元魔王な令嬢印の栄養剤が、出来ました
読みに来て下さってありがとうございます。
この話で、第2部、終わりです~。
とにかく、聖女になったアメリアと、赤いお花の印が欲しくてオマケで聖女になってしまった私は、沢山のお勉強をしないといけない事が判った。
「御二人とも5歳の割に、既に色々な基礎知識が身に付いておられるので助かります。元々、どちらも既に聖女としての修行も活動もなさってますしね」
大司教様は、そう仰るけれど。
アメリアはともかく、私は、とんと覚えが、ないわ。朝起きて、お庭の植物のお世話をして、お城に行って畑のお世話をして、お勉強をして、ライ殿下とお茶を飲んでから、一緒に遊んで、お家に帰ってお庭の植物の世話をして、晩御飯の後は手下達と遊んでるもの。
勿論、お風呂にも入るけれど。
「はぁ。判ってないだろうと思っていたけど、やはり判ってなかったんだ、ベル。ベルの場合は、その植物の世話が聖女のお仕事だぞ」
えー?ライ殿下、植物のお世話は、私の趣味よ?と言うか、最近ではペットのお世話の様になってきたけれど。
桃と林檎の木はともかく、橘に擬態している魔樹や、薔薇の木は、かまってちゃんだから。
魔樹なんて、砦では毎日、蔦を使ってキャッチボールをせがんでたし。
薔薇の木は、私が砦に行く前は毎日、庭師が持ってきてくれた庭の画集や、庭の絵や薔薇をモチーフにした装飾品が載っている本の挿し絵を見せて欲しがってたもの。
薔薇の木が作った今日のお茶会のパーゴラは、薔薇の木の日頃の勉強の成果よ。
うちの木達ときたら、散歩やボール投げをせがむアメリアのケルベロスと、大して変わらないわね。
「貴女の作る薬草や果物から出来た薬で、どれだけの人達が助かっていると思いますの?
私も、以前の様に逆剥けや切り傷だけでなく、こっこつ?「骨折です。お嬢様」の治療や止血は出来る様になったけれど、ベルリーナのお薬の様に1度に沢山の人達を救う事は、出来なくてよ」
うん。アメリアの進歩の方が、スゴいんじゃないかしら。
「アメリア様はともかくベルリーナ様の魔力は特殊ですから、アルテア神聖国へ『ベルリーナ様を聖女に』と、申請はしていたのですが、先例がありませんので、どれだけ沢山の人を救った実績があろうとも、今まで聖女としては認めて貰えませんでした。あの頭の固い石頭共めがっ!!」
大司教様は興奮の余り、顔を赤黒くしてゼエゼエと息を荒くし、咳き込んだ。
アメリアは慌てず騒がず、大司教様の側へ寄って、そっと大司教様の杖を持ってない片方の手を取って自分の両手で包み込む。
ポウっとアメリアの手が光り、大司教様の呼吸が落ち着き、顔色も元に戻っていった。
流石、アメリア。手馴れたものだわ。
「大司教、落ち着け。ベルリーナは女神様とのお茶会をし、額の赤い花……吉祥紋を戴いたのだ。アルテア神聖国も認めざるを得ない」
「ありがとう、アメリア。国王、確かにそうですな。もしも認めない場合は、女神様が、お怒りになりますからね。
とにかく、これで、ベルリーナもアメリアの様に聖女として、教会からも保護する事が出来る様になります。
もしも、以前の様に誘拐された場合は、教会の聖騎士達を即座に動かす事が出来ますよ」
すっかり穏やかな表情に戻った大司教様は、アメリアが離した自分の手を彼女の頭の上に乗せると、軽く、いい子いい子と撫で、続いて私の頭も優しく撫でてくれた。
エヘヘ。
うちのひいお祖父様とは、えらい違いよね。うちのひいお祖父様が私を撫でてくれる時は、頭が捥げてしまいそうだもの。
かくして私はアルテア神聖国に聖女として申請され、女神様の鶴の一声で認定された。
わざわざ、女神様がアルテア神聖国の教会に現れ、大聖女様達に私を聖女とする事を宣言してくれたらしい。
私が聖女として認められたお陰で、聖女の作った作物の研究の一貫として、ミネとお祖父様達は正式に魔法薬剤師局や研究塔の施設を全て使用出来るようになり、お母様の魔力酔いから来る悪阻の薬を急ピッチで完成させた。
お母様の悪阻は何とか治まり、正常な妊娠状態になった。
ミネは功績を認められて、学園は卒業してないものの魔法薬剤師の試験を受けて、薬の魔女から魔法薬剤師になった。
カウマン教授は、この研究に協力したとして国から援助金が支払われたからと、私に魔獣とのハイブリッドの牛と鶏をくれた。
女神様のアドバイスの通り、牛と鶏は私が育てた(勝手に私の魔力を食べて育った)美味しい草を食べて、栄養たっぷりの美味しいミルクと卵を産み、それを毎日食べてお母様はすこぶる元気になった。
勿論、私も。美味しいは、正義なのだから。うんうん。
「お母様、おはようございます~。朝の診察です~」
私は、お母様が私にしてくれた様に、今度は私が毎朝お母様とお腹の中の赤ちゃんを診察する。
毎日欠かさず、私はお母様のお腹の中の私の弟だか、妹だかに
「私が、あなたのお姉様で、あなたより偉いのよ。わかった?」
とキチンとヒエラルキーの順位を教え込む為にね。
その度に、お母様はコロコロと大きなお腹を抱えて笑うけれど、こう言う事は、初めが肝心なのよ。うん。
私は6歳になって綺麗なレディになり、ライ殿下には妹が生まれた。
「私も毎日、母上のお腹を撫でて、お腹の中の赤ん坊に『私がお前の兄で王太子で、お前よりも偉いんだぞ』と言い聞かせていたんだが、その度に蹴飛ばされていた。先が思いやられるよ」
溜め息を吐きながら、産まれてきた赤ん坊を前にライ殿下は、ニコニコしている。
可愛いものね、赤ちゃん。
「その、私達が大きくなったら、こんな可愛い赤ん坊が産まれるといいな。ベルと同じ銀色の髪にキラキラの紫の目をした可愛い女の子だ」
「ライ殿下、それは、無理です」
ライ殿下は、私の言葉に涙目になった。
あっ!違う、違うの、ライ殿下。
「王家の直系の子供は、皆、緑の目ですよね?」
頭を抱えたライ殿下は、残念そうに嘆いた。
「ベルと同じ、紫の目の子供が欲しいのに」
私とライ殿下は、相変わらず仲良しさんで一緒に勉強をしている。王家の教育以外は、アメリアもそれに混ざって一緒にお勉強をする。セルマンは、学園でお兄様と同じクラスになった。学園で唯一の現侯爵様だ。
もうすぐ、ライ殿下の6歳の誕生日が来る。私が、植木の陰にライ殿下を見つけた日。
「今年こそは、ベルをお嫁さんに貰うからね。王家の結婚の特別措置を発動して貰うから、絶対に結婚しようね」
私達は、ライ殿下の植えた王太子の心の薔薇が作ったパーゴラの中で、小さいながらも愛を誓い合った。
厄介事が、近付いているのも知らずに。
「ラインハルト、隣国のノスタリングから厄介事が舞い込んだ」
「父上、露骨に厄介事等と言うものじゃないですよ」
「ノスタリングの第2王子が、魔王を討伐するのに我が国を通りたいので許可して欲しいと言う事だ」
「魔王、居るのですか?」
「いない筈なんだが。その件については、お前のひいお祖母様に聞いてみないとな」
第2部 完結です。お読み下さって、ありがとうございました
引き続き、第3部のノスタリングと魔王編をお楽しみ下さい。( ≧∀≦)ノ




