第14話 薄れていく世間の関心 ――怒りは、やがて疲労に変わる――
事件直後、日本中はこの惨事に釘付けになっていた。
臨時ニュース。
特別番組。
連日のワイドショー。
だが——
一か月が過ぎた頃、空気は確実に変わり始めていた。
◆ 数字が示す「忘却」
視聴率。
60%台。
——20%前半。
それだけで十分だった。
街頭インタビューでも、人々の言葉はどこか距離を帯び始める。
「気の毒だとは思うけど……」
「結局、偉い人たちの因縁じゃないですか?」
「もう、犯人も分からないんでしょう?」
怒りは疲労に変わり、やがて無関心へと薄れていく。
◆ 報道の“次の獲物”
週刊誌も変わった。
「犯人を追え」から、
「死亡した要人たちの黒い過去」へ。
疑惑。
スキャンダル。
真偽不明の噂。
結果、複数の遺族が名誉毀損で出版社を提訴するという異例の事態にまで発展した。
事件は、社会の娯楽へと変質し始めていた。
◆ 捜査本部だけが感じる違和感
だが——
捜査本部の一部は、この沈黙を別の意味で捉えていた。
「……静かすぎる」
嵐の前の、異様なほど穏やかな空気。
事件は終わっていない。
ただ、表に出てこなくなっただけだ。
そして——
本当に恐ろしい事件ほど、忘れられた頃に動き出す。
▶ 次回予告
世間が忘れた頃、事件は再び動き出す。
それは、誰も予想していなかった方向からだった。




