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元魔王な令嬢は、婿VS舅戦争に巻き込まれる

 読みに来てくださって、ありがとうございます


 リアルでは、祭りの花火の試し射ちが始まったのでワクワクしてます。



 


 こんにちは、元魔王な令嬢のベルリーナです。

 私は今、ソファーに座るライ殿下の隣で、私の父上の膝の上に座っています。


「イースタン公爵、魔道具製作部長の件も片付いたし、もう、仕事に戻れば良いのではないか?公爵も忙しかろう?」


 

 部長は、すでに助手のジョッシュに引きずられて魔道具製作部に戻されていた。

 帰る際、助手は、やたら私に礼を言って、彼が作った髪紐の作り方を後日伝授する事を約束して行った。

 私が心を込めて部長の髪を編み直したせいで、私の魔力を吸収した部長の髪が更に美しくなったのに感動したらしい。


 用事が終わったから仕事に戻るのかと思っていた父上は、手を繋いで部屋に戻る殿下と私の後をズカズカと付いてきたのだ。

 私達がソファーに隣り合って座ると、父上は私を抱えて膝に乗せ、殿下の隣に座り込んだ。


 で、今、ここの状態。


「父上、殿下に対して不敬では?」


「私の娘に抱きつき、あまつさえ手を握って一時も放さず、すり寄っている男に対して、不敬等という言葉は適用されない」


 父上は、殿下の方を見ようともせず、空中を睨み付け不機嫌そうに言った。


「父上、5歳児なんて、一緒にベタベタすりすりしたり、手を繋いで歩き回ったりするもんですよ?」


「普通の5歳児は、ひとの娘を

『嫁、嫁、嫁、嫁』

言って、無理矢理に婚約を結ばせたりは、しない」


「ベル、私の膝の上においで」


 いや、殿下が潰れますから


「まあ、殿下にはまだまだ無理ですね。私の様に大きな身体に、大きな包容力、そして、大いなる愛が無ければ、ベルリーナを膝に乗せるなど笑止千万」


「大きな身体は無いが、包容力とやらと、愛だけは公爵に負けないぞ。だから、ベル、安心して膝においで」


 殿下が、おいで、と両腕を私に差し出す。

 いや、だから、包容力とか愛があっても、殿下は潰れますから。


「ライ殿下。10年くらい経って、ライ殿下が私より大きくなったらお膝に座れるかもしれません。男の人は、女の人より大きくなるので」


「そうか、10年後か……長いな。エディ、どうしたら、早く大きくなれる?」


 突然、話を振られた近衛兵のエディが慌てる。

 父上が彼を睨み付けている気がする。お膝抱っこで、父上の顔が微妙に見えないのでよくわからないが。よくわからないが、父上から冷気が漏れているのは、確実。


「えー、よく寝て、よく食べてしっかり運動すれば良いのでは?

 そうですね、特に、食べ物は好き嫌いしちゃいけません」


「ピーマンもか?グリーンピースは、良いのではないか?」


「フッ。ピーマンやグリーンピースが食べれない様な男には、娘を嫁にやれんな」


 フフンと、父上が殿下を鼻で笑う。

 言いはしませんが、父上がセロリが嫌いなことを私は知ってますからね。自分の事を棚に上げて、大人気ない発言です。


「よし、公爵、言質取ったぞ!ピーマンもグリーンピースも、今日からドンドン食べるからな!ピーマンもグリ-ンピースも食べれる男には、ベルを嫁にやると言う事だな!

 一刻も早くベルより大きくなって、7年後程で、ベルを膝に乗せてやる。待っていろ、ベル」


 立ち上がって、殿下は、父上に指を突きつけ、侍従見習いのネトラスに殿下の昼食にピーマンとグリーンピースを入れる様に厨房に伝える様に言った。

 

 殿下は私を膝に乗せれないのが、腹立たしかったのか。そうか~。やっぱり殿下は可愛い。殿下が大きくなったら、お膝に座ってあげるね。


「大きくなったら、大きくなったらって。大きくなったら、そう言うのは不純異性交遊って言われるんですよ、殿下。禁止ですね。」


「だが、公爵。父上は母上をお膝抱っこしているぞ。侍女だって、メナードにお膝抱っこして貰ったって言ってたぞ」


「殿下!俺を巻き込まないで下さい!

 だから、誰なんだよ。殿下に、俺の飛んでもない噂をある事ない事吹き込んでる奴!

 殿下、噂ばっかり信じちゃ駄目ですからね!お耳が腐っちゃいますよ!」


 全員から白い目で見られた近衛兵のメナードは、両手で頭を押さえると、天井を見た。

 

 自分の普段の行いが悪いのでは?


「まあ、父上も、お母様にお膝抱っこしてますし。良いのでは?」


「ベルリーナ、夫婦でお膝抱っこは許されるが、結婚するまでは禁止されている」


「やはり、ベルを1日も早く私の嫁認定してくれる様に、父上と母上に掛け合わねばならないな」


「私は、絶対に許可しませんからね、殿下!」


 部屋の温度が、父上のダダ漏れの魔力の冷気のせいでドンドン下がって、あわや!という頃。

 殿下の侍女のアンナが昼食を持って戻って来て、父上を執務室へと追い返した。


 ああ、危なかった。

 部屋が凍り漬けにされる所だったわね。

 まったく、父上は大人気ない。




「大体、公爵は、ベルにおはようのキスとか、行ってらっしゃいのキスとか、お帰りなさいのキスとか、おやすみなさいのキスとか…他にも色々して貰ってる癖に、ズルいぞ」


「私、お父様にそんな事してませんよ」


「そうなのか?ベル」


「私がキスしてるのは、お兄様だけです」



 本当の敵は、舅ではなく、小舅!……がんばれラインハルト殿下!

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