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青い霧  作者: 田中元一


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第6話(後編)――動き出す国家――

国家は、即座に動いた。

だが――感情は置き去りにされた。

異例の「三重体制」

前夜、首相官邸。

主要閣僚4名を一度に失った政府は、混乱を最小限に抑えるため緊急閣僚会議を招集した。

同時に設置されたのが、前代未聞の「三重構造」だった。

・国家公安委員長をトップとする

 JNL特別便事故調査団

・警視庁による

 事故捜査本部

・東京地検による

 独自捜査体制

三つの組織が、同時に動いた。

それは迅速な真相解明のためなのか。

それとも——互いを牽制するためだったのか。

JNL社内の朝

JNL本社。

早朝便を終えた客室乗務員たちは、無言のまま会議室へ集められた。

・事件概要の説明

・殉職した乗務員15名への黙祷

・乗客・報道対応方針

感情の入り込む余地はなかった。

すべてが、機械のように進められていく。

会社は即座に、「全面協力」の姿勢を打ち出した。

そして12名による特別便事故対策班が編成される。

その中に、桜井真一の名もあった。

桜井の、もう一つの恐怖

だが桜井には、どうしても頭から離れないことがあった。

ロンドンにいる恋人――宇野千鶴。

彼女は本来、あの特別便に乗務する予定だった。

だが体調不良で直前に交代。

代わりに乗った同僚は、もう帰ってこない。

しかも――

父・宇野清二は、生き残った。

母であり、千鶴にとって“もう一人の親”だった早苗は、帰ってこなかった。

(今、彼女は……)

桜井には、連絡する言葉が見つからなかった。

「まるで加害者扱いだ」

事故対策プロジェクトルーム。

六台の電話が、同時に鳴り響く。

「生存者の詳しい容体は?」

「乗客名簿を、今すぐ出せ!」

「説明責任は、どうなってる!」

その口ぶりは、まるでJNLが加害者であるかのようだった。

誰もが疲弊し、

誰もが声を荒げ、

誰もが——真実を知らない。

そして、官房長官の一言が新たな火種を落とす。

「死因が、青酸性ガスによる可能性もある」

その瞬間、報道は一斉に

“暗殺”の文字を踊らせ始めた。

この事件は、事故なのか。

事件なのか。

それとも——裁きなのか。

その答えを知る者は、まだ誰もいない。


▶ 次回予告

生き残った3人は、何を見て、何を吸い、何を知っているのか。

捜査は、ついに——

「人間」へ踏み込んでいく。


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