第二話
俺たちの戦いはこれからだ!(打ち切り決定! )
その後、優斗と途中の道で別れた俺は家に帰った。
そこまではよかった……、そう、幽霊やらが見えようがそこで終わればよかったのだ……、これで話が終われば俺は幽霊が見えるようになり不思議な力を持った少年……、それだけで終わったのにな……。
家に帰った俺は、親は共働きリビングでカバンを外して冷蔵庫からほうじ茶が入った保冷用のハンドルピッチャーを取り出して透明なガラスのコップを食器棚から取り出して中身を注ぐ、ピッチャーを冷蔵庫に戻してコップをテレビの前のテーブルに置いて録画していた番組を見ようとテレビをつけようとしようとした、その時。
ガチャガチャ! カランカラン! ガシャン!パリーン!
突然、台所から食器が割れる音が聞こえてきた。
俺は台所に急いで確認に行くと……、酷い有様であった。
台所の床には棚に入っていたステンレス鍋やフライパン、割れた皿の破片が散乱していた、片付けが大変そうだ、そしてその中に原因となった物らしいものがいた。
ピョン、ピョンと土鍋が散らかった床で飛び跳ねていた……。
そう、土鍋が飛び跳ねていた、前に神社で使ったやつだ、
幽霊が見えるようになったんだ、今さら驚く程でもない。
それよりも、コイツが暴れて皿などを割ったことが問題だ。
この皿は全て親父が陶芸の趣味で丹精込めて作り上げた作品であったのだ。
そう、あったのだ……、その半分近くが今は見る影もない無惨な姿に変わり果てていた。
「あぁ! どうしてくれんだ! 動くな! この糞鍋が!」
俺はあまりの惨状に土鍋ににて怒鳴りを上げた。
その怒鳴り声で俺の存在に気付いたのか、土鍋は飛び跳ねるのを止めてピタリと皿の破片の上で動かなくなった。
俺は、狭い台所の床に散乱した皿の破片を踏まないように気を付けながら、動かなくなった土鍋にゆっくり近付いてかがんで……、素早く土鍋の蓋と鍋の部分を両手で固めるように持ち勢いよく立ち上がり、
破片を飛び越えるようにリビングまで土鍋を持ち運び、テーブルの上に置いて、リビングの様々な種類の親父の酒が保存された棚の上に置かれたナイロンロープの束を手に取った。
そして、そのロープで土鍋を縛り上げようとしたその時……!
「待て小僧! その紐を離せ! 私を誰だと思っている! 偉大なる煉獄の上級悪魔だぞ!」
と、土鍋がやたらダンディーでな声で喋りやがった。
しかもこの声、俺の頭に直接響いてやがる!
俺はロープを持ったまま、テーブルに置かれた土鍋を凝視した。
そして俺は土鍋が本当に喋ったのかつい確認をとった。
「お前が喋ったのか?」
「貴様の両目はただの飾りか? 今貴様の前にいる私以外誰ががいる!」
と、馬鹿にするような声が頭に鳴り響いた。
コイツが喋っているのは間違いないな、しかし、ただ尋ねただけでやたらムカつく返しをしてくるものだ。
しかも、さっきコイツが言ったのは何だ? 偉大なる煉獄の上級悪魔……? はぁ……?
「そんなことよりも早く私に下した命令を撤回しろ! お前が命令したせいで只でさえ動かない体が全く動かん!」
「命令? そんなもんした覚えがないぞ?」
「先程お前は動くなと命じただろう! 召喚者のお前の言葉が我が人体を拘束するのだ! 体が痛くてしょうがない! 早く私に動けと命じろ、このウスノロが!!」
口の悪い土鍋だ、叩き割ってやりたいがなにやら切羽詰まった様子だ。
やたら痛そうに怒鳴っているしホントに痛いのだろうし……。
「ざまぁ見やがれ! 皿を割ったてめぇにはいいザマだ! ハハハハハハッ!」
全力で馬鹿にしてやった。
なぜ俺がわざわざコイツの言うことに従わなければならない、そもそも、コイツが食器棚の中で暴れて中の皿を割ったのが悪いんだろうが! しかも何だ? やたら命令口調で指図をしてくるは、何様のつもりだコイツ?
「貴様! 我に向かってなんと言う口を聞く! イカン! こうしている間にも奴が近付いている、早くせねば……!」
「ゴチャゴチャうるせぇ!、黙っていろ!!」
すると土鍋はさっきまでの喧しさが嘘のように喋るのを止めた。
俺の頭に響いていたあの耳障りなダンディーボイスから解放された俺は、テーブルの土鍋を手に持ったままだったロープで蓋と鍋の部分を何重にも固く結んだ。
その土鍋を二階の自分の部屋にまで持っていき洋服棚の奥にあった黒いバックパックに押し込んだ。
それにしても、割れた食器のことは、どう言い訳しようものか、しばらくは帰って来ないとはいえ、親父カンカンに怒るだろうな……。
考えてもしょうがない、このことは諦めることにしよう……。
さて、このバッグに押し込んだ自称悪魔はどうしてくれようか。
重しを入れて川沈めてやりたい所だが、俺が霊を見えるようになった原因と関わりがありそうだしな・・・・・・。
優斗の奴に見てもらか、そうと決まればすぐ行くか。
そうして俺は土鍋が入った土鍋を背に背負って家を出た、そこまではよかった……、問題はここからだ、優斗の家に行く途中にふと、急に寒気がして横振に向視線を向ける住宅のと窓か巨大な目玉が俺を見つめていた、洋館にいたヤツなのか?
しばらくの間、俺はそ巨大な眼を見つめていた。
するとどうしたことか、窓をすり抜けてコチラに近づいてくる。
そして、巨大な目玉が突如膨らみ始めた、みるみるうちにその形が変わり赤く変色していった。
もはや目玉の形ではなくどこか人の顔に見える形状になった、その考えはどうやら正解だったらしく、下側の肉が弧の形に裂け、巨大で鋭い歯が並ぶな口となり、真ん中から鼻がぷっくりと伸び、上側は瞼のような裂け目が二つ浮き出しバチリと眼を開いた。
それを見た俺は「ビュン!」と漫画みたいな擬音がでそうな早さで逃げ出した。
驚くほど走る速度が早かった、それこそ、いまの早さならウサイ○ボルトを越えるに違いない。
実際はそこまで早くないだろうが普段意識して走るよりも異常なほど速い!
これが噂に聞く火事場の馬鹿力ってやつなのかか? たとえ違っていたとしても今早く走れることに変わりはない。
「お前が隠しているのか小僧!お前からあの忌々しい悪魔の臭いが! お前が! お前が! お前がぁぁあ! どこだぁ゛あ゛あ゛! どこにいる゛ぅ゛う゛!」
背後から地獄の亡者のような怨念がこもった声が響いてきた。
聴くだけで全身が震えてくる、しかし足を止める訳にはいかない。
それに、今コイツはなんて言った?
忌々しい悪魔だと? バッグの中に入っているコイツのことなのか、だとしたら……。
「おい!! 聞こえているか鍋野郎! どうゆうことか説明しろ!」
「今さら説明を求めても遅いぞ貴様! この私が今お前を追っている奴をわざわざ教えてやろうとしたところで貴様は黙れと命じたな! 小僧、貴様が今すぐにでも喰いころされれば嬉しいところだが貴様が喰はれれば動きの遅い私は逃げ場がなくなる、いいかよく聞け小僧、奴は私を狙っているようだが私をを放り投げても意味はないぞ! 神社だ! あそこまで逃げればどうにかしよう!」
と、土鍋は早口で説明を行った。