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想訪人 -sohojin-  作者: あき
somniāre
9/9

08.

○月×日


今日入った夢では、哀しそうな女の人の声で、『足りない、足りない』と繰り返し聴こえた。

でも足りないものが解らなくて、できる限り探し回ったけれど、第一階層では何も見つからなかった。

第一階層にあったのは日本家屋と庭で庭先に古い井戸があって、覗き込むと第二階層に繋がる路があった。

気のせいかも知れないが、井戸に近付くと『足りない』という声が強くなった気がした。

第2階層に抜けると、そこは草原だった。

白いものが跳ねていて、良く見れば兎だった。

その兎が、ほのかに青白く光っていて、慌てて追いかけた。

兎は怯えて逃げるので、追いかけるのを止めて後ろ向きで呼んでみると、兎は自分から腕の中に入ってくれた。

気付いたらそれは兎の描かれた一枚の皿だった。




○月○日


この日記を、いつか誰かが読むかも知れないことを考えて、言葉の定義を書き留めておくことにした。


夢主:その夢をみている人。

夢の中で響く声が、現実の人と対応していることは少ない。


階層:夢は大抵階層に分かれて存在していて、それぞれの階層は独立して成り立っている(高層ビルのようなもの)。

夢に入って最初にたどり着くのは第一階層(ビルでいうと、一番上の階)である。階層は下に行くほど古く、埋没された記憶になっていく。

階層は大抵ひとつずつしか渡っていけず、それぞれの階層に上や下へ渡る路がある。


路:夢の階層を隔てる扉や階段のようなもの。



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