元魔王な令嬢の部屋には、何かが棲んでいる
家族から指摘があったので、行間開けてみました。1話からも、編集して同じ様に開けてみます。読みやすくなるかな~
叔父上が、私の部屋にやって来た。人は、それを抜き打ち検査と呼ぶ。
私の部屋は、別に汚部屋という訳でも何でもない。確かに魔王だった前世の部屋は、怪しいが。今世では、公爵令嬢。キチンとメイド達がお掃除をしてくれるのだ。えっへん!
花柄の壁紙、白とピンクを基調とした可愛らしい家具。刺繍を使ったクッションカバーや家具に掛けてあるレース。パステルカラーのフリル付きカーテン。所々に光り物も飾ってある乙女の殿堂。
「最近、メイド達から苦情が出ておりまして。この部屋には新人を回せなくなっております。今では、肝の座った古参メイドが、お嬢様のお世話をしております」
あー、そー言えば、最近は若いメイドが来ないな~と思ってた。私が、目を泳がせていると、メイド長が眼鏡の奥からギロリと私を根目付けた。私のせいなのか?こんなに可愛い5歳児だぞ?
「お嬢様のお部屋に入ると、ギラギラと異様に光った顔が描かれた石、まるでこちらを睨み付け監視しているかの様に吊るされた白いブラブラとした物体…てるてるぼうずとお嬢様は呼んでいらっしゃいますが。怖くて、お部屋を掃除できないと、皆、一様に申しております」
可愛いだろ?てるてるぼうず。殿下は、喜んでたぞ?ああ、リボンでも付けるか。
石は、若気の至りと言うやつかな。うん。普通の魔術師は魔物の身体から出る魔石に魔力を貯める事が出きるが、私の場合、その辺の石ころにも魔力を貯める事が出きるのだ。むしろ、石ころにでも魔力を排出しないと、魔力暴走やポルターガイストが起こる。前世魔王だった頃は、魔力が溢れると、ポンポンと魔族や魔人なんかを産んでたので、それよりはマシかも。
「あー、暫く俺が忙しくて、こっちに来れなかったからな。妖しいやつは全部、魔術師団で引き取るわ。こっちとしても、色んな物に魔力がチャージ出来て、願ったり叶ったりだしな」
「え!?叔父上、そんなご無体な。だって、部屋に飾ると光ってて綺麗でしょ?」
「うん、ギラギラして、まるで伏魔殿の様だな、ベルリーナ。止めとけ。俺が全部ありがたく貰ってやるから、心配するな」
あー、本当にありがたいな~。これで当分、余分な魔力には困らんわ~。と豪快に笑いながら、叔父上は嬉しげに石やてるてるぼうずを回収していった。
ああ、私の可愛い石ころ1号、2号、三郎に四郎が。それは、ミラベル、モンターギュ、アソシエーヌ~…
「いや、何か途中から普通に凝った名前になってないか。石ころの名前にしては。描いてある顔も、ドンドン凝った絵になってるし」
「叔父上、それは、若気の至りと言うやつです」
「ああ、まだ生まれて5年だからな。4歳でも、若気の至りだな」
しくしくと、ハンカチを噛みしめて泣きながら、這う様に叔父上のズボンの裾を引っ張ってみた。まるで、借金取りに縋る人の様な心境である。
「心配するな、ベルリーナ。明日から、お前もうちの魔法省に出勤な。王に、お前の能力がバレた。それを見越しての今回の第一王子との性急な婚約話の成立だ」
ガーン。売られるんですね~私も。しくしく。
「何言ってるんだか。魔法省長官は、お前の父親のハロルド・イースタン公爵だぞ?お前の母親だって魔法省にいるし、じい様も魔法省の研究室に住んでるみたいなもんだし、家庭内事業みたいなもんだよ」
恐るべし、イースタン公爵一族。国家規模の家庭内事業か。道理で、私がこんなんでも違和感ない筈だよ。
叔父が駄弁って、中々王城に戻りません~。お陰で、王城での話が中々進みません。困りました。