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第一章【幼少期】

幼い頃から気が多かったあたし

初恋は幼稚園時代に好きだった人

その人も大好きだったけれど

お兄ちゃんも大好きだった

そんなあたし







小学校に入ってすぐ

あたしには好きな人が出来た

しかも3人も







その3人の中でランク付けをして

バレンタインにはチョコをあげに行った

勿論3人共にね







その中であたしは2番目の人を凄く好きになった

理由は簡単

一番絡んでいたから







男子と上手く絡めなかったあたしに対して

男子はあたしの名字である『鎌田』から『カマキリ』と呼んでよくあたしをからかっていた

その度にあたしは

逃げる男子をとっ捕まえて

爪を立てて男子の腕をひっかいていたものだった







その中の一人があたしが2番目に好きだった人

坂本クン







男子と上手く喋る事が出来なかったあたしは

そうやってからかわれるのが嬉しくて

その度に追いかけっ子をしていた

そうやってればいつか好かれると思っていた

だからバレンタインには毎年チョコをあげていた






そうやって過ごしていき

あたしは小学3年生になった







あたしは未だに男子から『カマキリ』とからかわれ続けていて

その度に坂本クンと関われるのがあたしの喜びだった







そんな夏の暑いある日

あたしを好きだと言ってくれる人が現れた

彼の名前は菅田クン

あたしは好かれるというのがこんなに嬉しいものなのかと思い

その嬉しさに触れる為に

何度も菅田クンに

「好きな人だれ〜??」

って聞いていた

恥ずかしがりながらも『鎌田サン』と言ってくれる菅田クンに対して

「あたしも菅田クンが好き」

とまあ心にも無い事を言っていたのをよく覚えている

好きだと言えば喜んでくれるのが嬉しくて

嘘でも好きだと言っていた







しかしそれも長くは続かなかった

嘘の恋愛など長続きはしない







あたしは菅田クンを泣かせた

なんでだったか理由は忘れてしまったけれど

彼がしゃがみ込んで泣いていた姿が目に浮かぶ

その時のあたしは

一体どんな表情で菅田クンを見下ろしていたのだろう







それから菅田クンとは全く喋る機会がなくなり

あたしはまた坂本クンを好きになっていた







それからあたしは小学4年生になり

バレンタインの日に友達4人と計画を立てて

各々の好きな人にチョコを作ってあげようという事になった

あたしの相手は勿論坂本クン

初めてのチョコ作り

見栄えはあまり良くなかったけれど

出来栄えはまあまあなものだった







この年あたしは

同じクラスの関屋サンにも、坂本クンにチョコを一緒にあげて欲しいと頼まれていた


当時あたしが坂本クンを好きな事はクラスの人にはバレバレだった

毎年チョコをあげている事もクラスの皆は知っていた

なんでバレてるんだろう

その真実は中学に入ってすぐに知る事になる


とにかくその事を知っていた関屋サンは

あたしを利用しようと思ったのだろう


関屋サンは凄く綺麗な人で

男子からの評判が良かったのを覚えている







普通に考えて勝つ筈もないライバルのチョコ

そこで受け取らなければ良かったのに

お人好しなあたしはチョコを受け取り

2月14日にあたしのチョコと関屋サンのチョコを坂本クンに渡した







この時あげなければ

なんて

後々後悔する事も知らずに







その年の3月に

仲が良かったエリピーという名の子が転校する事になった

エリピーは当時吉田クンという人が好きで

エリピーもバレンタインに吉田クンに手作りチョコを渡していた

でも、最近坂本クンも気になるという話を直接本人の口から聞いていた

あたしが好きだと知っていたくせに

エリピーもまた関屋サンと同様に、男うけが良かったから

内心焦っていた







そしてエリピーが学校に来る最後の日に

吉田クンの好きな人と坂本クンの好きな人を聞こうという話になって

確かエリピー本人が直接二人に聞きに行ったんだと思う









吉田クンの好きな人は勿論エリピー

だって二人とも凄く仲が良かったんだもん

そして坂本クンの好きな人

それは‥









エリピーと関屋サンだった

それを嬉しそうに話すエリピーに

あたしは喜んであげる事が出来なかった







あたしが長年好きだった人を

意図も容易く奪っていった

そんな気がして

悔しかった


関屋サンだって

あたしがチョコを渡さなければ

好きにならなかったかもしれないのに









結局あたしは今まで

何してきたんだろ?







エリピーが転校していった後もあたしとエリピーとの交流は平然と続いていた







別に両想いだからってどーのこーのがある訳でもなく

一時の喜びの為に聞いた様なもので

エリピーは転校先の学校で新たに好きな人が出来ていた


あたしはというと…







同じ様に好きな人が出来てたんだけどね

坂本クンとは違う別の男子を…









小学5年生になって出来たあたしの好きな人

彼の名前はりょーぺーサン

りょーぺーサンはエリピーにずっと片想いをしてて

でもエリピーはりょーぺーサンの事ずっと嫌ってて

あたしと同じ様に叶わない片想いをし続けていた人







りょーぺーサンは他の男子と違ってあたしをからかわないで

普通に優しく接してくれた

あたしと普通に接してくれる男の子なんてそう居なかったから

その優しさが嬉しくて

どんどん好きになっていった

でもりょーぺーサンは未だにエリピーに未練があるって噂があったから

あたしはどうしようもない気持ちで一杯だった

でも、とにかく一杯話したよね









エリピーが転校してから

あたしは夏美とよく遊ぶ様になった

夏美もまた男うけが良くて

エリピーは可愛らしい女の子って感じだったけれど

夏美は対照的に男勝りの女の子って感じだった


そんな中あたしは

夏美と仲が良かった信也を好きになった






勿論りょーぺーサンを諦めた訳ではない

いわゆる二股だ

それでもあたしは

二人とも好きで好きで仕方なかった







りょーぺーサンと絡める時には絡んだし

信也とは夏美と行動してる時に一杯絡んだ









けれどバレンタインという名の行事は

あたしの中ではあの日以来終わっていた

あげる事に何の意味も無い事を知り

あげる必要の無い事を知ってしまったから

あたしなんかが好かれる訳がない

そう覚えてしまったから……










小学校を卒業する頃には

信也をあまり意識しない様になっていた

理由は簡単

信也はあたしに冷たかったから

信也はあたしが信也の事を好きだと知っていたみたいで

極端にあたしに対しての態度が冷たかった

それが嫌で

徐々に冷めていったんだと思う

叶わない恋をして

無駄に傷付きたくなかったんだろうね







こうしてあたしはまた

りょーぺーサン一筋になった

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