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処刑された7歳の俺、天使と悪魔の混血だったので全属性が目覚めました 〜禁忌の子は魔の森で世界に選ばれる〜  作者: ぴすまる
第三章:森の外・彷徨編

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第58話

 朝は、落ち着かなかった。

 理由は、分からない。


 音が多いわけでも、寒いわけでもない。

 目を開けると、外の気配が近い。

 いつもより、距離が短い。


 起き上がる。

 体は、動く。

 昨日ほどの重さは、ない。


 外に出る。


 通りに、人が多い。

 立ち止まれる場所が、少ない。


 壁際を探す。

 昨日まで立っていた影。

 誰かが使っている。


 荷が置かれ、声が重なる。


 一歩、ずれる。

 別の影。


 そこにも、人がいる。


「そこ、邪魔」


 短い声。


 振り返る。

 知らない大人。


 目は、合わない。


 何も言わず、動く。


 通りの端。

 石の多い場所。


 立つ。


 しばらくして、また声。


「さっきの子だろ」


 後ろ。

 二人。


「箱、運んでた」

「金、もらってたな」


 言葉は、はっきりしない。


 振り返らない。

 動かない。


「聞いてんのか」


 近づく気配。

 足音が、止まる。


 首を、横に振る。


「……変な子だな」


 それだけ。


 離れる音。


 昼。


 匂いが、回る。

 今日は、金がない。


 声は、かからない。


 昨日までの箱。

 別の子が持っている。


 よく喋る。

 返事が、早い。


 呼ばれて、動く。


 見ない。

 見ないまま、立つ。


 午後。


 通りの奥。

 ざわつき。


 言葉が、切れて届く。


「……森から」

「……子ども」

「……危ないって」


 名前は、ない。


 耳は、塞がない。

 聞こえたまま、立つ。


 夕方。


 影が、長い。


 視線。


 セイン。

 今日は、近い。


 目が、合う。

 逸らされない。

 止められもしない。


 見られて、終わる。


 夜。


 寝床。

 横になる。


 昼の声が、残る。


 意味は、つながらない。

 でも、消えない。


 目を閉じる。

 外の音が、少し遠い。

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