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禁忌の子レイ  作者: ぴすまる
第四章:三界衝突編

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第99話

 魔界の前線は、整っていた。


 陣形は崩れていない。

 退路も、途切れていない。

 命令は、すでに出ていた。


「深入りするな」


 ゼル=カイナの声は短かった。

 それ以上の補足はない。


 目的は迎撃。

 押し返すこと。

 そこから先へ進む理由は、用意されていなかった。


 だが、一隊は止まらなかった。

 前に出た者が、合図を送る。

 周囲が、それに続く。

 歩幅は揃っていない。

 だが、誰も制止しなかった。


 天界側の動きが鈍っている。

 結界の光が、薄い。

 遮断の境目に、揺らぎが見える。


 誰かが、前を指した。


「今なら」


 言葉は、それだけだった。

 続きを言う必要はなかった。


 力が集められる。

 全開ではない。

 引き返せる余地を残したままの出力。

 一撃で終わる。


 そう思った者と、

 思わなかった者がいた。


 放たれた力は、境界に触れた。

 押し返すつもりだった。

 だが、境界の内側に残っていた歪みが、先に広がった。


 裂け目が走る。

 音は、魔界側には届かない。

 地上で何が起きたのかは、誰も見ていない。

 視線は、前だけを向いていた。


 戻ってきたのは、数値だった。

 遮断線の後退。

 干渉率の変動。

 想定内と記された変化。


 撤退命令は、すぐには出なかった。

 進んだ分だけ、押し返している。

 その事実が、足を止めさせなかった。


 ゼル=カイナのもとへ、報告が届く。

 簡潔で、余白のない文面だった。

 彼は、地図から目を離さない。

 指先が、一点で止まる。


「……戻れ」


 その声が届いたとき、

 前線は、もう一歩進んでいた。


 引き返さなかった判断。

 引き返す必要がないと考えた、そのままの動き。


 陣は崩れていない。

 だが、同じ方向を見てはいなかった。

 そのずれが、

 次の衝突を呼び込んでいた。

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