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元魔王な令嬢は、てるてるぼうずを作る  作者: Hatsuenya


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元魔王な令嬢は、亭主の王太子と小舅に挟まれる

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 ちびっこ達は、今日も元気です。


 脱字、誤字訂正、いつもありがとうございます。精進していきます。



 さて、私の現在の場所は、お兄様の膝の上である。只今、絶賛、抱っこされ中です。


「ハリザード。ベルをお前の膝から降ろせ。ベルの席は、私の隣だ。ベルは、私の嫁だからな」


「それは、失礼しました。では、殿下の隣に」


 お兄様は、私を抱っこしたまま、ライ殿下の隣の席に移った。

 ううっ、これは、もう。誰も突っ込めなくなってしまったわね。お兄様は、私を離す気がないわ。


「ハリザード様。いい加減、ベルリーナを貴方の膝から降ろしてちょうだい。貴方のせいで、私まで、この様よ」


 そう言うアメリアは、セルマンの膝に抱っこされて座らされていた。


「セルマン、降ろしなさい。私は、1人で座りたいのよ」


「え?嫌です」


「あぁ、くそ羨ましいぞ。私がベルをお膝抱っこ出来ないのを知ってて、わざとやってるんだろう、ハリザード」


「いえ、別に。家では、いつも、こうしてますし。まあ、殿下はベルリーナと同じサイズなので無理でしょうが。私は、小さいベルリーナに、こうして、ご飯を食べさせ、手を握って字を教え、髪を梳かして編んでやり」


 お兄様は、ニヤリと笑って、ライ殿下にフフンとドヤ顔した。ワザとだわ、ね。


「羨まし過ぎる。私だって、小さなベルにご飯を食べさせ、手を握って字を教え、髪を梳かして編んで……最後のは、今度やろう。うん」


 ライ殿下は、ニッコリ笑って私を見た。あれは、何か企んでいる時の顔だ。


「うん。ハルテシオンの髪で練習しよう。ベルよりも、髪が少し短いけれども。ベルには、新しいリボンをプレゼントしよう。金に緑の薔薇の刺繍なんて、どうだろう?ベル」


「金に緑の薔薇の刺繍のリボン。素敵ですね。ライ殿下。楽しみにしてます」


「しょうがないな。ベルは、その内、私が嫁に貰うんだからな。今は譲ってやろう、ハリザード。ベル、手をこちらに」


 私が、ライ殿下に片手を差し出すと、ライ殿下が私の手の甲にキスをした。

 え!?今?ここで?ち、ちょっと恥ずかしいんですけど。きゃーっ。


 私のお腹に回された、お兄様の手に力が入った。ふと、お兄様の顔を見上げると、実に嫌そうにライ殿下を睨んでいた。

 まったく、殿下ったら、お兄様に喧嘩を売らないで欲しいわ。


「ちょっと、ラインハルト殿下。何て事するのよ。こら、ちょっと、止めなさいセルマン。真似してんじゃないわよ!」


「ラインハルト殿下が、なさっているんですから、いいんじゃないでしょうか」


「いいわけ、ないでしょ。きゃーっ。ラインハルト殿下のせいですからね」


 アメリアがセルマンに手の甲にキスされ、セルマンの膝の上で暴れていた。


「こほん。ライ殿下、交流会ですよ。交流会」


 デュークが言った。デュークは私や殿下より1つ上の6歳で、お父上は、宰相閣下だ。まあ一番年上の筈の、12歳の私のお兄様とセルマンの2人が、この状態なので、彼が音頭を取るしかないわね。


「はあ、良いよな、2人共。アメリア嬢とベルリーナ嬢って、どちらも聖女じゃないか。僕の分の聖女は残ってないんだよ。ひいお祖父様の大司教の跡を継ぐっていうのに。……はい、はい判りました~。判ってますってば」


 ???何かしら。


「急に、何が、判ったんだ?クレス」


「はぁ。あのね、ジェラルド。女神様が仰るには『僕には僕に似合いの嫁が来る。まだその時ではないだけ』だってさ。僕は、今、殿下やセルマンが羨ましいのに」


「私は、ベルが聖女だから、愛しいのではないぞ。第一、私自身が聖者だしな」


「私も、アメリアお嬢様が聖女だから、お慕いしている訳では、ありません。まあ、アメリアお嬢様は、私にとっては一番の聖なるお方ですが」


 話が、元に戻ってしまったわ。まあ、これも交流なのかしら。


「私は、父上と同じく外交官を目指しているから、結婚するなら、語学に堪能な物怖じしない令嬢が良いな」


 ジェラルド様のように、目指すお仕事を一緒に出来る伴侶も、いいわよね。


「私は、まだよく判らないな。でも、ベンデン兄上とミザリア王女殿下の様な関係には、憧れます」


 え~と、デュークの言いたいのは、奥さんの尻に引かれる人生って、事かしら。


「俺は、姉上達に負けない令嬢ですね。

 ですが、それよりも、俺は、始祖の英雄ゴンザレスの様に、皆を守る強い人になりたい」


 英雄ゴンザレス。あの町の広場の噴水にある銅像の英雄ね。敵国の兵が攻めて来た折り、獅子奮迅の戦いぶりで王族を守り切ったが、最後にはあえなく命を落とした方。


「……ゴンザレス。女神様が、


『君の頑張り次第では、君は始祖のゴンザレスを越える者となる』


 と、仰ってるよ」


「クレス、それは、どういう事かな」


「さあ、僕には判んない。もう、女神様は何も仰らないから」


 多分、それは、こういう事だわ。


「英雄ゴンザレス様は、王族を守って命を落とされた。それは、スゴい事だけれど。奥さんと、奥さんのお腹の中にいた子供を残して、彼は死んでしまったわ。その方達は、夫や父親が居なくて、悲しかったんじゃないかしら。

 ゴンザレス。


『人を助けることも大事だけれど、貴方自身の命も大事にして、キチンと生き残りなさい』


という事じゃないかしら」


「ああ、そうだよね。自分が死んでしまったんじゃ、残された人達を更に守れないよね。そうか、僕は、英雄ゴンザレス様の更に上を目指そう」


 ライ殿下は、ゴンザレスの言葉を聞くと、私の手をきゅっと強く握りしめた。

 ああ、そうか。そうよね。殿下も、そうだったんだわ。


「私は、ベルが誘拐された時に、同じ様に思ったんだ。


『私が闇雲にベルを救いに行っても、私が死んでしまったら、ベルを助けられないじゃないか』


 って。だから、必死に考えた。ベルを救って、私がベルと一緒に生きて戻ってくる方法を」


「はい、私も、あの時は、ライ殿下と同じ様に考えました。


『私が無茶をして死んでしまったら、ライ殿下や皆が悲しんでしまう。だから、チャンスを待とう。アメリアと生きて帰れる為に』


 そう思って待っていました」


 私と殿下は、見つめあった。これが、2人の約束。何があっても死なずに生き延び、2人で一緒に生きていく事。


「ああ、だから、僕は君達が羨ましいんだ。ねえ、女神様。僕にも、こんな伴侶が欲しいな~」





「お嫁さん談義も良いけど、私達のお婿さん談義も聞いて欲しいですわ。私は、やっぱり、王子様に憧れますわ」


「アーメンハイド様は、相変わらずですわね。私は既に、年の離れた婚約者が居ますので、その方と共に人生を歩んで行きたいですわ」


「まあ、コレットには、婚約者が居たのね。私は、やっぱり大司教様の様な頼りになる素敵な大人のロマンスグレーな方が、良いですわ」


「グリンダ嬢。残念ながら、僕のひいお祖父様には、あの年にして未だにラブラブの奥さんが、居るからね」


「ちっ」





新連載『辺境騎士団長は、ちっちゃな妖精がお好き』も、よかったら読んでみてください。よろしくお願いします。

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