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第一王子は、鬼に追いかけられる

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 第一王子ラインハルト視点です。



      第一王子ラインハルト side


 


 ひいお祖母様がベルを連れて行ってしまったので、私とネトラス、フレン、ベルの兄ハリザードが、ひいお祖父様と共に残されてしまった。


 え?ベルを勝手に連れて行かないで欲しい。


 ネトラス以外の全員が、ベルが連れて行かれる方を見ていた。何だか、置いていかれた犬の様な気分だ。隣のフレンとハリザードを見ると、私と同じ様に置いていかれた犬の顔をしていた。


「はあ、またエルディアナに置いていかれてしまった」


 後ろから、ひいお祖父様の声が聞こえた。振り向くと、ひいお祖父様も、同じ様な顔をしている。

 血か?血筋の問題なのか?全員、血が繋がっているからな。


「仕方ない。私が全員の面倒を見てやるか!3人共、私の曾孫だしな」


 先程まで、しゃがみ込んでいたひいお祖父様は、お尻をパンパンと払って立ち上がった。


「さあ、何をして遊ぼうか。ハリザードは、何歳になった?フレンはハリザードと、同じ位だな?ラインハルトは何歳だ?」


「フレンも私も12歳ですよ、ひいお祖父様」


「私は、5歳です」


「そこのチビは?ラインハルトと、同じ歳か?」


「彼は、私の侍従見習いのネトラスで、私と同じ5歳です」


「ふむ。12歳と5歳か。まあ、いいか。鬼ごっこでも、するか」


「私やフレンは、ともかく、ラインハルト殿下とネトラスには、流石にハンデが必要じゃありませんか?ひいお祖父様」


「私は、ともかく、ネトラスは大丈夫だ。犬より足が速いからな」


「ほう、それはスゴいな。ネトラス」


「はいっ!ありがとうございます。流石にアメリア公爵令嬢の犬には、敵いませんが、大抵の犬には負けません。何せ、私は、ライ殿下の犬ですから」


 前から言っているが、お前は私の犬ではなく、侍従見習いだからな、ネトラス。


「アメリア公爵令嬢の犬……あの頭が3つあるやつか。あれに勝てたら、魔獣並みだろう。いや、ケルベロスは魔獣か」


 ハリザードが、考えながら言った。


「鬼ごっこのハンデに、我が、ラインハルトを手伝ってやろう」


 パタパタとイカロスが飛んできて、私の頭の上に止まった。


「おおっ。龍か。だが、小さいな。大丈夫か?」


「ふむ。少し大きくなるか」


 そう言うと、イカロスは私が乗れる程のサイズになった。首の後ろに乗ると丁度いい。


「練習して、色んなサイズになれる様になったからな」


 フフンとイカロスは、少しふんぞり返った。


「ありがとう、イカロス。頼むぞ」


「ところで、鬼ごっこって何だ?」


 フレンが、手を上げて、言った。


「私が鬼になるから、他の皆は私に捕まらないように逃げるんだ。フレン」


「ああ、時折、訓練で失敗作達に追いかけられる事があったが、あれだな。ひいお祖父様に捕まえられなければ、いいのだな」


 あの、失敗作達に追いかけられるのか。それは、絶対に、したくない奴だな。



 ひいお祖父様が20を数える内に逃げることになった。魔法使用可、だ。


 王城の庭を、私達は、各々違う方向に逃げた。

 ネトラスが走った。流石に速いな。

 ハリザードは、自分の前方に、氷の道を出し、滑って行った。

 フレンは、跳躍しながら走って行った。

 私は、飛ぶイカロスの上に乗っているだけだ。ちょっと情けない。早々に自分の魔法属性を理解して、特技を身に付けよう。あーあ。


「何度も言うが、焦るでないぞ。ラインハルト」


「うん、わかっている。私の周りがスゴすぎるだけだ」


 上空から見ていると、ネトラスがひいお祖父様に追いかけられていた。ネトラスも速く、ちょこまかと逃げ回っていたが、ひいお祖父様は、更に速く、ネトラスは、すぐに捕まった。


 ハリザードが、次にひいお祖父様に見つかって追いかけられた。ひいお祖父様の足元に氷を張って、ひいお祖父様の足を何度も滑らさせ、自分でも氷を滑るスピードを上げていたが、ついに彼も捕まってしまった。悔しそうだ。


 フレンは、ひいお祖父様に捕まりそうになると、ひいお祖父様の頭の上を踏み台にして、木の上に逃げた。ひいお祖父様は、助走をつけると木の幹を走り上がり、ぐいぐいと次々と枝を持って木を上った。

 フレンが木から飛び降り、壁を少し走り上がるとベランダに登り、次に2階のベランダ、3階のベランダと、次々と手と足を使いジャンプして登っていった。


「そう言えば、フレンは、魔物の血を飲まされていたんだったな。石猿か?」


 イカロスが、呟いた。

 だが、ひいお祖父様も、負けてはいない。同じ様にベランダをグイグイと登っていって、飛び降りようとするフレンを捕まえた。


「ラインハルト、お前の曾祖父は、魔物か?」


 すでに、人間を超えているよね。ガハガハ笑って、ひいお祖父様はフレンをハリザード達が待っている所に放り投げた。フレンは、一回転して着地し、澄ました顔で立ち上がった。

 いや、どっちもどっちだろう。


 ひいお祖父様は、空にいる私とイカロスを見ると、指笛を吹いた。


 ワイバーンが、来た。


 え?ちょっとちょっと。それって有り?

 いや、こっちも龍に乗っているが。


 イカロスが、ワイバーンと同じサイズになった。

 ワイバーンに乗ったひいお祖父様が、ニヤリと笑って、イカロスの前に飛び出した。


「龍よ、私と一勝負しよう」


 ひいお祖父様は、イカロスに向けて、片手を出した。


「ラインハルト、お前の曾祖父は、狂人か?曾孫のお前まで狙っているぞ。ルイにバリアーを張らしておけ」


 ルイは、すぐさま私の周囲にバリアーを張って、私の周りをブンブン飛びだした。

 ひいお祖父様は炎を手から次々と飛ばし、イカロスは、氷の礫をひいお祖父様に向かって吐き出した。


「くそ、主の曾祖父だからと思って手加減しているが、ムリになったら逃げるぞ、ラインハルト。我が、力一杯戦うと、王城が潰れてしまう」


 ひいお祖父様が、細長い龍の形をした炎を手の平から出し、イカロスに巻き付けようとすると、イカロスは吹雪をひいお祖父様に向かって吐き出した。


「お座り!」


 ベルの声が、辺りに響き渡った。


 空気が震えて重くなり、ワイバーンとイカロスは地面に向かって、上から押される様に下ろされ、地面に着地した。

 私は、イカロスから下ろされると、地面に座り込んだ。

 ワイバーンは、地面でへしゃげ、その隣にひいお祖父様が、地面に突っ伏す様に土下座していた。


「何をしてるのかしら、タンディン?」


「す、すまない。調子に乗りすぎました。すいません。エルディアナ」


 ベルが私に抱きつき、怪我が無いかと、ペタペタと私を触りまくったり、私の首や顔や手足を点検していた。


「5歳の曾孫に襲いかかるなんて、ひいお祖父様は、失格よっ!」


 ベルにそう言われたひいお祖父様は、更に、ひいお祖母様に背中を踏まれていた。


「ひいお祖父様は、反省するといいですわね」


 ベルが、更に、冷たく言い放った。


 まったく、どうなることかと思ったよ。





「ひいお祖父様は、しばらく反省です!」


「そうね、68歳にもなって、曾孫を危ない目にあわせて」


「そうですわね。ワイバーンは、私が頂いておきます」


「おい、ベルリーナ。それは、無いだろう?」




 ベルリーナは、ちょっとワイバーンを持っているひいお祖父様が、羨ましいです。

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