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元魔王な令嬢は、てるてるぼうずを作る  作者: Hatsuenya


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元魔王な令嬢の優雅なひととき

 読みに来て下さって、ありがとうございます。





 光魔法を発現してしまったライ殿下は、魔術医(私のお母様)による診断の上、お城に速攻で戻される事になった。警備の都合もあり、ひいお祖母様、ひいお祖父様も、一緒に帰ってしまわれた。

 ライ殿下の魔法の発現に関する報告の為に、父上とお母様も登城する事になった。

 今日は、2人とも、お休みだったのにね。ご苦労様です。


 ライ殿下は、ひどくガッカリした様子で、帰る前に、私に抱きついてきた。


「再度の収穫、手伝えなくて悪いな」


「大丈夫ですよ。慣れてますから。こう言うのを、内助の功って言うんですよ。私、張りきっちゃいますね。

 それに、ライ殿下のお陰で、庭中の野菜や草木、果実がキラッキラに輝いて、ガイがウハウハしてます。薔薇の花も少し魔法薬剤師局に持って行っても良いか、許可を貰って欲しいと言われました。どうでしょう?」


「先程、ベルの母上からも、その事について聞かれたよ。いいぞ。許可しよう」


「良かったです。ローズティーや薔薇ジャムにするにも、ここの庭で咲いたり実ったりした物は効用が凄すぎて、検査してからじゃないと口に出来ないんです」


「え?そっち?私はまた、薬の原料にするのかと、思ったんだけど」


「だって、ライ殿下にポプリとか作って、永眠効果とかあったら、まずいじゃないですか。それに、せっかく咲いた薔薇の花を全部持っていかれちゃうと、悲しいです」


「永眠効果は、ベルに会えなくなってしまうから、困るな。さあ、そろそろ行かなければ」


 ライ殿下は、残念そうに私から身体を離し、私の両肩に手を置いた。


「『勇者の心』は、私の心でもあるからな。薔薇よ、私の代わりに、ベルを守ってくれ。頼むぞ」


 薔薇は、キラキラ輝き、葉をワサワサと揺らして答えた。


 殿下と私は、さよならのキスをお互いの頬にして、別れた。

 また明日、またすぐに会えるから。


 キラッキラに輝く庭の収穫物を抱え、ウハウハの笑顔でガイは馬車で王城に向かった。目指すは、魔法薬剤師局。向こうで、薬剤師達が小躍りするのが、目に浮かぶわね。お祖父様は、さぞ喜ばれるでしょう。

 


 本日2回目の収穫と種蒔きを終えた私は、ライ殿下がお土産に持ってきてくれたタルトで午前のお茶にしていた。すぐに昼食なので、本の少ししか食べれないのが、悲しい。5歳児のお腹って、どうしてこんなに小さいのかしら。

 壊滅的に、お茶が入れれないミルカと違って、ジェンナが、お茶を入れてくれた。美味しい。あの男爵は、こんなに美味しいお茶を入れて貰っていたのか。


「平和だな」


 テーブルの上で座り込んで寛ぐイカロスが、呟いた。


「ベルリーナ。いつか、勇者について話をしてくれるか?」


「はい。いいですよ。たっぷり聞いてくださいね」


 昔々、孤独な魔王だった私は、勇者と出会い、幸せになりました。

 魔王は生まれ変わり、可愛くて格好いい王子様に愛されて恋をし、大好きな皆に囲まれて幸せに暮らしましたとさ。

 

 風に揺られて薔薇の花が香り、クスクスと笑い声を立てているかの様。

 勇者、勇者。私は、新しい幸せを見つけたわよ。

 勇者の心の薔薇は、王子の心となって、私の心を包んでくれた。




「ベルリーナは、まったりしているが、城にいる私達は無茶苦茶忙しいからな」


「叔父上。ベルリーナ、5歳なので、よく判らないです」


「事件の後日談が、まだ終わってないからな。登城して来いよ!」




 後日談、いりますよねー。うん、必要。がんばれ、ベルリーナ。


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