反応を見せていた。
「本当に見えるのか、有りえない」
「どうだ、最高の導師だろ」
何故か、ガゼックが得意げに答える。
「でも、今日は俺の練習に付き合ってくれよ」
「勿論」
ザルクと打ち合っている内に、リュウジは一つ気が付いた。
ザルクが撃ち込む瞬間、加速の前兆の様に、普段自然放出している魔素が、その部分だけ増幅するのだ。
ザルクに聞いてみると、魔法は使って無いとの事なので、普通に筋肉を使って動かす様に、本能で魔法を加速時に使っているのだろう、だとするならば、此れは殆どの人間に現れる現象と言う事に成るだろう。
「ギル、一寸此処で素振りをしてくれないか」
「なにか有ったのか」
「ああ、一寸確認だ」
ギルが素振りを始めると、木剣を振り始まる一瞬前に腕が魔素で光り輝く。
此れは確定だろう、これならすべてがテレフォンパンチだ、リュウジはニンマリとしながらザルクの方へ振り返る。
「ザルク、もう一度やろうか」
「リュウジ何が解った、やる前に教えろ」
「いや、まだ解らない、実際やって確認してみないと」
「う、汚いぞ、リュウジ」
そう言いながらザルクは討ち込もうとしたが、青い魔素がダダ漏れだ。
リュウジはザルクの魔素が増幅した瞬間、既に回避行動に移り、ザルクが木剣を振り下ろそうとした時には、既に懐に入り込み木剣をザルクに充てていた。
「ほう」
ガゼックが顎鬚を撫でながら感心したようにうなずいている。
「チクショー ほうって、師匠解ったんですか今の、一瞬消えましたよ」
「ハハ、消えとらんよ、リュウジは初動の機微を見つけただけじゃよ、人間は攻撃に移る前に、必ず何処かに前兆が現れる、それはほんの少しの筋肉の緊張だったり、体重の移動だったりするのだが、普通ならそれが見える様になるまでに、長い修行が必要なのだが、リュウジはそれを、魔素の動きの中に見つけた、だから木剣を降り出す前に避け始まり死角から懐に入った。そうだろ、リュウジ」
「多分当たりです」
「ハハハハ、ザルク、一気にぶっ千切られたな、まあ気にするな、此れはリュウジだけに使える反則技みたいなものじゃからな、」
「反則技ですか」
「それ程でもないが、取りあえず選手交代じゃな、魔素を見ずに同じことが出来る様に成ってくれ」
そう言うとガゼックは、おもむろに木剣を持って立ち上がる。