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禁忌の子レイ  作者: ぴすまる
第四章:三界衝突編

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第83話

【天界】


 観測盤は、

 静かに回転していた。


 光の層が幾重にも重なり、

 数値が更新されていく。


 異常値は、

 もはや警告として

 扱われていない。


 継続中。

 変化なし。

 逸脱なし。


 セラフィエル=アーカは、

 記録を止めなかった。


 止める理由が、

 見当たらなかった。


「現象は安定しています」


 報告は、

 簡潔だった。


「裁定は?」


 何度目かの、

 確認。


「保留を継続します」


 即答だった。


 誰かが、

 わずかに眉を動かす。


 だが、

 言葉は続かない。


 観測対象は、

 何もしていない。


 それ以上、

 書けることがなかった。


 光が、

 一段階淡くなる。


 数値は、

 変わらない。


【魔界】


 匂いは、

 消えていなかった。


 ヴァル=ノクスは、

 岩棚に腰を下ろしたまま、

 目を閉じている。


 強くはない。

 だが、

 薄まらない。


「未査定……」


 小さく、

 呟く。


 価値はある。

 奪うほどではない。


 今、

 触れれば。


 形が、

 崩れる。


 それだけは、

 はっきりしていた。


 風が吹き抜ける。


 匂いは、

 まだそこに

 残っている。


 ヴァルは、

 立ち上がらなかった。


【地上】


 街道の地図に、

 印が増えていく。


 地上監督官は、

 報告書に

 目を通していた。


「接触なし」

「異常行動なし」

「住民反応、平常」


 想定の、

 範囲内だった。


「では、

 予定どおり

 進めます」


 調査班は、

 距離を保つ。


 保護官は、

 待機する。


 急ぐ理由は、

 ない。


 線は、

 引かれている。


 紙の上ではなく、

 行動の間隔として。


【重なり】


 天界は、

 見ている。


 魔界は、

 嗅いでいる。


 地上は、

 距離を測っている。


 誰も、

 触れていない。


 三つの視線は、

 重ならないまま、

 同じ場所を外して

 通り過ぎていく。


 そこを歩く存在は、

 まだ、

 何も知らない。

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