時給100円、神様始めました。
世の中に神様がいる、と信じている人はどれほどいるだろうか。
例えば雨乞いをする人、例えば命乞いをする人・・例をあげたらきりが無いだろうが、本当に心の底から神様を信じている人なんて極一部の少数人数だけだろうと思う。
何故いきなりこんな話をするかと言うと、かくゆう俺も神様なのである。
色々言いたいことはあるかと思うし信じなくても別にいい。だが、これだけは事実だ。
現に一日に2400円もらっているからな。時給100円、それが俺の・・神様の仕事である。
神様と言っても少数ではなく大勢いる。
大体が住んでいる区に分かれているのだ。俺は生等区担当だ。
町を一日観察して、誰々がこうだったとかこんな奴が悪い行いをしていたとか。
普通のパーカーをきてジーンズを穿くため、誰も俺が神様だなんてことには気付かない。
一日に貰う2400円で下界で生活するくらいだし、友人の神様には夜道路工事のバイトをする奴だっているからな。
まったく、世も末だ。
夜。一日が終わると俺はネットを開く。
報告欄を記入するとそれをそのまま冥界へと送信する。
やっと最近現代機器に慣れてきたところだ。
白いところを、曰く日本語で埋め尽くすと確認してから送信した。
「っはぁ~・・」
コキ、と肩を鳴らす。
下界は重力もあるし疲れる。今日は早く寝てしまおう。
冥界は自分の体を自分で操るため、重力という概念が存在しない。
歩きたいときは歩けばいいし、飛びたいときは飛べばいいという意外とフリーダムな感じだ。
ベッドに寝転がると軋んだ音を立てた。
枕に頭をうめて目を瞑るとちょうど携帯が鳴った。
未だ慣れないスマートフォンという物を両手を使って開く。
"明日弥勒区の奴と飲み会すんだけどお前もこねぇ?"
隣町の奴だ。
さっきチラッと話に出した道路工事のバイトの奴の弥勒区の奴も来るらしい。
一瞬迷ったが貯金も溜まってる事だし行く事にした。
適当に返事を打つと送信した。すると5分も経たないうちに返信が来て、相変わらず順応性の早い奴だと感心しつつ意識を手放す。
まったく、神様も大変だな。