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禁忌の子レイ  作者: ぴすまる
第四章:三界衝突編

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第98話

 天界において、揺れは現象として存在しない。


 揺れと認識された時点で、

 それはすでに解析対象へ移行している。


 白い回廊の奥。

 記録層へ続く空間に、音はなかった。

 足音も、反響もない。

 ただ光の層が、

 一定の間隔で重なり続けている。


 オルディナ=サフは、水鏡の前に立っていた。

 鏡面には、三つの領域が重ねて映し出されている。


 地上、天界、魔界。

 それぞれは明確に分かたれているはずだったが、

 境界線の一部が、わずかに歪んでいた。


 破断ではない。

 接続とも言えない。

 数式上は、「許容範囲内の接触」に分類される状態。


 数値が走る。

 変動幅、収束速度、反応遅延。

 そのうち一つが、表示から消えた。

 理由は示されない。


 裁定は不要。

 必要なのは、制限の調整のみ。


「第二干渉制限、段階二」


 声は、空間に吸収される。

 命令は即座に分解され、複数の経路へ分配された。


 干渉率が下がる。

 天界側の関与が薄まり、

 三界の距離が再計算される。


 水鏡の一角で、地上側の数値が先に動いた。

 天界の処理完了を待たず、反応が発生する。


 魔界側の応答が、それに重なる。

 速すぎる。


 補正命令が発行される。

 停止コードが続けて送られる。

 だが、最初の裁定はすでに実行されていた。


 触れてしまった領域は、戻らない。

 水鏡の端に、欠けが残った。


 数値化できない歪み。

 記録にも分類にも収まらない、不整合。


 オルディナ=サフは、その欠けを注視しなかった。

 視線は、全体へ戻される。


 記録が閉じられる。

 修正は完了と判定される。


 水鏡には、静止した三界が映っていた。

 欠けだけが、そのまま残されている。

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