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第5話 ベルヴェデーレと二つの有機生命体。



 プッシュされたスキップボタンは、アドワールド「アイン・テルシー」の構造を1pxずつ、音速で分解し、最後には崩壊する。




 代わりに現れた舐男の慣れ親しんだ部屋は、舐男を安心させるのに十分な説得力を持つ。




 高らかに勝利を宣言する者、敗北を悟るもの。両者の感情が完全に同期することはない。




 俺様「俺様の…勝ちだ!」




 放置老婆「…私の負けね…」




 放置老婆「…殺しなさい…」




 俺様「あ?」




 放置老婆「敗残兵に帰るところなんてない…負けたわたしはもう…必要とされていないの…組織に…」




 特異点。見えない境界線をもうすでに越えている。




 さらにもう一歩事象地平を跨いだような、踏みこんだ話が始まる。




 俺様「何の話をしているんだ…?!」




 放置老婆「私を破ったあなたはいずれ組織に狙われる…そして…わたしも…組織に狙われ…見つかったら殺される…」




 放置老婆「特に…アドシエルのうちの誰かが一人でも来たら…私達1000人かかっても無理よ…」




 アドシエル。舐男の脳にはインプットされていない情報。




 放置老婆が青ざめる。




 放置老婆「虚数解…未定義領域…」




 放置老婆「本当に存在するのかもわからない伝説を…私は恐れているの…」




 放置老婆「あいつらに殺されるくらいなら…あなたに殺される方がマシ…」




 放置老婆「さあ!私を殺しなさい!」




 俺様「…」




 俺様「…」




 舐男が彼女の肩を触る




 放置老婆「ビクッ」




 俺様「震えてるじゃないか…」




 放置老婆「な、なによ!?当たり前でしょ…!死ぬのが怖くない人間なんて…いないわよ…」




 俺様「…」




 およそ、先ほどまで激闘を重ねてきた男とは思えない優しいような、悲しんでるような表情をしている。本当に同一人物なのだろうか?




 放置老婆「…?!」




 俺様「死ぬのが怖いなら最初からそう言えば良い…強がんな。」




 放置老婆「…」




 俺様「大丈夫だ…まだこの場所はバレていない…そうだろ…?それに…」




 俺様「俺様達はもう一人じゃない…」




 放置老婆「…」




 俺様「俺様は…お前の生命を奪うくらいなら…戦いの道を選ぶよ」




 俺様「それに…もう俺様達は友達だ…」




 俺様「放置なんて…できるわけ無いだろ…?」




 放置老婆「…」




 彼女は頷く。恒常性ホメオスタシスへの回帰、オキシトシンの充溢。バイタルが安定する。




 死への恐怖が薄れていく。




 俺様「ありがとう…俺様のところに来てくれて…」




 俺様「あの…俺様…お前が…」




 俺様「す…す…す…」




 俺様「ピカリンを一緒に見よう!」




 放置老婆「なによそれ!?」




 放置老婆「す、から始まってないじゃない!ピカリンは!」




 俺様「ピカリンは俺様の唯一の楽しみなんだ!すごいぞ!登録者数1000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000人の超人気ユーチューバーなんだ!」




 俺様「来いよ。俺様と一緒に見よう!明日のことは明日考えようぜ!」




 放置老婆「…」




 放置老婆「うん!」




 放置老婆「うん…?」




 放置老婆は異変を感じる。




 鼻腔を満たす嗅ぎ慣れない匂い…






 まさか…






 放置老婆「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」






 俺様「あ、」




 俺様「すまん。」




 俺様「俺のうんち」




 放置老婆「触んな!!!!!!!」




 放置老婆が舐男の頬を思いっきりビンタする。その衝撃で床のマットレスにうんち。




 舐男「あああああああああああああああああああああああああああ俺のマットレスがあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




 二人の悲鳴が交互に響き渡った。近隣の人々からクレームが入ったのは言うまでもない。













 …広告塔













 ベルヴェデーレ…望楼にて二人の裸体の少女が月の光に照らされている。




 この世界の月の役割を担う頭上の多面体は夜を仄暗く虹色に照らし、彼女達の何も纏わぬ肢体は様々な色彩を帯びる




 二人はお互いに立ったまま体を重ね、体をまさぐりあい、舌で会話をし、お互いが本当に触れてほしいところをわざと避けて撫でる。




 長い年月をかけてお互いの体の構造を熟知している二人は、二人しか形状を知らない恥部が最大限に悦ぶ方法を知っている。




 右側に立つ金髪の少女は左側に立つの銀髪の少女の豊満な右側の乳房を下から食む。その後一番頂点にあるスポットを、わざと、執拗に避け、乳房を一周し、もどかしそうに体を燻らす銀髪の少女を無表情で観察する。




 金髪の少女は銀髪の少女の乳房と脇の下の舌触りを確かめた後、雛の翼の様な手触りで銀髪の少女の太ももを触る。銀髪の少女は早く一番感じるところを触ってほしいと思う、が、まださわらない。




 内ももを優しく指先で撫でる。銀髪の少女は生気を触ってもらうこと以外何も考えれらなくなる。




 内ももを優しく指先で撫でたあと、金髪の少女の指先はわざと彼女の秘部を経由せず、周辺を弧を描くように通過し、へそをなで、乳房を撫でる。




 周辺を優しく撫でた後に、金髪の少女は銀髪の少女の乳首の頂点を指先で通過するように触れる。




 唐突な電流が乳首の先から銀髪の少女の恥部の先端に走り、乳房を揺らす。が、まだ快感の頂点ではない。表情は崩さない。我慢する。




 快感を我慢している自分に興奮し、銀髪の少女は無表情を貫こうとする。




 それを見透かした金髪の少女が性的興奮を治められなくなり、衝動が沸点に達し、因果がねじれる。




 存在しないはずの金髪の少女の下着の奥から、先ほどまでなかったはずの、少女には似つかわしくない太くて長い物が存在することがうかがえる。




 我慢の限界に達した金髪の少女は、銀髪の少女の右足を持ち上げ、生殖行動の準備をする。




 ??「11(イレブン)」




 唐突に大きな黒い影が二人の少女に話しかける。




 いつからそこにいたのかわからない。もしかしたら紀元前よりもはるか昔からいたのかもしれない




 ??「12(トゥエルブ)はやられた」




 ??「次はお前だ。」




 ??「激辛舐男と12(トゥエルブ)の死体を持ってこい。」




 二人は構わず体を重ねる。二人の同期する声がベルヴェデーレに響き渡る。




 ??「もう一度言う」




 ??「次はお前だ。」




 影は去る。ここに誰かがいた痕跡はなくなる




 11「…」




 呼応する11「気持ちいいね…11」




 適応する11「そうだね…11」




 呼応する11「ずっといつまでも一緒にいようね…11」




 適応する11「そうだね…11」

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