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あどけない話/くだらない話

作者: 真空ゆき

智恵子は東京に空が無いといふ、

・・・は東京に絆が無いといふ、


ほんとの空が見たいといふ。

ほんとの絆がみたいといふ。


私は驚いて空を見る。

私は驚いて絆を見る。


桜若葉の間に在るのは、

人々の間に在るのは、


切つても切れない

使いきれない電気を求めても電気の値上げは受け入れない

原発に放射能汚染に放射性廃棄物、数多の恐怖を押し付けても感じない

原発は爆発し炉心は溶融し放射性物質をまき散らし大空を大地を大海を生き物の体内を汚しても省みない

未だ燃料棒は分からず汚染水は止められず無力を晒け出しても認めない


むかしなじみのきれいな空だ。

むかしなじみのきれい事だ。


どんよりけむる地平のぼかしは

どんよりけむる神話のぼかしは


うすもも色の朝のしめりだ。

うずもも色の嘘のしめりだ。


智恵子は遠くを見ながら言ふ。

・・・は遠くを見ながら言ふ。


阿多多羅山あたたらやまの山の上に

激しく揺れる大地の上に


毎日出てゐる青い空が

肩を寄せ合う暖かい絆が


智恵子のほんとの空だといふ。

・・・のほんとの絆だといふ。


あどけない空の話である。

くだらない絆の話である。

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