第一話
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数日後の土曜日、俺は全力で走っていた。
いつもならゆっくり歩きながら、行きつけの書店で漫画の立ち読みなどをしてから自宅に帰るのだが。
今日は事情がガラリと変化した……変わってしまった、と述べるべきか……。
「ま゛あ゛ぁ゛て゛ぇ゛え゛! 小僧お゛ぉ゛お゛!!」
「……!」
振り向くと、後ろから迫ってくる鬼みたいな怒った顔の真っ赤な顔だけの巨大な化け物が見えた。
走り続けて両足が痛むが、アイツに捕まればどうなることか。
そもそもアイツは手や足はないのだが、そう……、後述どうり、顔だけである。
「捕まえるなど悠長なことはせず、奴は間違いなくあの巨大な口の鋭い歯で貴様の体を八つ裂きにして喰い殺すであろうな……」
頭の中に響く気に障るダンディーボイス……、全部コイツのせいでこうなったのにどの口でそんなことを言う!
「貴様こそだ!元は貴様がこの偉大なる私を召喚し、この脆く、薄汚い焼き物の中に封じ込めたのであろうが!!」
思わず後ろに背負うバックパックを外して放り投げてしましたくなる。
しかし、今外すために手を動かせば速度が落ちてしまうだろう。
あぁ、足が痛い、もう走りたくない……、しかし、今立ち止まればこの糞野郎の言うとうりの結末を迎えるだろう。
己の体を叱責して走らせる。
背中に背負った黒色のバッグパックが重しとなり、速度を著しく落としている。
しかし、捨てるにもバッグの中には今……。
こんなことなら文化部ではなく運動部にでも入っていれば……、考えてもしょうがない。
今は少しでも早くどこかに隠れなければ。
どうしてこんなことなったんだ!?
本当なら今日は行きつけの書店で予約しておいた単行本を買い、しばらく書店で立ち読みした後、家に帰ってゆっくりと過ごす……。
そんないつもどうりの有意義な休日になるハズだったのだが……。
始まりは思えば昨日の昼辺りからだ。
授業を受けている最中の窓をふと見ると……
学校のグラウンドの片隅に、……がいるのだ。
当然今は授業中、体操着を着た生徒達がグラウンドで走り幅跳びや50メートル走などをしている姿が見える。
それだけなら別に気にすることはない、しかしそのグラウンドにおかしな奴が紛れ込んでいた。
黒っぽい山高帽に丸い枠の眼鏡、袴の上にマントを着ているハイカラなオッサンがグラウンドの隅にいた……。
しかし、生徒は誰も気づいていないように見える。
かなり目立つのだがなぜか気づいていない……。
どう考えても不審者だが、しかし今の世の中にあんな大正時代のハイカラな香り漂う服装の不審者がいるだろうか。
もしかすると……、と幽霊か?
授業後、の廊下で半透明のヤマネみたいなのが男子生徒の肩に乗っかっている光景を見る……、周りを見るが誰もその不思議な光景を気にしてもいない。
当然のように見えるのは俺だけ、他の生徒や教師はいつもどうり、休み時間で移動教室の生徒は忙しなく歩いて行く。
間違いない、たぶんあのオッサンやヤマネとか幽霊とかそうゆうヤツだ!
なぜだ? 俺にだけしか見えていないようだが、なぜこんなものが急に見えるようになったのか……。
今朝まで、何事もなかったハズだ……、なのにどうしてだ、どうなっているんだ?
最近のことで思い当たる節は……。
神社での出来事ぐらいしかないな……。
しかし、どうしたものか……、今のところ実害はないし……、考えようによっては面白いかもしれない、一応オカルト部員ではあるから霊感的なものに興味はある。
今まで霊感とゆったものに全くと言っていい程に縁がなかったし、こう……、突然霊感的なものが覚醒とか
正直胸が高まるぞ!
そう考えると悪くないな……、いや……、よく考えると悪いことしかない。
幽霊が見えるとか日常生活に支障を来たすぞ、コレ!
ヤバイな、どうする? 誰かに相談したほうがいいのか?
原因となった優斗にでも相談するか……。
しかし、アイツに相談してどうこうなるのか? そもそも神社でやったあの儀式も実は関係ないのではないだろうか……。
放課後の帰り道、俺は優斗にこの話を切り出すことにした。
「優斗、ちょっといいか?」
「どうしたんだ? 川原?」
「優斗、霊感が覚醒したらしい!」
「はぁ……、それで?」
はぁ、じゃないだろうが! 言い方か? 言い方が悪かったのか?
「どうも俺幽霊が見えるようになったらしい」
「いや、ワケが分からん、詳しく説明しろ」
そこで優斗に詳しく説明をした。
だが、優斗は説明の途中で、もういいと言った。
そして、
「その急に見えるようになったてさ、思い当たるのは、あの神社での儀式のせいかもしれないって言いたいんだろう? でもさ……、あれってただの降霊術みたいなものでさ、それにあれは土鍋を媒介に入れ込んだ札とかの文字で召喚者の今後起こることを予想するってやつなんだぜ?」
「じゃあ俺が突然霊が見えるようになったのは関係ないのか?」
「失敗しても別に危険はないやつだからな……」
じゃあ……、俺が幽霊を見れるようになった理由はなんなんだ?
「まぁ……、お前に手伝いを頼んだ俺にも非があるし……ごめんな!」
「いや……、別に謝らなくても……、にしても、俺が見えるようになったことをなんですぐに信じてくれたんだ?」
さっきから疑問に思っていたことだ、普通、霊が見えるなんて友人が言ってきたら、馬鹿にするか変な目で見るぞ……、俺なら。
「そりゃ、お前……、面白そうじゃんか! 非日常とか俺憧れてんだよ!」
「お前馬鹿だろ……」
コイツニ聞いた俺が馬鹿だった。
まぁ、そんなことを話していた途中だった、今俺たちが歩いているのは住宅やら塀が続くような狭いってほどでもないが乗用車が通るのは困難な路地だ、そこには古い木造と少し錆びた赤茶色のトタンの家などが立ち並ぶ場所。
そんな普通の民家が立ち並ぶ路地の住宅の中に一際目を引くドデカイレンガ造りの洋館がある。
洋館の庭には2メートルはある雑草が伸び放題、オマケに茨まで生えていて、洋館を想像する人の大体が思い浮かべるであろう、完璧な洋館である。
そしてこの洋館、当然ながら誰も住んでいない。
20年程前には、夫、妻、娘、祖父母の5人家族が住んでいたらしい、が……、ある日突然一家心中。
庭の手入れをしていたお手伝いさんが不審に思い洋館の中に入ると玄関には全員の靴が綺麗に並べられており、不思議に思いながらも洋館の中を調べると、二階の大きな書斎で雇い主の夫が首を吊っており、床一面に白い円とわけのわからない記号が描かれており、部屋中に白い様々な長さのチョークが散乱していた。
そして、夫の近くの床には一家が揃って冷たくなっていたらしい。
その後警察の調べでは、死んでいた一家は目立った外傷はなく、毒殺でもなかったらしい。
なぜそんなに詳しく知っているかとゆうと、その時のお手伝いさんが俺のじいちゃんだったのだ。
若いころは色々な仕事を転々として日々をしごしていたらしい、最後は普通に定職したらしいが。
話を戻そう、そんな曰く付きの洋館には当然現在も人は住んでいない。
そんな洋館の部屋の窓に目があった……、目である。
ドデカイ窓程のデカサの目がジッと俺を見ていた。
コッチ見んな、と言ってやりたくなる、しかし……、なぜ俺を見ているんだ?
しばらく立ち止まって見ていると、「川原……、何見てんだ?」
と、言われて、優斗の方に振り向いて、「いや……、なんかあの洋館の窓にデカい目が居て、俺の事ジッと見て……」
と言って、後ろの洋館の方に振り向くと……、窓にいたハズの目はいなくなっていた。
「いや、気にしなくていい」
と優斗に言ってそのまま歩いてゆくことにする。
しかし、一体…何だったんだ? アレ……。
気味が悪かったが、害はなかったので気にしないことにしよう。
そうして気にせず歩いてゆく彼らの後ろを、洋館の二階の窓から再び見つめる巨大な目があった。
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