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想訪人 -sohojin-  作者: あき
夢の中の旅
8/9

07.

「キヨさん、迷っても俺探せないから」

「ちょ、真田君。待ってよ」


結局、第二階層に繋がる道は、真っ暗な穴だった。

招きよせるように開いた扉の奥で、地下貯蔵庫のような、床の取っ手を持ち上げると黒々とした穴が覗く。

何も見えない先からは、けれど此処とは違う風の匂いがしていた。

「うーん。おにぎりでも転がしてみようか?」

「寧ろ、兎追いかけるなよ」

敢えて日本の昔話をあげると、真田君はさも可笑しそうに有名な西洋童話を持ち出して笑う。

「それって、真田君が兎ってこと?」

「勘弁してよ、キヨさん。兎っていうなら俺よりは、あいつだろ」

「あいつって、竜飛さん?」

もう一人の高校生アルバイトである少女の名をあげると、真田君は面倒くさそうに肩を竦めた。

「そ。ほら、良いからさっさと行くよ、キヨさん。時間がもったいない」

そう言って真田君はあっさりと穴に飛び込むから、僕も慌ててその後に続いて。

暗闇を抜けると、そこはジャングルだった。


「凄い所だね。ジャングルだよ」

うっそうと茂る木々を見上げていると、先を行く真田君が呆れたように僅かに振り返る。

「あのさ、キヨさん。ジャングルってのは、熱帯地方の森林なんだけど。つる性植物が混じった熱帯雨林を指すわけ。こんな風に、妙な森じゃないって」

真田君が幹を叩いたのは、良く見れば杉の木。

その隣には檜に楡。

向こうの方にはバオバブも見える。

「なんていうか、」

「「夢の森」」

期せずしてハモった言葉に、真田君が苦笑した。

「キヨさんの思考って単純だよね」

「酷いなぁ」

「じゃあ、そんなキヨさんに質問。この森の違和感を3つ答えてよ」

「え?」

「制限時間は10秒」

唐突に始まった容赦ないカウントダウンに目を白黒させると、真田君が肩を竦める。

「キヨさん、今回の依頼は?」

「えぇと、手紙を埋めた場所、」

「そ。第一階層はタイルだった。第二階層は土だ。多分、此処で見つかる」

真田君の横顔は真剣だった。


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