表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/38

それぞれの休日~レイクの秘密

 レイクはしばし考えて、父親に一通り今までの出来事を話す。

 その話を聞き終わった父親は、


「それで、“始まりの神”は目覚めているのか?」

「どうでしょう。まだ普通の人間だと思いこみたいように、僕には見えましたが……というか、普通なのに変わっているようなそんな状態です」


 それにレイクの父は沈黙する。

 この世界の隙間から入り込んでくる魔物。

 その凶悪さは、その魔物の牙等が高価で材料になるといっても割に合わない。

 そしてこの世界の三人の神々の内、もっとも強い一人の神がが行方不明なのだ。


 その神によりこの世界が作られ、けれどその存在はずっと秘されて来た。

 理由は幾つかある。

 その神がもっとも強く、そして干渉してこない事、否、干渉しても皆気づかない事

 また、作られたものは、初めから目の前にあるものには、人は関心を向けない事。

 あるものは存在しているとしか認識できないから、それが存在できる“維持の神”、壊される“破壊の神”に意識がむく。


 それ故に自然と忘れ去られ、消えてしまった。

 更に加えるならば、その力が恐ろしく、人々が目を背けた部分もあるのだろう。

 それが今のレイク達の見解だった。

 現に、彼の力は全てをひっくり返す。 

 そこで、レイクの父親が口を開いた。


「以前の、凶悪な魔物の襲撃。その予知をひっくり返したその……シズ、という少年はどうだ」

「そうですね。一応、ウィルという、アースレイの思い人がやった事になっていますが……死ぬはずと予知された彼が今も生きている」

「そして、他にも予知をひっくり返していると?」


 その問いかけにレイクは方をすくめて、更に付け加える。


「予知にも現れないそうです」

「それは、この世界そのものであるから?」

「だろうという話です。それに、その予知に続く道を作り変えている可能性もあります」

「それは、私達が、選択しているつもりで、選択をさせられているという事か?」


 何処か蒼白な父に、レイクは困ってしまい、以前イルも交えて聞いた話も含めて思い出して、


「うーん、イルから聞いた話も含めてなのですが、あの、シズという少年は同じ力を持っていて、けれど彼自身が望まず精霊達に話しかけないそうです。けれど、彼が望めば精霊達に影響はするでしょうね」

「予知に現れる……予知として存在できる事象に向かい、その切っ掛けとなる些細な事象、動きを変更して、推定される結果の変更……予知能力者達、“破壊の神”の力の先祖帰りとはまた違った方法か」


 なるほどと頷く父。

 ただ、レイクには思うところがある。


「“破壊の神”は“始まりの神”と相性が悪そうな気がするのですが、なんだか仲が良いですね」

「さて、人だから好きなだけかもしれない。“始まりの神”は人が好きだから」

「まあ、“破壊の神”と関係があるからといって仲が良い訳ではありませんからね。予知能力者達のように」


 予知能力者達の傲慢さと残酷さはレイクは嫌いだった。

 その中で、エルフィンはまだその傾向が少なく、けれどだからこそ、彼らに馴染めない部分もあったのだろうと容易に想像出来る。

 そう心の中で考えたレイクだが、


「……その件だが、追い落とされたあの、エルフィンだったか?」


 エリフィンの名を聞いて、レイクの顔が険しくなる。


「……彼がまた?」

「執着している者がいる。そして、彼以外の予知能力者の予知が、以前全て壊されただろう? フィエンドによって」


 その話に、レイクは少し彼の様子を思い出して、


「彼、そのことに気づかれていないと思っているみたいですよ?」


 そうレイクが言うと、レイクの父は目を瞬かせて、ああと思い出したようだった。


「多分フィエンドは、自分が“破壊の神”後を半分引いている事を知らないのだろう。彼の父親が確かまだ話さないと言っていたから」

「本人から?」

「もちろん密偵からだ」


 それはきっと彼の家が、それこそ家族くらいしか知らない特別な話。けれど、


「最近シズが来てからフィエンドの調子が良さそうなんですよね……」

「確か、昔、彼がいた村にフィエンドはいた事があるな」

「ええ、シズと出会ったのもその村ですね。そして、あの二人の関係は、とても危うい」


 二人の関係、痴情のもつれの面倒くささを思い出して、大きくレイクの父は眉を寄せるも、


「……どちらにせよ、二人にはこちら側に捕まえておく必要があるだろう。あの二人はこちらの切り札だ。既に神殿の、こちら側でない方に、“維持の神”の子も、予知能力者達が捕らえられている」

「“維持の神”の子は、アースレイの義弟が執着していますから、時間の問題でしょう」

「……そうだな」

「しかし、何であのアースレイ達といいフィエンド達といい、あんななんですかね」

「昔からそういうものだ。他に、何かあるか?」

「神殿が別のものに喰われているらしい事です。神殿内が別のものが見え隠れしているので、特に注意が必要かっと」

「アースレイ達にも話しておく」

「はい、では以上で?」

「ああ。それでイルはどうしているのかね?」

「眠っていますよ、僕のベッドで」


 そこで始めてレイクが本当に心の底から嬉しそうに笑う。

 その様子にレイクの父である、この国の王もまた目を細め、微笑んだのだった。








 部屋に戻ると、イルが起きていた。


「起きていたの?」

「うん、もうすぐレイクが来る気がしたから」


 そんなイルを抱きしめて、レイクはキスをする。

 この意味も、そしてレイクがイルを抱く意味も、イルは良く分っていない……と思っていたのだが、困った事に分っているらしかった。

 なのに、シズの事は好きらしい。


「イルは僕とシズ、どっちが好きなんだい?」

「加えて精霊も好きだよ?」

「それは全部同列なの?」

「うん、だっていつも傍に居るから。でも、シズは特別だけれど」

「イルと同じだから好きなの?」

「同じ……初めは同じだと思ったけれど、でも、違うかも」

「そっか……でも、イルが僕のことを好きならいい」


 そう答えて、イルの服にレイクは手を差し込んでいく。

 肌に手を這わすだけで、イルは小さく震える。

 イルとレイクであったのは、幼い頃の森の中。

 あの時精霊達と話すイルは妖精の様で、初めは本当に妖精かとレイクは思った。

 そして人と知り、捕まえた。


 精霊達と語り、人である事を忘れそうなイルを引き止めて、レイクは自分のものにした。

 レイクはイルを外からはそんな風には見えないけれど、溺愛して、その体も重ねている。

 けれど今一イルは分っていないように感じる。

 逃げられないようにレイクは囲って、なのにイルは自由だと思っている。


 時々、イルの事が分らなくなる、それがレイクには怖い。

 こんな風にイルがレイクの腕の中にいるときだけ、レイクはイルが自分だけのものだと確信できる。


「イル、愛してる」

「僕も、レイクの事を愛してる」


 何処までその言葉の重みを分っているんだろうと、レイクは時々不安になるも、仕方がない。

 惚れてしまったレイクの負けなのだ。

 そう思いレイクはイルに再びキスをしたのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ